#163 『見た目』や『外見/外観』の英語は appearance それとも look(s)?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第163回は「見た目」「外見/外観」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Ake / Rawpixel.com

↑「人を見た目で判断するの良くないよなぁ?」「でもオレたち明らかに怪しいぞ...」


まず、どちらも人に使われる「見た目」「外見」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「見た目」
インターネット上の主な英語訳
1. look(s)
2. (physical) appearance
3. show
4. visual aspect
「外見」
インターネット上の主な英語訳
1. exterior
2. facade
3. look(s)
4. (outward/physical) appearance
5. semblance
6. visual aspect
訳語を載せた辞書・サイト
アメリカ生活 101
bab.la(辞書)

CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)

Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Lifetime Learner
Linguee(辞書)

日刊英語ライフ
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
Weblio英会話コラム
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「見た目 英語」「外見 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、いろいろな訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのは appearancelook(s) です。これらの違いは一体何でしょうか? また、appearance は複数形では使わないのでしょうか?

以下では、visual aspect (視覚的側面) や人に対してはまず使わない semblance ((見せかけの) 様子) などは除き、「見た目」「外見」「外観」の英語について分かりやすく説明します。

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「見た目」「外見」「外観」の違い

まず、「見た目」「外見」「外観」という日本語の違いを簡単に説明すると次のようになります。

見た目・・・見た様子 ※「見た目が怖そうな人」「見た目が辛そうなラーメン」など。
外見・・・・外から見た様子 ※「外見が怖そうな人」のように人の見た目に使うのが普通。
外観・・・・外から見た様子 ※「外観デザイン」のように建物や車の見た目に使うのが普通。
※主な国語辞書で「見た目」は「外から見た様子」と説明されていますが、内側から見た様子も「見た目」です。

つまり人の見た目は「見た目」または「外見」、建物や車の見た目は「見た目」または「外観」、そしてその他の見た目はそのまま「見た目」と表現するのが普通ということです。

CC7 / Shutterstock.com

↑「外見が辛そうだなー」(「見た目」と言ったほうがいいですよ...)

「見た目」は英語で何と言う?

さて、その「見た目」に最も近い英語が appearance です。例えば "improve the appearance of one's ○○" の○○の部分に nose (鼻)、face (顔)、skin (肌)、room (部屋)、house (家)、yard (庭)、car (車) などを入れれば、それらの見た目を(鼻や顔であれば整形施術やメイクで)向上させる意味になります。

「現れる」や「~に思える」を意味する appear を名詞にしたこの appearance は、「出演」や「出場」の意味では可算名詞 (数えられる名詞) として複数回の出演や出場を s を付けて普通に複数形で表し、「見た目」の意味では不可算名詞 (数えられない名詞) として複数人でも次のように単数形を使うのが普通です。

Many people care about their appearance.  (自分の見た目を気にする人は多い。)
Don't judge people by their appearance.  (人を見た目で判断してはいけない。)

ただ、人の見た目以外の様子も含む場合などは複数形も使われ、そのような例として judge by appearances (人や物を見た目で判断する) や keep up appearances (世間体を繕う) などのフレーズがあります。

なお、後で説明する look(s) は短くてカタカナでも言いやすいですが、appearance は長くて言いづらいため、カタカナで使うことは(英語を使うのがかっこいいと勘違いしている人以外は)普通ないと思います。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「やっぱりアピアランスは大事でしょ」「何で日本語で言わないの?」

「外見」と「外観」は英語で何と言う?

では、「外見」と「外観」、つまり「外から見た様子」は英語でどう表現すればいいのでしょうか? これが appearanceoutward (外側に表れた) が付いた outward appearance です。

「外見」は人の見た目に使うのが普通のため、その意味でこの日本語を英語で説明したい場合は "a person's outward appearance" と表現できます。outward を入れないと「登場」や「出演」の意味にもなり得ますが、先ほどの「見た目」の2つの例文のように外見の話だと分かる状況では不要です。

一方、建物や車の外側の見た目を意味する「外観」には exterior を使うのが普通で、内側にはカタカナの「インテリア」と同じ interior を使います。この2語は形容詞だけでなく「外側/内側」という名詞としても使えるため、例えば "improve (the appearance of) the car's exterior" と表現すればその車の外観を向上させる意味になります(カッコの部分は省いても普通は同じ意味で解釈されます)。

なお、「外装」と「内装」という日本語はどちらも建物や車に使えますが、「外観」の反対の「内観」は建築用語を除いては仏教や心理学の「自己観察/内省」という別の意味になってしまうので注意が必要です。

metamorworks / Shutterstock.com

↑「この車の内観はシンプルね」「仏教かよ...」

Appearance と Look(s) の違い

最後は、ここまで説明してきた appearance と look(s) の違いについてです。

appearance と複数形の looks はどちらも同じ意味で人の全体の見た目に使われることが多いですが、厳密には appearance が服装、髪型、化粧、振る舞い方など自分で変えられるもの全体の見た目や印象、looks は目や鼻の形など整形手術をしないと変えられない身体上の各特徴を意味するとされています(これらの特徴の1つ1つの見た目には先ほど説明したとおり appearance を使います)。

そして例えば "He has good looks" (ルックスが良い) と言えば "He is good-looking" と同じで普通は顔立ちが良いことを意味し、先ほどの appearance の2つの例文も次のように looks に置き換えられます。

Many people care about their looks.  (自分のルックスを気にする人は多い。)
Don't judge people by their looks.  (人をルックスで判断してはいけない。)

この looks を顔だけと考えるか体も含むと考えるか(または髪型や服装などまで含むと考えるか)は英英辞書やネイティブスピーカーでも違うことがありますが、体も含むと考える場合は physical appearance (身体的な見た目) と同じ意味だと言えるでしょう。

McKinsey / Rawpixel.com

↑「俺どうしてこんなにルックスがダメなんだよ...」「顔以外はイケてるから大丈夫だぞ!」

一方、単数形の look は "Take a look" (見てごらん) のように「見ること」の意味でもよく使われますが、人の見た目に使う場合は style ((髪型や服装の) スタイル) または facial expression (表情) を意味します。

例えばスタイルの場合は military look (ミリタリールック) など特定のスタイルの他、髪型や服装のスタイルを変えたときに "I like your new look" (その新しいスタイルが好き) のように表現できます。一方、表情の場合は "She had a serious look on her face" (彼女は真剣な表情をしていた) のように使います。

この lookslook も人以外に使われることはありますが、その場合でも looks は各特徴を個別に捉えた表現、look は全体を1つとして捉えた(または複数の特徴を持たないものに使う)表現だと言えるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「見た目」「外見」「外観」の英語にはそれぞれどの単語を使えばいいか分かりやすくなったかもしれません。

人を見た目で判断するのはよくありませんが、見た目が悪いウェブサイトは中身もいい加減なことが多いので注意しましょう(見た目が良くても中身がいい加減なものもありますが...)。

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