オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第3回は「ホームセンター」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
◆更新履歴は「お知らせ」に載せています。
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↑DIYに必要な日曜大工用品。これらを売る「ホームセンター」は英語で何と言う?
まず、「ホームセンター」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
1. do-it-yourself store / DIY store
2. hardware store
3. home center
4. home improvement center/retailer/store
アメリカで10倍うまく立ち回る方法
bab.la(辞書)
CanCam.jp
DMM英会話なんてuKnow?
デュープラー英語学院・オフィシャルブログ
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Hall In The Wall
HiNative
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
教えて!goo
Reverso Context(辞書)
田中英語塾講師の日記
ツイてる英語ブログ~幸せ脳イングリッシュ^^~
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋
ご覧のとおり、主に4つの訳語が見つかりました。日本語の「ホームセンター」と同じ home center の他に DIY store や hardware store などが含まれていますが、一体どれを使えばいいのでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかったアメリカとイギリスでの表現の違いも含め、「ホームセンター」の英語について分かりやすく説明します。
アメリカでホームセンターは何と呼ぶ?
まず、アメリカ人の先生でも「実は和製英語」と説明してしまう人がいる home center は、実はアメリカでも地域によっては使われています(英語版ウィキペディアの『Hardware store』のページにもアメリカでこの表現が使われている説明があります)。ただ、もっと一般的な表現は home improvement store (住まいを良くするためのお店) や home improvement center (住まいを良くするための総合施設) です。
同じく今回見つかった主な訳語に含まれている hardware store の hardware は、ソフトウェアに対する「ハードウェア」ではなく鍋、ノコギリ、シャベルなど主に金物の雑貨・器具を意味します。本当はこれらの品々を売るお店で今は稀な「金物屋」レベルのお店が hardware store ですが、家の増改築に必要な品々も売るもっと大きなお店として登場した「ホームセンター」にもこの言葉を使う人は多い印象です。
つまり日本の「ホームセンター」に該当するお店のうち、金物屋レベルのものは hardware store、家の増改築を目的とした品々を多く売るお店は home improvement store、「総合施設」と呼ぶのが相応しい大型店は home improvement center と表現するのが最適ということです(普通は店名で呼びますが)。
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↑「住まいを良くするためのお店だから home improvement store。すごく分かりやすい表現だよね」
イギリスでホームセンターは何と呼ぶ?
では、イギリスでホームセンターは何と呼ばれているのでしょうか?
アメリカとイギリスで一般的な呼び名が違うことを説明している辞書・サイトは見当たりませんでしたが(このページの公開後は見られるようになりました)、イギリスでは DIY store と表現するのが普通です。日本でも使うこの DIY という言葉は、大工仕事を「自分でする」ことを意味する do it yourself の略です。
イギリスでは商店を shop と呼ぶのが基本ですが、#1 『お店』の shop と store の違いは何? で説明したとおりデパートやホームセンターの種別名には store が使われます。また、イギリスでも「総合施設」と呼ぶのが相応しい大型店は centre (アメリカとのスペルの違いに注意) を使って DIY centre と表現できます。
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↑「職場でDIYやることもあるんだから home improvement っておかしいでしょ...」
先ほどの「金物屋」はイギリスではかつて ironmonger's (shop) (金物を仕入れて売る人のお店) と呼ばれていましたが、金物の専門知識のない店員が多いお店が増えたためか、今は hardware shop/store と呼ぶ人が多い印象です(金物に限らず日用雑貨全般を売るお店をそう呼ぶ人もいます)。つまり、hardware store という言葉はアメリカでもイギリスでも主に金物の雑貨・器具を売るお店に共通して使えるということです。