オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第207回は「ビジネスバッグ」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
McKinsey / Rawpixel.com
↑「ビジネスバッグ」を持ってビジネスに出かける人。英語でも business bag と呼んでいい?
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ビジネスバッグ」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の英語訳
1. briefcase
2. business bag(s)
3. business handbag
DMM英会話なんてuKnow?
Ichacha.net(辞書)
Reverso Context(辞書)
TREX(辞書)
Weblio(辞書)
ご覧のとおり、3つの訳語が見つかりました。この中で最も多かったのは日本語の「ビジネスバッグ」と同じ business bag です。本当に英語でもビジネスバッグをそう呼んでいいのでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現も含め、「ビジネスバッグ」の英語について分かりやすく説明します。
「ビジネスバッグ」とは
まず、「ビジネスバッグ」という言葉は今のところ主な国語辞書に見当たりませんが、日本語版ウィキペディアの『ブリーフケース』のページでは「一般的なビジネスパーソンが使用する鞄の総称」と説明されています。
ただ、実際には「ビジネスパーソン (=実業家や経営者)」とは呼ばない普通の会社員が持つブリーフケースや仕事用のリュック、トートバッグなども「ビジネスバッグ」として売られています。
Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com
↑通勤中のこの普通のサラリーマンが持っているブリーフケースも「ビジネスバッグ」。
「ビジネスバッグ」は英語で何と言う?
さて、その「ブリーフケース」や「仕事用のリュック、トートバッグ」などのバッグは、英語では business bag (ビジネス用のバッグ) ではなく work bag (仕事用のバッグ) と表現するのが普通です(business は「商売/商取引」や「事業」なども意味する少し硬い言葉です)。実際、お勧めの work bag を紹介している英語サイトでは、日本で「ビジネスバッグ」に分類されているいくつかのタイプの仕事用バッグが見られます。
このうち上の通勤中の写真の人が持っている「ブリーフケース」(書類やノートパソコンを入れるカバンで普通は持ち手があるもの) は briefcase、同じ用途で背負えるリュック/バックパック型は backpack、トートバッグ型は tote (bag) ですが、リュックとトートバッグはプライベート用もあるため、「仕事用」と言いたければ for work を付けてそれぞれ "a backpack for work" と "a tote (bag) for work" と表現します。
なお、ブリーフケースよりカジュアルで普通はかぶせ(蓋)が付いたストラップ付きのバッグは messenger bag と呼ばれていますが(郵便などの配達員のバッグに似たスタイルのため)、ブリーフケースでも冒頭の写真のようにストラップが付いたスタイルのものが増えたため、両者の線引きが曖昧になっているようです。
Collab Media / Shutterstock.com
↑このようなスタイルのバッグが messenger bag。スーツには合わないカジュアルなものが多い。
いずれにしても、「ビジネスバッグ」という言葉がブリーフケースの意味で使われている場合は briefcase、その他の仕事用バッグも含む総称として使われている場合は work bag と表現するのが最適です。
今回訳語が見つかった辞書・サイトで「ビジネスバッグ」の英語にこの work bag を載せているものはありませんでしたので、少なくとも辞書は載せておくべきでしょう。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これでビジネスバッグのタイプ別の英語表現や briefcase と messenger bag の違いなどが分かりやすくなったかもしれません。
ブリーフケースとは違うタイプのビジネスバッグを日本で探している方は、試しにお店で「おすすめのワークバッグはありますか?」と尋ねてみましょう(変な顔をされるかもしれませんが...)。