#122 「イートイン(スペース)」と「テイクアウト」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第122回は「イートイン(スペース)」「テイクアウト」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「うまいけど少し冷めてるなぁ」「お店でイートインすればよかったかしら...」


まず、「お持ち帰り」の「テイクアウト」に対して「店内お召し上がり」を意味するのが「イートイン」ですが、このフレーズはオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「イートイン」
インターネット上の主な英語訳
1. dine in
2. eat here
3. eat in
4. for here
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CozyETF
CUERBO(辞書)
Glosbe(辞書)
翻訳ブログ

Imagict(辞書)
Linguee(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「イートイン 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に4つの訳語が見つかりました。日本語の「イートイン」と同じ3の eat in を和製英語と説明している辞書・サイトがいくつかありましたが、本当なのでしょうか?

以下では、コンビニなどの店内にある「イートインスペース」や「イートインコーナー」の表現も含め、「イートイン」と「テイクアウト」の英語について分かりやすく説明します。

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「イートイン」は和製英語ではない

まず、今回調べた辞書・サイトの一部や日本語版ウィキペディアの『イートイン』のページで eat in は「和製英語」や「家で食事をすることだけを意味する」のように説明されていますが、eat ineat out (外食する) に対する「自宅で食べる」の意味だけでなく、お店でイートインする意味で主にイギリスで使われています。

和製英語と間違われやすい例として他にも kitchen paper (キッチンペーパー) や air con (エアコン) がありますが、英語を教える立場にある人は「和製」と断定する前にいろいろな国の英語サイトを調べたり、アメリカの話であれば「海外」や「英語圏」ではなく「アメリカ」と説明する必要があるでしょう。

Tony Baggett / Shutterstock.com

↑イギリスのロンドンにあるフィッシュアンドチップス店。右上には和製英語...ではなくネイティブ英語の "EAT IN"。

イートインとテイクアウトの表現方法(アメリカ vs イギリス)

では、次はイートインとテイクアウトのアメリカとイギリスでの表現の違いについてです。どの例でも表現方法はいくつかありますが、主なものだけを載せています。

お昼はテイクアウトにしよう。
<アメリカ> Let's have (some) takeout for lunch.
<イギリス> Let's have a takeaway for lunch.
※ have を get にすると「しようぜ」のようなニュアンスになります。

このようにテイクアウトフードはアメリカでは takeout、イギリスでは takeaway と表現するのが普通です(ハイフン入りで take-out/-away と書かれることもあります)。また、この場合の takeout は不可算名詞 (数えられない名詞)、takeaway は可算名詞 (数えられる名詞) のため (some)a の違いもあります。

なお、テイクアウトフードではなくテイクアウト店と誤解されそうな状況では takeout food や takeaway meal と表現したり、アメリカの一部の地域やイギリスのスコットランドではテイクアウトを carryout と表現します(イギリスのイングランドでは酒屋やパブから持ち帰るお酒に使われることがあるようです)。

George Sheldon / Shutterstock.com

↑アメリカのデラウェア州にあるシーフード店。中央の "CARRY OUT" はテイクアウトもできることを意味している。

テイクアウトできますか?
<アメリカ> Do you do takeout?
<イギリス> Do you do takeaway(s)?

この場合の takeout/takeaway は「お持ち帰りに対応していること」という数えられない概念のため不可算名詞ですが、可算名詞で複数形の takeawaystakeaway meals の略です。

こちらでお召し上がりですか、それともお持ち帰りですか?
<アメリカ> For here or to go? / To stay or to go?
<イギリス> (To) eat here or (to) take away?

店員としてイートインとテイクアウトのどちらを希望か尋ねる場合、アメリカではこのように take out よりも to go を使うほうが普通です。一方、イギリスでは take away(この場合は動詞)と表現するのが普通ですが、「こちらで」ではなく「店内で」の場合は先ほどの写真のように eat in と表現します(飲み物の場合は stay in や sit in と表現)。なお、アメリカでも "Eat in or to go?" のように eat in を使う人はいます。

これらの文は "Is that for here?" (そのご注文はここでお召し上がりですか?) のようにどれも文頭に "Is that""Is this" を付けて表現されることもあります。なお、これらはどれも日本語の「お召し上がりですか」や「お持ち帰りですか」という敬語と違ってカジュアルな表現です(文化の違いです)。

Luis Molinero / Shutterstock.com

↑「Is that for here?」(その態度は文化の違いじゃありません...)

