#15 「布団」の英語は本当に futon?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第15回は「布団」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Thayut Sutheeravut / Shutterstock.com

↑「布団」の英語は futon?「敷き布団」と「掛け布団」はそれぞれ英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「布団」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「布団」
インターネット上の主な英語訳
1. bedclothes
2. bedding
3. futon
4. Japanese futon
5. Japanese traditional bedding
6. Japanese traditional futon
7. Japanese-style bedding
8. mattress
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
フラミンゴ英会話ブログ
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
HiNative
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Kiminiオンライン英会話ブログ
Linguee(辞書)
NativeCamp.BLOG
日刊英語ライフ
RareJob English Lab
Reverso Context(辞書)
THE RYUGAKU
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋

※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「布団 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

※敷き布団または掛け布団に限定して説明していたサイトは一覧に含めていません。

ご覧のとおり、似たような訳語がいくつか見つかりました。この中のどれが「布団」を意味するのでしょうか? また、「敷き布団」「掛け布団」はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか?

以下では、今回訳語が見つかった辞書・サイトで説明が見られなかった各表現の意味の違いも含め、「布団」の英語について分かりやすく説明します。

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「布団」とは

まず、例えば友達が「このあいだ布団を買い替えたよ」と言ったら、あなたはそれが掛け布団と敷き布団のどちらか分かるでしょうか? また、例えば家族が「早く布団畳みなさいよ!」と言ったら、あなたは掛け布団と敷き布団のどちらかだけを畳むでしょうか? それとも両方とも畳んでシーツや枕だけは放置するでしょうか?

このような例から、私たちが普段使う「布団」という日本語は少なくとも(床に寝る人の場合は)敷き布団と掛け布団、そして状況によっては毛布、タオルケット、シーツ、枕なども含む「夜具」の意味だということが分かります(昼夜逆転の生活で昼間に寝る人も多いですが、以降の説明でも「夜具」という表現を使います)。

では、この「敷き布団 + 掛け布団」や枕なども含む「夜具」という意味での「布団」を futon と表現していいのでしょうか? 欧米で使われている futon という単語はマットレスタイプのソファーベッドや敷き布団を意味するのが普通のため、「布団」の英語として適切ではないと言えるでしょう。

この布団全体を意味する英語について説明する前に、まずは敷き布団の英語について説明したいと思います。

「敷き布団」は英語で何と言う?

今説明したとおり英語の futon は敷き布団を意味する場合がありますが、欧米の futon は日本のものより2倍くらい厚くてデザインもマットレス風のため、日本の敷き布団を説明する際は別の表現を使うほうがいいでしょう。その場合、以下のような表現があります。

Photographee.eu / Shutterstock.com

↑日本の敷き布団よりも分厚くデザインも違う futon の上で朗読を楽しむ女性。

まず、「日本の敷き布団」という意味で Japanese futon と表現できますが、日本のソファーベッドと勘違いする人や「futon は日本のものだから "Japanese" は不要では?」と思う人もいるかもしれません。

そこで、Japanese (futon) mattress と表現すると今度は日本製の(ベッドフレームに載せる)マットレスと思われたり、敷き布団の下に敷く厚手の敷物(これも mattress)と区別できなくなるかもしれません。

また、英語のウェブサイトの中には敷き布団のことを sleeping cushion や bed cushion と表現しているものがありますが(この "bed" は「ベッド」ではなく「寝床」の意味)、sleeping cushion は例えば飛行機内で座ったまま寝るときに首の後ろに当てるクッションと誤解される可能性もあるでしょう。

さらに、和英辞書の中には「敷き布団」の訳語に sleeping mat という表現を載せているものがあり、この表現であればマットレスよりも薄くてペタッとしたあの日本の敷き布団のイメージに合っているものの、状況によってはキャンプなどで寝るときに使うマットと誤解されるかもしれません。

このように各表現が「敷き布団」の意味になるかどうかは相手や状況によるため、どれかを使って通じなければ別の表現を使うというのが正しい考え方だと思います。

「布団 (夜具)」は英語で何と言う?

