#58 「キャンディー」の英語は本当に candy?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第58回は「キャンディー」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Aneta_Gu / Shutterstock.com

↑「キャンディー」とはこのような「硬いあめ」のこと? アメリカ英語とイギリス英語でそれぞれ何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「キャンディー」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「キャンディー」
インターネット上の主な英語訳
1. candy
2. confect
3. sweets
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
みんなで作るネーミング辞典(辞書)
Reverso Context(辞書)

weblio(辞書)
WebSaru(辞書)

※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「キャンディー 英語」「キャンディ 英語」「キャンデー 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

※アメリカ英語に限定した内容のサイトは一覧に含めていません。
※以降でも「キャンディ」や「キャンデー」ではなく英語の発音に一番近い「キャンディー」に表記を統一しています。

ご覧のとおり、主に3つの訳語が見つかりました。これらは本当に日本語の「キャンディー」を意味するのでしょうか? また、「棒付きキャンディー」「アイスキャンディー」は英語で何と言うのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかったアメリカとイギリスでの正しい表現も含め、「キャンディー」の英語について分かりやすく説明します。

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「キャンディー」とは

まず、主な国語辞書で「キャンディー」は「砂糖を煮固めて作った洋風のあめのように説明されており、ショッピングサイトのAmazonと楽天市場では「ガム」「グミ」「ミントタブレット」などとは別に「あめ・キャンディー」というカテゴリーが見られます。そして名前に「キャンディー」が付く各商品を見てみると、個別包装されて中が見えないものを除けばすべて(かむのではなく)なめて味わう硬いあめのように見えます。

この国語辞書の「煮固めて」という説明は「どの程度まで固めるのか?」と聞きたくなる曖昧な表現ですが、今の2つのショッピングサイトでは砂糖を煮詰めて作るお菓子の「キャラメル」や「ソフトキャンディー」が「あめ・キャンディー」とは別のカテゴリーになっていることから、「キャンディー」はやはり「硬いあめ」(ただし基本的に洋風のもの) を意味するのだと思います。

「キャンディー」は英語で何と言う?

では、日本で「キャンディー」と呼ばれている硬いあめは英語で何と言うのでしょうか? 今回見つかった3つの訳語はどれも正しくなく、正解はアメリカ英語で hard candy、イギリス英語で boiled sweet(s) です。

candy と sweets がアメリカとイギリスでそれぞれキャラメルやトフィーなども含む「小さな砂糖菓子」を意味することは前回の #57 「スイーツ」の英語は本当に sweets? で説明しましたが、その中で挙げていなかった例として「綿あめ (綿菓子)」もアメリカでは candy の一種で cotton candy と呼ばれています(イギリスでは candyfloss)。

Jacob Lund / Shutterstock.com

↑「ウソー! アメリカではこれも candy なの~?」「(ンガッ!) そうよー、これは cotton candy っていうの」

キャンディーが「1個」や「いくつか」ある場合はどう表現する?

さて、今回見つかった訳語の中で sweets (イギリスでの小さな砂糖菓子の総称) には複数形の s が付いているのに、candy (アメリカでの小さな砂糖菓子の総称) には s が付いていないのはなぜでしょうか?

これは小さな砂糖菓子1個をイギリスでは "a sweet" と考えて複数個を "sweets" と表現するのに対し、アメリカでは小さな砂糖菓子類全体を液体のように数えられないものとして "candy" と表現するのが普通だからです。そのため、普通は小さな砂糖菓子1個は "a candy" ではなく "a piece of candy"、キャンディー1個であれば "a piece of hard candy" と表現します(イギリス英語であれば "a boiled sweet")。

一方、複数形で "candies" と表現する場合は小さな砂糖菓子が「何個か」ではなく「何種類か」あることを意味するのが普通です。ただ、何種類かあってもそのことが重要でなければ、普通はやはり全体を数えられないものとして "I bought some hard candy" (キャンディーをいくつか買った) のように表現します。

「棒付きキャンディー」は英語で何と言う?

さて、棒付きキャンディーにはどちらの国でも使える lollipop という表現があり、略して lolly と呼ぶ人も多くいます(複数形は lollies)。また、アメリカでは地域によって sucker と呼ぶ人もいますが、円盤状の「ペロペロキャンディー」が lollipop で球形のものが sucker と考える人、その逆と考える人、そしてどちらも全く同じ意味と考える人に分かれます。

carynfitz / Pixabay.com

↑これが「ペロペロキャンディー」。普通はここまで大きくない。(これは模型です...)

efes / Pixabay.com

↑硬いあめではなく固めたチョコに棒が付いたこのようなものも lollipop の一種。

「アイスキャンディー」は英語で何と言う?

さて、棒付きアイスの「アイスキャンディー (またはアイスバー)」はアメリカで一般的に popsicle と呼ばれています。これは Popsicle という北米のアイスキャンディーのブランド名がそのままアイスキャンディーの普通名詞として使われるようになったものですが、lollipop (棒付きキャンディー) または soda pop (炭酸飲料) の "pop" の部分と icicle (つらら) をつなげた合成語とされています(pop + icicle = popsicle)。

Lindsay Moe / Unsplash.com

↑日本語で「ポップなつらら」と表現しても違和感のないアイスキャンディーたち。

一方、イギリスではアイスキャンディーを ice lolly (ice lollipop の略) と呼ぶのが普通ですが、アメリカでもイギリスでも地域や人によって ice pop など別の表現を使う場合があります。アメリカでは先ほどのPopsicleブランドも含め「アイスキャンディー」に本来使われるべき表現はこの ice pop だと思いますが、アメリカでもイギリスでも棒付きアイスではなくチューブ入りアイスに対してこの表現を使う人が結構いるようです。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「キャンディー」の正しい英語訳が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

前回の「スイーツ」も今回の「キャンディー」も、アメリカとイギリスで表現が違うのは頭が痛いところです。どちらの国でも lollipop と呼ばれる「棒付きキャンディー」は日本語でもカタカナ表記の「ロリポップ」が一部の辞書などに載っていますが、別の意味に誤解されそうなため地味でも今までどおり「棒付きキャンディー」と呼ぶほうがいいでしょう。

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