オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第28回は「夕食」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
Rawpixel / Rawpixel.com
↑夕食か朝食か分からない微妙な写真。毎日食べてる「夕食」は英語で何と言う?
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「夕食」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します(※「夕食」以外にも「夜ご飯」「晩御飯」「晩飯」などの言い方がありますが、これらはすべて同じ意味のため以下の説明では一部を除いてすべて「夕食」に統一しています)。
インターネット上の英語訳
1. dinner
2. evening meal
3. evening repast
4. lunch
5. supper
6. tea
bab.la(辞書)
British英語.com
CUERBO(辞書)
英語ぷらす
英辞郎 on the WEB(辞書)
English Hacker
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
人力検索はてな
実用・現代用語和英辞典(辞書)
【Kei式】カドを立てない英会話術辞典
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
ご覧のとおり、6つの訳語が見つかりました。この中には「茶」の英語として知られる tea も含まれています。また、なぜ「昼食」を意味するはずの lunch まで含まれているのでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった各表現の使い分けも含め、「夕食」の英語について分かりやすく説明します。
Tea, Evening Repast
まず、できるだけ多くの人に通じる英語を使うことをお勧めするこのブログとしては、イギリスやオーストラリアなど一部の国の人だけが「夕食」の意味で使うことがある tea はこの時点で除外したいと思います。
また、meal と同じく「食事」を意味する repast を使った evening repast という表現を載せている辞書が1つだけありましたが、普通は使わない硬い表現のためこれも除外して話を進めます。
Dinner と Supper の違い
では、「夕食」の英語として知られる dinner と supper の違いは一体何でしょうか? アメリカとイギリスでの違いを簡単に説明すると次のようになります。
このようにどちらの国でも今は一般的に夕食が一日のメインの食事で、それを dinner と呼ぶのが普通です。ただ、夕食がその日のメインの食事でも軽めであれば supper と呼ぶ人がどちらの国にもいるらしいため、その場合は相手に合わせて同じ表現を使えばいいでしょう。
vivienviv0 / Pixabay.com
↑スパイスの効いた夕食で会話が弾む男女。
夕食を Dinner と表現していいか分からないとき
では、dinner と supper の違いが分かればもう「夕食」の英語に悩む必要はないのでしょうか?
例えば、夕食をどう呼んでいるのか分からない多くの英語圏の人たちにパソコンの画面上や用紙でアンケートを一斉に行う場合など、dinner を使うと昼食と夕食のどちらのことなのか迷う人がいるかもしれません。
また、例えば朝食は牛乳だけ、昼食はコンビニのサンドイッチ1袋と缶コーヒー、残業中の夕食はファーストフード店で買ってきたハンバーガーとフライドポテトとコーラ、そしてその3食の間はお菓子で空腹を満たすような英語圏出身の同僚がいた場合、その夕食を「一日のメインの食事」と考えて "Have you had your dinner yet?" (もう夜ご飯食べた?) と尋ねるのは適切なのでしょうか?
この場合、その「ハンバーガーとフライドポテトとコーラ」を同僚が dinner と考えていればそれはその人にとって dinner であり、あなたが「こんな食事は『一日のメインの食事』などとは呼べない」と考えるのであれば、それはあなたにとって dinner ではないのです。
Jacky Tan / Unsplash.com
↑夕食は暗闇で1人で食べるのが好きな野菜不足の人。
「夕食」の英語は意外(?)と簡単
では、このようにその夕食を dinner と呼ぶべきか分からない場合はどうすればいいのでしょうか? 当たり前と言えば当たり前ですが、日本語の「夕食」と全く同じ意味の evening meal が使えます。
今まで考えたことがないかもしれませんが、breakfast、lunch、dinner、supper などは一日の各食事を表すのに使われる「名前」で、例えば1月を the first month of the year ではなく January と呼ぶのと同じようなものです。そしてこれらの名前を使わずに朝昼晩の食事を英語で表現すると次のようになります。
2. the midday meal (昼の食事/一日の中頃の食事)
3. the evening meal (夕暮れ~晩の食事)
1と2には breakfast と lunch を迷わず使えると思いますが、dinner と supper は先ほど説明したとおり国、人、状況などによって3の夕食に使うには適切でないことがあるため、どの表現を使うべきか迷ったら単に「夕暮れ~晩の食事」を意味する evening meal という表現を使えばいいのです(夕食も朝食や昼食と同じく普通は1日1回しか食べないため、a/an ではなく the や your を使うのが普通です)。
evening は夕暮れ~晩(正確には日没~就寝時)を意味するため、この時間に食べる食事であれば evening meal は誰に対してでも使える便利な表現です。ただ、すでにその時間帯になっている場合は単に meal と表現したり、meal を使わずに "Have you eaten yet?" (もう食べた?) と尋ねるほうが自然です。
夕暮れ~晩の食事が Lunch の場合もある
最後に、#8 『弁当』の英語は本当に box(ed) lunch や packed lunch? でも書きましたが、夕方~深夜早朝まで働く人などは1日3食の2食目を夕暮れ~晩に食べることになります。これは時間帯で考えれば「夕食」ですが、「自分にとっての一日の中頃にとる食事 (midday meal)」と考えて lunch と呼ぶ人は普通にいます。
今回調べた辞書・サイトで「夕食」の英語に lunch を載せているものが1つありましたが(『Glosbe』)、何も説明がないため夜型生活者のランチのことなのか単に誤って載せてしまったのかは分かりません。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「夕食」の英語の使い分けが多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。
これから夕食をお食べになる方は、それが dinner、supper、lunch、tea のどれであろうと evening meal をごゆっくりとお楽しみください。