#193 『注意点』や『留意事項』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第193回は「注意事項/注意点」「留意事項/留意点」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Roungroat / Rawpixel.com

↑「うぁっ! こうなるから『注意』じゃなくて『警告』と書いてあったのか!」(はい、その点を留意しておきましょう...)


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「注意事項/注意点」「留意事項/留意点」はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します(※「注意」と「留意」は意味が少し違いますが、同じ訳語も多かったため1つにまとめています)。

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「注意事項/注意点」
「留意事項/留意点」

インターネット上の主な英語訳
1. caution(s)
2. cautionary note(s)/point(s)
3. caveat(s)
4. consideration(s)
5. do(')s and don'ts
6. important notice/point(s)
7. matters that require attention
8. matters to be attended to
9. matters to keep in mind
10. N.B.
11. note(s)
12. point to make note of
13. points of attention
14. points of concern
15. points to remember
16. points/things to be careful of
17. points/things to keep in mind
18. points/things to note
19. precaution(s)
20. warning(s)
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)

Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
TRANS.Biz
Weblio(辞書)

WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「注意事項 英語」「注意点 英語」「留意事項 英語」「留意点 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含む例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主な訳語だけでもこれだけの数になりました。consideration(s) (考慮すべきこと) や points of concern (懸念点) など意味が少し違うものも含まれていますが、一体どれを使えばいいのでしょうか?

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現や「警告事項」の表現も含め、「注意事項/注意点」や「留意事項/留意点」の英語について分かりやすく説明します。

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「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」の違い

まず、「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」の違いを簡単に説明すると次のようになります。

注意事項/注意点
注意を払うべきこと。少し気をつけたほうがいいことから警戒が必要なことにまで使える言葉。
留意事項/留意点
心に留めて気をつけるべきこと。警戒が必要なことに使うには意味が弱すぎる言葉。

このような違いが一応ありますが、硬い感じの「留意」という言葉はあまり一般的には使われず、実際には心に留めておけばいい程度のことでも「注意事項/注意点」と表現されることが多くあります。

「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」のどちらにも使えるシンプルな表現

では、「注意事項/注意点」や「留意事項/留意点」は英語でどう表現すればいいのでしょうか?

今回見つかった主な訳語のどれもが「説明的すぎる/意味が少し違う」と感じる場合は、どの辞書・サイトも載せていなかった important notes が最適です。これは重要なことを短く書いたものを意味するため「重要事項」のことですが、このように「重要」と表現するだけで「注意/留意すべきこと」だと分かります。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「そっかー、これは注意書きの意味で使えるんだ~
」「どうして留意の場合は『留意書き』と普通言わないですか?」

このシンプルな表現は見出しや小見出しに最適で、例えば「ご使用上の注意点」であれば "Important Notes on Use"、「ご使用前の留意事項」であれば "Important Notes before Use" と表現できます(すべて大文字で書くかこのように一部だけ大文字で書くかは書き手の自由です)。「~事項/~点」という日本語は複数の事項/点を載せる場合に使う言葉だと思いますが、1つしかない場合はもちろん単数形で note と書きます。

この note という名詞は基本的に「短く書いたもの」を意味するため「メモ書き」や「注釈」の意味でも使われますが、心に留めておくことが目的であれば「覚え書き」を意味します。つまりこの単語だけでも「注意点」や「留意点」の意味で使えますが、「事項」という硬い言葉が付く「注意事項」や「留意事項」のように重要な感じを出したい場合は important (重要) を付けるのが最適です。

なお、似ている important notice と important point を載せている辞書・サイトはありましたが、これらはそれぞれ「重要なお知らせ」と「重要なポイント」に使うほうが適切です。同じく今回見つかった主な訳語に含まれている do(')s and don'ts は、すべきこととすべきでないことを両方載せる場合には使えます。

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↑「課長、何か "Notice" って出ちゃってるんですけど...」「見てほしいお知らせがあるんじゃないか?」

「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」を区別して表現したい場合

では、「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」を区別して表現したい場合はどうすればいいのでしょうか? 主な表現を分かりやすい順に説明すると次のようになります。

注意事項/注意点
matters that require attention: 「注意を向ける必要のある事柄」。見出しに使うには説明的すぎる表現(つまり文中で使うのに向いている)。
points/things to be careful of:「気をつけるべきポイント/こと」。これもやや説明的な表現。
cautionary notes: 用心・警戒すべきことを短く書いた「注意書き」(守らないとケガや破損につながる可能性あり)。これもやや説明的なため、見出しには次の cautions を使うのが普通。
cautions:「用心・警戒すべきこと」。例えば「安全上の注意事項」は "Safety Cautions"。
precautions: pre- (事前の) が付いているため事前に用心・警戒が必要となる点を書いた「事前注意事項」や「ご使用前の注意点」に最適。例えば「ご使用前の安全確認事項」は "Safety Precautions"。
warnings:「警告事項」(守らないと大ケガや死に至る可能性あり)。つまり「安全上の注意事項」よりも危険なレベルの「安全上の警告事項」は "Safety Warnings"。
caveats: 技術文書など硬い文書で使われる「警告事項」を意味する言葉。

なお、ここでは「~事項/~点」という日本語に合わせてすべて複数形にしていますが、これらの事項の見出しが単に「注意」や「警告」の場合は単数形で "Caution""Warning" と表現すると同じ意味になります。

留意事項/留意点
matters/points/things to keep in mind:「心に留めておくべき事柄/ポイント/こと」。見出しに使うには説明的すぎる表現(つまり文中で使うのに向いている)。
points/things to note: これも「心に留めておくべきポイント/こと」。この note は先ほどの名詞の note ではなく「心に留める」という意味の動詞。
points/things to remember: 同じく「覚えておくべきポイント/こと」。

この「留意事項/留意点」の英語はどれも説明的な感じがあり、文中の説明やインターネット記事のタイトルなどで使うほうが向いていると言えます。そのため、業務文書や取扱説明書の「留意事項」や「留意点」という見出しはやはり "(Important) Notes" と表現するほうがいいでしょう。「注意事項」や「注意点」の場合でも "Warnings""Cautions" と表現すると意味が強すぎると感じる場合はこの表現が最適です。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「注意事項/注意点」と「留意事項/留意点」の英語として important notes が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

新しい機器を購入された方や日曜大工などをされる方は、冒頭の写真の人のようにケガをしないよう取扱説明書の注意事項や警告事項をよく読むようにしましょう...

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