#76 『グッズ』の英語は goods, items, merchandise, products のどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第76回は「グッズ」「アイテム」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
◆更新履歴は「お知らせ」に載せています。

New Africa / Shutterstock.com

↑「今すぐキャンペーンに応募して旅行グッズをゲットしよう!」(えっ、当たったら全部もらえるんですかっ?)


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「グッズ」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「グッズ」
インターネット上の主な英語訳
1. collectables
2. commodities / commodity
3. goods
4. item(s)
5. merch / merchandise
6. product(s)
7. promotional items
8. stuff
9. thing
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
Daijob.com
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
Lang-8
Linguee(辞書)
マスターランゲージ
ネイティブと英語について話したこと
NexSeed Blog

Reverso Context(辞書)
ツカウエイゴ
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「グッズ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主な訳語だけでもこれだけの数になりました。カタカナの「グッズ」の元になっている goods と「アイテム」の item(s) も含まれていますが、これらの違いは一体何でしょうか?

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現も含め、「グッズ」や「アイテム」の英語について分かりやすく説明します。

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「グッズ」と「アイテム」の違い

まず、主な国語辞書で「グッズ」は「商品」や「品物」と説明されていますが、例えば金融商品を「金融グッズ」とは普通呼ばないことや、高級着物の通販サイトも「ご注文からグッズが届くまで」のようには書かないことから、「グッズ」というカタカナ英語は「商品」や「品物」と違ってカジュアルな言葉だと言えます。

また、「グッズは商品全体でアイテムは品物1点」のように説明している日本語のウェブページもありますが、それは英語の goods と item の違いであって、日本語では例えば賞品が1つしか当たらないキャンペーンでも複数形で「グッズが当たる!」と書きます(単数形で「グッド」と書いているのは見たことありません)。

yoshi0511 / Shutterstock.com

↑「これいいグッドじゃん! ゲットしようよ!」「おいおい、同じことを日本語と英語で二度言わなくていいんだぞ...」

Good(s), Merchandise, Product(s), Item(s) の違い

さて、今回見つかった主な訳語の中で重要なものは次の4つです。

good(s)
・アプリやサービスなど無形物も含む日本語の「商品」よりも狭義の「有形商品」を意味するのが普通。
・goods and services や consumer goods のように普通は品々全体を複数形で表す。
・経済学の話などでは1つの品を "a good" や "the good" と単数形で表すこともある。
merchandise
・商取引されている有形物と考えるのが普通のため、これも「有形商品」と表現するのが適切。
・映画や音楽のプロモーションで販売または無料提供されるグッズの意味でも使われる。
・普通は不可算名詞(数えられない名詞)として使うため、1つの商品/グッズは "a merchandise" ではなく "an item of merchandise" や "a merchandising item/product" と表現する必要がある。
product(s)
・製造や製作された品を意味するため、「製品」という日本語が最適。
・アプリなど無形物も含む一方、同じく無形物の「サービス」は含まないと考える人もいる。他の無形物の例として、financial product がある(ただし日本語では「金融製品」ではなく「金融商品」)。
・可算名詞(数えられる名詞)のため、1つの品を "a product" や複数の品を "products" と表現できる。
item(s)
・「商品」や「製品」など、どのタイプの品々でも単にその中の「(各)品」を意味する単語。
・全体のリストなどの中の「(各)項目」の意味でも使われる。
・これも可算名詞のため、1つの品を "an item" や複数の品を "items" と表現できる。
なお、4文字以下で言いやすい「グッズ」と「アイテム」と違い、merchandiseproduct をわざわざ気取ったカタカナ英語で「マーチャンダイズ」と「プロダクト」と呼ぶ人は少ないと思います。

takayuki / Shutterstock.com

↑「今から弊社のマーチャンダイズを動画でご覧いただきます」「あなたがその大豆を育てたマーちゃんなんですか?」

「グッズ」は英語で何と言う?

