#182 『青果(物)』の英語は produce, fruit(s) and vegetables, greengrocery などのどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第182回は「青果(物)」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です(その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意下さい)。

Josh Millgate / Unsplash.com

↑カタカナでは「フルーツ&ベジタブル」。でも本当は「フルート&ベジタブルズ」?


まず、「野菜と果物」を意味する「青果(物)」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「青果(物)」
インターネット上の主な英語訳
1. (fresh) produce
2. fruit(s) and vegetables / vegetable and fruit
3. garden stuff/truck
4. green goods
5. green groceries / greengrocery
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「青果 英語」「青果物 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、似た表現や単数形と複数形の違いを1つにまとめると主に5つの訳語が見つかりました。2番目の fruit(s) and vegetables の fruit(s) は単数形と複数形のどちらが正しいのでしょうか?

以下では、vegetable の略称やスーパーの「青果コーナー」の表現も含め、今回見つかった「青果(物)」の英語を分かりやすい順に説明します。

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Fruit(s) and Vegetables

まず、日本語では「野菜と果物」の語順のほうが普通だと思いますが、英語ではこのように逆順が普通です。

そしてアメリカでは vegetable だけでなく fruit も「1つ、2つ」と数えられる可算名詞として青果を fruits and vegetables と複数形で表すほうが多く、両方を一緒に述べる場合以外では fruit は不可算名詞 (数えられない名詞) として使われることもあります(野菜の vegetable は常に可算名詞ですが、形容詞として使う場合は複数の野菜でも例えば vegetable juice (野菜ジュース) のように単数形で使えます)。

一方、イギリスでは fruit を不可算名詞または集合名詞 (単数形のまま複数を意味する名詞) として fruit and vegetables と表現するのが普通で、複数の種類の果物を意味する場合でも "these types of fruit" (これらの種類の果物) や "a lot of different fruit" (多くの異なる果物) のように単数形で表す人が多い印象です。

Teddy / Rawpixel.com

↑「ねえ、どうして vegetable は複数形にするのに fruit はしないの?」「いやアメリカでは普通に複数形にするよ」

なお、vegetable(s) の略称はアメリカでは veggie(s) (発音は「ヴェジー(ズ)」) ですが、子供っぽいと感じる人もいたり、イギリスではベジタリアン (菜食主義者) を意味するので注意が必要です(ただしアメリカ英語の影響でイギリスでも最近は野菜の意味で使う人が多いようです)。一方、イギリスでは単数形でも複数形でも veg (発音は「ヴェジ」) と略すのが普通で、fruit and veg は一般的に使われるフレーズです。

(Fresh) Produce

この produce には「作り出す」「生産する/製造する」「プロデュースする」などの動詞の意味もありますが、名詞では主に「農産物 (特に青果)」を意味します。fresh (新鮮な) が付いた fresh produce は、その農産物/青果が採れたてだと言いたいときに使います。この produce は農産物/青果全体を意味する不可算名詞 (数えられない名詞) のため、複数個や数種類の農産物/青果を produces と複数形で表せません。

なお、アメリカではスーパーの青果売り場は一般消費者でも produce section と普通に呼ぶのに対し、イギリスでは少なくとも一般消費者は fruit and veg section と呼ぶのが普通です。

Arina P Habich / Shutterstock.com

↑これは「フレッシュな地元の人たちがプロデュースしました」という意味ではない...

Greengrocery

この greengrocery または2語の green grocery (どちらも複数形は -ceries) は表現も意味も日本語の「青物」(死語?) に近い言葉ですが(日本語と違って果物も含む)、この言葉を今でも青果に使う人は稀だと思います。ただし greengrocer (青物商(人)) や greengrocer's (shop) (八百屋/青果店) という言葉であれば少なくともイギリスでは普通に使えます(スーパーの普及によって八百屋の存在は稀となっていますが)。

なお、green が付かない単なる grocery/groceries とそれを売るお店の grocery store については #174 『食(料)品』の英語は food (product), foodstuff, groceries などのどれ? で説明しています。

Rob / Rawpixel.com

↑「緑色なんだから日本語の『青果』とか『青汁』とか『青信号』って変よね」

Garden Stuff/Truck, Green Goods

最後は、残された garden stuffgarden truckgreen goods についてです(直訳するとそれぞれ「庭のもの」「庭のトラック」「緑色の商品」になります)。

これらはもう使われていない言葉か専門用語のどちらか(または単なる誤訳)だと思いますが、その場合はこれらを訳語に載せていた辞書(『Weblio』など)はその点を説明する必要があるでしょう。いずれにしても、これらの表現を一般的に「青果」の意味で使うことはまずありません。

なお、今の時代に green goods のように商品を green ○○ と表現すると、例えば「グリーン家電」の「グリーン」のように「環境保全の」という意味で解釈されると思います。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「青果(物)」の英語表現の違いやアメリカとイギリスでの vegetable(s) の略称の違いなどが分かりやすくなったかもしれません。

今回は一般的に使われない表現の greengrocery や green goods を訳語に載せている辞書が多かったり(『英辞郎 on the WEB』や『Weblio』)、fruit(s) を付けずに単に vegetable と誤訳している辞書もありましたので(『Weblio』)、これらの辞書を使う際は十分に注意しましょう。