オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第14回は「イヤホン」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
◆更新履歴は「お知らせ」に載せています。
neymark195 / Pixabay.com
↑耳の穴にフィットして遮音性が高い「カナル型イヤホン」。上司がうるさいときなど耳栓としても使えるのが特徴の1つだ。
まず、「イヤホン」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
1. earbud(s)
2. earphone(s)
3. earpiece
4. headphone(s)
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋
ご覧のとおり、ear から始まる3つの単語に加え、「ヘッドホン」の headphone(s) まで含まれています。一体なぜでしょうか? また、比較的新しいタイプの「カナル型イヤホン」は英語で何と言うのでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現も含め、「イヤホン」の英語について分かりやすく説明します。
「イヤホン」は英語で何と言う?
まず、アメリカにはイヤホンを headphones (ヘッドホン) と呼ぶ人が多くいます。確かに耳は頭部にあるため誤りとは言えず、例えばスピーカーから曲をガンガン鳴らしている家族に「ヘッドホンかイヤホンしてよ!」と両方言うのも面倒です(他にもヘッドホンとイヤホンを区別する必要のない状況はあると思います)。
ヘッドホンや両耳用のイヤホンは両耳に装着するため、両足に履くジーンズやシューズと同じく1つ(1ペア)でも (a pair of) headphones や these earphones と複数形で表します。
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↑「音サイコーっす、この headphones!」
今回見つかった主な訳語の3番目にある earpiece は、ヘッドホン、受話器、聴診器などの「耳に当てる部分」や「耳に入れる部分」を意味します。複数形で earpieces と表現した場合に左右のスピーカー部とイヤホン全体のどちらと解釈するかは人によって違うと思いますが、イヤホン全体には主に次の表現が使われます。
earbuds (耳用の「芽/つぼみ」のような形をしたもの)
in-ear headphones (耳に入れる頭部用の出音器)
in-ear earphones (耳に入れる耳用の出音器)
in-ears (耳に入れるもの)
※カッコ内の日本語は強引に漢字とひらがなで和訳したものです。
どの形のイヤホンにどの表現を使うかは人によって違い、ヘッドホン/イヤホン専門サイトでさえ異なる説明が見られます。アメリカではイヤホンを headphones や earbuds と呼ぶ人が多い印象があり、ヘッドホンのスピーカー部や耳掛けヘッドホンを earphones、イヤホン全般を earbuds と呼ぶ人もいれば、次に説明する「カナル型イヤホン」を earbuds と呼ぶ人もいます(逆に遮音性の低い従来型をそう呼ぶ人もいます)。
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↑遮音性の低い従来型のイヤホン。パッドを付けないと音漏れがひどく、大音量で聴くと隣で読書中の人に大迷惑だ。
そして日本語の「イヤホン」と同じ earphone という単語を使うのであれば、次の例文のように使えます。
I gave my son a pair of earphones as a gift. (息子に(両耳用の)イヤホンを1つプレゼントした。)
Please remove your earphones. ((両耳にしている)イヤホンを外してください。)
My earphones only work on one side. (イヤホンが片方しか聞こえない (=片方が断線した)。)
Can you repair these earphones? (この (またはこれらの) イヤホンを修理できますか?)
「カナル型イヤホン」と「インナーイヤー型イヤホン」は英語で何と言う?
さて、2000年頃(?)に登場した比較的新しいタイプの「カナル型イヤホン」は、ゴム状のパッドが耳の穴にぴったりとフィットして遮音性が高いのが特徴です。今のところこの「カナル型イヤホン」の英語を載せている辞書・サイトは直訳や誤訳が多いWeblio辞書だけで、直訳の canal-type earphone を載せています(このページの公開後に複数形の canal-type earphones や ear buds を載せた辞書・サイトも出てきました)。
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↑「君がしているのは canal-type earphone だな?」「そんな言い方しないでしょーw」
英語のヘッドホン/イヤホン専門サイトには canalphones という表現も見られますが、(ear) canal (外耳道) という言葉は具体的すぎるためか、in-ear headphones や in-ears と表現するサイトが多い印象です。逆に日本の専門サイトでは遮音性が低い従来型を「インナーイヤー型」と呼んでおり(先ほど説明したとおり英語での呼び方は人それぞれ)、カナル型を in-ear(s) と表現する英語の専門サイトとズレが生じています。
その他、英語の専門サイトでは in-ear canal headphones (外耳道の中に入れる頭部用の出音器) という表現も見られますが、これはソフトクリームのような形をした耳の少し奥まで入るタイプのカナル型イヤホンの説明に使われていました(このタイプのメーカーには「Etymotic Research」や「Plugfones」があります)。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「イヤホン」や「カナル型イヤホン」は英語でどう表現すればいいか分かりやすくなったかもしれません。
もしネイティブスピーカーがイヤホンについて話しているときに "headphones" と表現していても、間違いではありませんので不要な横槍を入れないようにしましょう...