#204 『ケアワーカー (介護士)』や『ケアラー (介護者)』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第204回は「ケアワーカー」「ケアラー」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Felix / Rawpixel.com

↑この人は「ケアワーカー」か「ケアラー」か? それとも「ケアテイカー」か「ケアギバー」か「ケアプロバイダー」か??


まず、どちらもケアする人 (=介護する人) とされる「ケアワーカー」「ケアラー」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「ケアワーカー」
インターネット上の英語訳
1. care provider
2. care taker
3. caregiver
4. (home/nursing) care worker
「ケアラー」
インターネット上の英語訳
1. care person
2. carer
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
Glosbe(辞書)
Ichacha.net(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)

WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ケアワーカー 英語」「ケアラー 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、どちらも複数の訳語が見つかりました。「ケアワーカー」で最も多かったのは care taker、次いで多かったのは care worker です。ということは「ケアワーカー」は care taker と表現すればいいということでしょうか? また、「ケアラー」はそのまま carer でいいのでしょうか?

以下では、アメリカとイギリスでの表現の違いも含め、「ケアワーカー」と「ケアラー」の英語について分かりやすく説明します。

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「ケアワーカー」と「ケアラー」の違い

まず、他にも「介護士」「介護福祉士」「ヘルパー」「ソーシャルワーカー」など似た言葉がありますが、日本の介護系サイトをいくつか見る限り「ケアワーカー」と「ケアラー」には次の違いがあると言えます。

ケアワーカー
高齢者や障害者などの介護を職業とする人。「介護職員」や「介護士」と呼ばれることが多いと説明しているページもある。ケアワーカーのうち国家資格を持つ人は「介護福祉士」とされている。
ケアラー
高齢者や障害者などの介護の他、依存症やひきこもりの人たちの支援を(職業としてではなく)無償で行っている人。「介護者」と呼ぶと高齢者介護をイメージさせるためか、このように「ケアラー」と呼ぶ。

このブログは介護ではなく英語について説明するブログですので、この2語の正確な定義や「ヘルパー」などとの違いは専門サイトをご参照ください(複雑そうでこれ以上調べる気になれません...)。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「優しいケアラーさんねぇ...」「あたしケアワーカーですよ~」「??」

Care Worker, Carer, Caregiver とは?

さて、care worker を「和製英語」と説明している辞書もありますが(『Weblio』)、少なくともイギリスでは高齢者介護に限らず介護の仕事をする人の意味で使えます(Collins英英辞書などにも載っています)。

ただ、caregiver (主にアメリカ) と carer (主にイギリス) のほうが多く使われる言葉で、どちらも介護職の人と家族や友人の介護を無償で行う人の両方に使えます。つまり、日本の「ケアワーカー」のように職業の意味にするには professional を付け(care worker の場合は不要)、「ケアラー」の場合は無償で行っている人と言いたければ unpaid、主に家族の介護を行っている人と言いたければ family を付けます。

この caregiver/carer は高齢者、障害者、病人(精神病含む)、依存症の人などの介護や支援を行っていますが、日常的にこれらの家族の世話をしなければならない18歳未満の若者・子供はイギリスで young carer と呼ばれています(日本でも「ヤングケアラー」)。一方、アメリカでは最近の情報があまり見当たりませんが、やはり caregiver という単語を使って young caregiveryouth caregiver と表現されています。

truthseeker08 / Pixabay.com

↑日本でも認知されるようになった「ヤングケアラー」。アメリカでは young carer と表現しないよう注意しよう。

なお、giver (与える人) とほぼ同じ意味の provider (提供者) を使った care provider は、明らかにケアをする人の意味と分かる状況以外ではケアサービスの提供会社・団体と誤解される可能性が高いと思います。

Caretaker とは?

最後は、caretaker についてです。「ケアワーカー」の英語として今回最も多く見つかったのは2語に分かれた care taker ですが、このように1語で caretaker と書くのが普通です。

この単語は先ほどの caregiver がアメリカで1960年代に登場するもっと前から使われており、「人の世話をする人」と「建物や土地の世話 (=管理) をする人」の2つの意味があります(イギリスでは1つめの意味はなく、アメリカでは2つめの意味のうち学校やビルなどの管理人は janitor と呼ぶのが普通です)。

caretaker (世話する人) よりも caregiver (ケアを与える人) のほうが「尽くしている感じ」があるためか、今は介護者には caregiver のほうが圧倒的に多く使われています。また、イギリスではそもそも caretaker に「介護者」の意味はないため、この単語を (2語に分けて)「ケアワーカー」の英語として載せていた6つの辞書(『実用・現代用語和英辞典』と『Weblio』以外)はそのことを補足すべきでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「ケアワーカー」と「ケアラー」の違いや英語での表現の仕方が分かりやすくなったかもしれません。

このように人を表す言葉にはカタカナ英語が多く使われますが、響きがイマイチな「ケアギバー」が「ケアワーカー」や「ケアラー」に代わって一般的に使われることは今後も恐らくないでしょう。

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