#10 「同僚」の英語は本当に colleague や co-worker?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第10回は「同僚」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Christina Morillo / Pexels.com

↑上司に恋してしまったことを同僚に伝える女性。この場合の「同僚」も本当に colleague や co-worker?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「同僚」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「同僚」
インターネット上の主な英語訳
1. associate
2. colleague
3. compeer
4. confrere

5. co-worker / coworker
6. equal
7. fellow
8. fellow worker
9. friend from work
10. peer
11. someone I work with
12. work friend
13. workfellow
14. workmate
訳語が見つかった辞書・サイト
アメリカ発 ビジネス現場の英語
bab.la(辞書)
貿易キャラナビ Tlady
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英語プラス
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Hapa Eikaiwa 英語学習コラム
「本気で学び本気で楽しむ」英会話コミュニティ
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
MYスキ英語
ネイティブと英語について話したこと
Reverso Context(辞書)
RYO英会話教室
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)

※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「同僚 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

※フィリピンでの上司・同僚・部下などの英語表現の違いを説明したサイトもありましたが、当ブログはアメリカ英語とイギリス英語に限定しているため一覧には含めていません。

ご覧のとおり、文語や方言などを除いた主な訳語だけでもこれだけの数になりました。この中で圧倒的に多かったのが colleagueco-worker (または coworker) です。実はこのどちらも「同僚」の英語として適切ではない場合があるのをご存知でしょうか?

以下では、今回訳語が見つかった辞書・サイトで説明が見られなかったその他の点も含め、「同僚」の英語について分かりやすく説明します。

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「同僚」とは

まず、日本語を英語にするときは、その日本語の意味を正しく理解することが重要です。そして国語辞書などを見ると「同僚」には次の2つの意味があることが分かります。

1. 職場が同じである人
2. 地位・役目が同程度の人

この1と2の「同僚」に該当する英語はそれぞれ何でしょうか? まずは説明が簡単な2から見ていきます。

地位・役目が同程度の人

例えば、職場の友人に「上司、部下、同僚の中で一番仕事がしにくい相手は誰?」と尋ねたとします。このときの「同僚」は2の「地位・役目が同程度の人」という意味ですが、残念ながら「同僚」の英語として最も知られている colleagueco-worker はこの意味の「同僚」には該当しません。なぜなら、この2つの人たちには地位が異なる人も含まれるからです。

では、「地位・役目が同程度の人」という意味での「同僚」は英語で何と言うのでしょうか? この意味を持つ単語はいくつかありますが、その中で最も理解される可能性が高いのは今回調べた辞書・サイトのうち6つしか訳語に載せていなかった peer です。また、この単語が「等しい立場の人」を意味することまで説明しているものは4つだけでした (『CUERBO』『Imagict』『実用・現代用語和英辞典』『weblio』)。

ただ、先輩・後輩などの上下関係が日本のように重要ではない欧米では、この意味での「同僚」を表現する必要がそもそもないため "peer(s)" と表現しても理解されない可能性が高いです。状況や人によっては通じる場合もあると思いますが、もし不思議な顔をされてしまったら "employee(s) at the same level as me" (自分と同じ地位の従業員) のように説明すればいいでしょう。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「上司でもないのに上から目線?」と不満な表情で同僚を見る女性。

職場が同じである人

さて、1の「職場が同じである人」という意味での「同僚」が colleague または co-worker です。ただ、co-worker はイギリスでは普通使わないのをご存知でしょうか? 今回調べた辞書・サイトでこの点を説明しているものはありませんでした(イギリスでは workmate がよく使われると説明しているサイトはありましたが、これは「仕事仲間」という表現のため「同僚」としては colleague のほうが適切です)。

アメリカで co-worker は同じ職場で一緒に働く人を意味し、上司でも部下でも「一緒に働いている」と言える人にはこの表現が使えます(同じ会社で働く人すべてを「一緒に働く人」と考えることも可能です)。一方、colleague は自分と同じ専門職の人を意味するのが普通で、同じ職場で働いているとは限らないため1と2のどちらにも該当しない(つまり同僚ではない)人にも使う言葉です。

このようにアメリカでは colleagueco-worker の両方に該当する人もいれば、どちらか一方にしか該当しない人もいます。ただ、地域や人によってこの2つの言葉の定義が異なる場合があるため、今説明した違いが正解というわけではありません。

一方、イギリスではこのような面倒な区別はなく、同じ職場で一緒に働く人は誰でも colleague です。そのため、co-worker という言葉を使う必要がありません。

Jira / Rawpixel.com

↑ネット動画を見て暇をつぶす「職場が同じ」人たち。社長までこんなでいいのだろうか?

その他の訳語

今回見つかったその他の訳語については、少しくだけた言い方の「仕事仲間」を意味する workmate はアメリカでは使わないのが普通で、同じく仕事仲間を意味する fellow workerworkfellow も普段使う表現ではなく、associate は「仲間」の少し格好つけた言い方です。friend from workwork friend は同じ職場の親しい人を表すときに使えます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「同僚」の2つの意味が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

「職場が同じである人」という意味での「同僚」がアメリカ英語で colleague と co-worker のどちらか忘れてしまうこともあると思います。その場合はとりあえず colleague を使い、「それって co-worker だよね?」と指摘されてしまったら、「実は私はブリティッシュ派なんです」と説明してその場を乗り切りましょう。

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