では、日本語の「グッズ」にはどの英語を使えばいいのでしょうか? 次の3つの場合があります。

A. 英語でも "~ goods" と表現する硬い言葉がそのまま「~グッズ」と訳されている場合
例えば consumer goods (消費財) のような硬い言葉の "goods" は普通はカタカナで「グッズ」とは表さないものの、「コンシューマーグッズ」のようにカタカナで和訳されている場合は英語でも goods。
B. 映画や音楽のプロモーション用のグッズやキャラクターグッズの場合
これは merchandise が最適で、販促用であれば promotional merchandise と表現できる。ただし先ほど書いたとおり普通は不可算名詞として使うため、1品は "a promotional merchandise" ではなく "an item of promotional merchandise" や "a promotional (merchandising) item/product" と表現する。
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「キャラクターグッズ」の直訳の character goods は、日本の漫画やアニメのファン以外には character-themed merchandise と表現するのが無難(character merchandise と略すとキャラクターのフィギュアと誤解される可能性あり)。これも品1つは "a character-themed item/product" のように表現する(詳細は #153 『キャラクターグッズ』や『アニメ/マンガグッズ』は英語で何と言う? を参照)。
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略称の merch はあらゆる有形商品ではなくこの販促グッズやキャラクターグッズだけを指す言葉。ただしイギリスでは普通使わない略で、アメリカでも聞いたことがない人もいるため使わないのが無難。これらを「収集品」と言いたければ collectibles と表現できる(普通は複数形で品々全体を表す)。単に「品(々)」と言いたい場合は item(s) を使い、例えば「ディズニーグッズ」は "Disney item(s)"。
C.「商品」や「製品」だと硬い印象を与えるから「グッズ」や「アイテム」と表現されている場合
例えば「睡眠グッズ」「旅行グッズ」「防犯グッズ」「収納グッズ」「エコグッズ」など、「~商品」や「~製品」と表現すると硬い印象を与えるからカタカナで「~グッズ/~アイテム」と表現されている場合は、英語でも goods、merchandise、product(s) ではなく硬い印象のない item(s) を使うのがお勧め。
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また、accessary を使って sleep accessories (睡眠グッズ) や travel accessories (旅用グッズ) とも表現できる。ネックレスなどの装身具 (fashion accessory) をイメージさせる日本語の「アクセサリー」よりも意味が広く、「(必須ではないけれど) あると便利な品」を意味する。睡眠や旅行の場合はアイマスクや耳栓などが該当し、家で寝る際の枕や旅行時のスーツケースなど必須のものは含まないと考えられる。

なお、最後の accessory/accessories を「グッズ」の英語に載せている辞書・サイトはありませんでしたので、少なくとも辞書は載せておくべきでしょう(このページの公開後に『Reverso Context』に載りました)。

metamorworks / Shutterstock.com

↑「英語圏の人は眠れないときにアクセサリーを付けるらしいよ」「オシャレしたって眠れるわけないじゃん...」

最後に、今回見つかった主な訳語で残された3つのうち、commodity は穀物、コーヒー、鉄鉱石、パソコンのメモリなどにも使われる硬い言葉で、thingstuff は「もの」を意味します(stuff は口語的な「やつ」というニュアンス)。stuff は不可算名詞のため例えば2つの品を "two stuffs" と表現できず、"two things" と表現すると品物以外の意味にもなり得るため、やはり item(s) や product(s) を使うのがいいでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで good(s)、merchandise、product(s)、item(s) の違いや「グッズ」の英語表現が分かりやすくなったかもしれません。

このブログでは他にも「トーナメント」「ワインクーラー」「ビジネスシーン」「リニューアル」「レースカーテン」「マドラー」「ブラッシュアップ」「ティッシュペーパー」など、日本語と英語で意味やニュアンスが少し違うものを多く取り上げていますので、時間のあるときに読んでみましょう。

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