#4 「通学する」の英語は本当に commute to school?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第4回は「通学」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

PxHere.com

↑スクールバスで「通学」する生徒たち。これも本当に "commute to school"?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「通学する」というフレーズはどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「通学する」
インターネット上の英語訳
1. attend school
2. commute (to school)
3. go to school
訳語が見つかった辞書・サイト
ベルリッツ
eigopedia
英辞郎 on the WEB(辞書)
大人のためのやり直し英語講座、基礎から英語で会話をするまで
実用・現代用語和英辞典(辞書)
ネイティブイングリッシュ
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「通学する 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、3つの訳語が見つかりました。この中で一番多かったのが commute to school です。「通学する」は英語で何と言うかと聞かれれば、そう答えてしまう人が多いと思います。ところが、日本語では普通に「通学」と表現できても英語では commute to school とは言わない場合があります。

以下では、今回調べた辞書・サイトで説明が見られなかったその他の点も含め、「通学」の英語について分かりやすく説明します。

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通学する vs 学校に通う

まず、2つの辞書だけが訳語に載せていた attend school は、「学校に(規則正しく)出席する」という意味のため「通学する」よりも「学校に通う」のほうが正しいと言えるでしょう。

国語辞書で「通学」は「学校に通うこと」と説明されていますが、「通学する」という言葉は「いつもどおり授業に出席するために学校まで行く」という意味で使われるのが普通のため、例えば「通学中に (=学校に行く途中に)」と言いたくて "while attending school" と表現すると、「出席中に (=学校にいるときに)」という違う意味になってしまいます。

また、「通学」に似た「登校」を attend school と訳している和英辞書もありますが、この言葉も例えば「登校中に事故に遭った」と言えば普通は学校に到着するまでの間に事故に遭ったと解釈するため、「登校する」の訳語としても attend school は適切ではないでしょう。

Commute は「通勤・通学」?

commute は「通勤・通学」の意味と思われがちですが、明らかに学生と分かる人以外の人が "I commute by bus" のように commute を単独で使った場合は「通学」ではなく「通勤」を意味するのが普通です(英英辞書の中には「通う」という意味での commute を「通勤」に限定しているものが結構あります)。

そのため、学生と社会人のどちらにも見える人の場合は to school を付けることで初めて「通学」と解釈される要素が加わりますが、例えばその人が "I commute to school by bus" と言った場合、学生であれば普通は go to school と言うところをあえて commute と表現していることから、その人は学生ではなく学校の先生の可能性が高いのです(もちろん状況によります)。

bruce mars / Unsplash.com

↑commute to school するこの男性は学生それとも教員?

「通学」に Commute を使わないほうがいい例

日本語では「徒歩で通学中の中学生」や「スクールバスで通学する小学生」といった表現は全く違和感がありません。学校に徒歩で通う生徒のために指定された道路が「通学路」と呼ばれていることからも、日本語の「通学」は学生の年齢や交通手段に関係なく使える言葉だということが分かります。

一方、英語では「通学」に commute を使うとかなり違和感が出る場合があります。commute は「通勤」に使うのが普通のため、例えば高校生でも定期券でそれなりの距離を移動して通学する場合や、大学で仕事のように毎日研究をする学生が交通手段に関係なくそれなりの距離を移動して通学する場合など、通勤と同じように通う場合は特に違和感はありません(ただし絶対に commute を「通学」には使わないと言う人もいます)。

これに対し、スクールバスや徒歩・自転車で通学する高校生以下の生徒の場合は go to school と表現するのが普通です。通学の手段について述べる場合は自転車であれば by bicycle というフレーズを足したり、徒歩であれば walk to school と表現します。

Artem Bali / Pexels.com

↑「通学」が楽しくてしょうがない少年たち。でもこれは commute ではない。

通勤の場合

通勤の場合は、職場までの距離がそれなりに離れていれば自転車や徒歩で通う場合でも commute と表現して違和感はありません。ただし by bicycle (自転車で) や on foot (徒歩で) といった説明を付けないと普通は電車や車による通勤をイメージさせるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「通学する」の英語訳の使い分けや注意点が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

中学校や高校で英語を教えている方は、生徒の1人に「私、学校まで徒歩で来れる距離なんですけど、通学中に素敵な人に声をかけられることがよくあるんです」と言われても、興奮してうっかり "Oh my god!!! While you are commuting??" などと言ってしまわないよう注意しましょう。