ここで食べます。
<アメリカ> For here, please. / To stay, please.
<イギリス> (To) eat here, please.
持ち帰りでお願いします。
<アメリカ> To go, please.
<イギリス> (To) take away, please.

Ice Tea / Unsplash.com

↑「それをテイクアウトでお願いします」と言いたければ "Can I have that to go, please?" (アメリカ) または "Can I have that to take away, please?" (イギリス)。

テイクアウトフードが大好きです。
<アメリカ> I love takeout food.
<イギリス> I love takeaway food / I love takeaways.

テイクアウトフード全般の意味ではこのように不可算名詞で単数形の food を付けますが、イギリスでは先ほど書いたとおりテイクアウトフード1食を "a takeaway" と表現できるため、複数形の "takeaways" も可能です(ただし状況によっては「テイクアウト店が大好き」の意味にもなり得ます)。

このエリアにはテイクアウトできるお店がたくさんあります。
<アメリカ> There are many takeout places / places that have food to go in this area.
<イギリス> There are many takeaway places / takeaways in this area.

アメリカでは地域や人によってこのように表現が大きく変わります(イギリスでも先ほど書いたとおりスコットランドでは変わりますが)。また、takeout を可算名詞として使わない人が多いため、テイクアウト店を "a takeout" (1店舗) や "takeouts" (複数店舗) と表現しないほうが無難です。一方、イギリスでは takeaway を可算名詞としてお店にも使えるため、複数の店舗をこのように "takeaways" と表現できます。

takeout place や takeaway (place) をテイクアウト専門店だけでなくレストラン兼テイクアウトのお店まで含めて解釈するかは人や状況によって違う可能性があるため、テイクアウト専門店だということを明確にしたい場合は -only を付けて takeout/takeaway-only place と表現するほうがいいでしょう。なお、「店」の部分に使えるその他の単語は前回の #121 「ファーストフード店」は英語で何と言う? で説明しています。

「イートインスペース」や「イートインコーナー」は英語で何と言う?

最後は、「イートインスペース」「イートインコーナー」の英語についてです。これらの言葉はまだ国語辞書に載っていないようですが、スーパーやコンビニなど購入/持ち帰りのみの利用を主に想定したお店にある飲食エリアのことだと思います(店内飲食の利用を主に想定したお店(つまり飲食店)の場合は持ち帰りに対応していても店内のことを普通は「イートインスペース」や「イートインコーナー」とは呼ばないからです)。

イートインかテイクアウトかを尋ねるのが当たり前のファーストフード店でも、店内飲食の利用を主に想定したレイアウトになっていれば普通は「イートインスペース」などではなくそのまま「店内」と呼ぶと思います。ただ、その場で食べるのが普通のフードコートでもその飲食エリアを「イートインスペース」や「イートインコーナー」と呼んでいる人たちはいるため、正直なところこれらの言葉の定義はよく分かりません。

frantic00 / Shutterstock.com

↑ショッピングモールのフードコートでギョーザ入り弁当を見せつける女性。

英語の場合、購入/持ち帰りのみの利用を主に想定したお店で購入時に "Eat in or...?" と聞かれるお店であれば、その店内飲食エリアを eat-in area と呼ぶのは(少なくともイギリスでは)別に変ではありません。

日本語では「エリア」よりも「スペース」や「コーナー」のほうが普通だと思いますが、英語では区切られた平面的な範囲を表すには area を使うのが普通で、立体的な「空間」と考えるのであれば space、「一角」と呼びたければ corner と表現できます(この「コーナー」の corner については次回説明します)。

一方、購入時に "Eat in or...?" と聞かれるような商品を売っていないお店(コンビニなど)の店内飲食エリアには、eat-in area ではなく eating area など別の表現を使うほうがいいと思います(どちらも発音はほぼ同じですが)。なお、今回見つかった主な訳語には dine in も含まれていますが、dine は「ディナー」と呼べるレベルの食事に使うため、お菓子や軽食程度のものを主に食べるエリアには使わないほうがいいでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これでイートインとテイクアウトのアメリカとイギリスでの表現の違いなどが分かりやすくなったかもしれません。

「イートインは和製英語です」と教えてくれる英語の先生がいたら、eat in は主にイギリスで使われているネイティブ英語だということを逆に教えてあげましょう。