さて、先ほどの毛布や枕も含む「夜具」という意味での「布団」は英語で何と言うのでしょうか? 正解は今回見つかった訳語の2番目にある bedding です。

日本語には「夜具」と「寝具」という似た言葉がありますが、国語辞書では「寝具」にだけ「寝巻」が記載されています。「夜具」にも寝巻やパジャマが含まれるのかは分かりませんが(「寝具」の同義語となっているため含むと思います)、英語の bedding はこれらの衣服は含まずあくまでマットレスの上に載せる布団類や枕を意味します(イギリスではマットレスやベッドのフレームまで含む場合があります)。

MemoryCatcher / Pixabay.com

↑マットレスの上にある布団類や枕はすべて bedding だ(イギリスでは bedclothes と呼ぶ人もいる)。

先ほど説明したとおり英語の futon はソファーベッドや敷き布団を意味するのが普通のため、自宅に泊めてあげている英語圏出身の友人に「布団を畳みなさい!」と言う場合は "Fold up your futon!" よりも "Fold up your bedding!" のほうが英語的には正しいのですが、日本では布団一式を「布団 (futon)」と呼ぶため国内においては "Fold up your futon!" と表現しても別に間違いではないでしょう。

また、欧米の布団と日本の布団は違うものだということを明確にしたい場合は Japanese(-style) bedding と表現してもいいと思いますが、今はベッドで寝る日本人も多いため冒頭の写真のような床に敷く布団一式は traditional (伝統的な) という単語を付けて Japanese traditional bedding と表現するのが最適です。

なお、bedding には "bed" という文字が含まれているため「床に敷く布団には使えない単語なのでは?」と思ってしまいそうですが、この bed は「ベッド」の意味ではないため問題ありません。

今回調べた辞書・サイトで「布団」の訳語に bedding を載せているものはいくつかありましたが、この単語が毛布や枕も含む「夜具」(または寝具) の意味だということまで記載しているものは3つだけでした (『DMM英会話なんてuKnow?』『goo』『weblio』)。

Bedding と Bedclothes の違い

さて、今回見つかった訳語には bedding に似た bedclothes も含まれていますが、アメリカで今でもこの表現を使う人はほとんどいないと思います(多くの人はこの単語を聞いたことすらないと思います)。

一方、イギリスでは布団類、枕、マットレス、ベッドフレームのすべてを bedding と考える人、布団類と枕だけを bedding または bedclothes と考える人、マットレスと枕だけが bedding で布団類は bedclothes と考える人など、人によってこの2つの単語の解釈が異なります。

「掛け布団」は英語で何と言う?

掛け布団はアメリカでは comforter、イギリスでは duvet が現在の一般的な表現です。アメリカでは厳密には comforterduvetquilt(この順で薄くなる)という3つの異なる掛け布団があり、この中の duvet は羽毛布団を意味するのが普通ですが、そのような違いは重要でないためか duvet のことも comforter と呼ぶ人が多いようです。イギリスでは掛け布団に comforter という単語が使われることはまずありません。

Toa Heftiba / StockSnap.io

↑ふかふかの掛け布団の上に朝食を置くという危険な行動に出る奥様。

quilt はアメリカでは異なる形や色の布をはぎ合わせた(または1枚の)表地と1枚の裏地の間に綿などを詰めて刺し縫いした薄手の上掛け、イギリスでは continental quilt(duvet の昔の呼び名)の意味もあります。

また、イギリスにはケワタガモ (eider duck) の羽毛を使った eiderdown という伝統的な掛け布団(今は合成繊維のものが多いようですが)もあります。これは、「マットレス → シーツ → 身体 → 第二シーツ → 毛布 → eiderdown」のように使うものですが、今は「マットレス → シーツ → 人 → duvet」というスタイルが一般的になっています(つまりイギリスの duvet はかなり厚手ということになります)。

この duvet には合成繊維の他に羽毛を使ったものもあるため eiderdown との違いが分かりにくいですが、eiderdown は薄めの伝統的な掛け布団、duvet は厚めの現代的な掛け布団という理解でいいでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「布団」の英語訳の意味の違いが多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

もしどこかから「布団って英語でも futon って言うんだよ」という声が聞こえてきたら、「本当にそうでしょうか?」と会話に割り込んで今回の内容を細かく説明してあげましょう。

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