オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第127回は「ホームページ」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
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↑ネットの記事を読む2人。彼らが見ているのは「ホームページ」と「ウェブサイト」のどちらなのだろうか...
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ホームページ」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
1. home page / homepage / HP
2. internet site / Internet website
3. site
4. Web page / web page / webpage
5. Web site / web site / Website / website
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英語 with Luke
英辞郎 on the WEB(辞書)
Global Square Blog
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
Weblio英会話コラム
WebSaru(辞書)
ご覧のとおり、大文字と小文字の違いや半角スペースの有無を無視すると、主に5つの訳語が見つかりました。これらの違いは一体何でしょうか? また、すべての英語学習サイトで home page は和製英語と説明されていましたが、本当にそうでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった personal home page の意味も含め、「ホームページ」の英語について分かりやすく説明します。
「ウェブサイト」「ウェブページ」「ホームページ」の違い
まず、日本で一般的に「ホームページ」と呼ばれているものは、インターネット上の (World Wide) Web というシステムにある site (場所) のため英語では website (ウェブサイト) と呼ぶのが普通です。日本でもそう呼ぶ人は多いため、日本語の「ホームページ」と「ウェブサイト」は普通は同じものを意味します。
Web は固有名詞のため、「ウェブサイト」は本来は Web の頭文字を大文字にしたまま site の前にスペースを入れて Web site と書くのが正しい表記です。ただ、固有名詞は普通名詞化すると頭文字が小文字になり、頻繁に使われる名称で1語につなげても読みやすいものは1語にされる傾向があるため、今では少なくとも一般の人は website と書くのが普通です(インターネットの話だと分かる状況では単に site と略せます)。
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↑地球が爆笑しているように見えるが、この WWW は World Wide Web の略だ。
1つのウェブサイトには複数のページがあるのが普通で、それらのページはウェブ上にあるためそれぞれ web page と表現できます。ただ、インターネットの話やウェブサイト内のページの話だと分かる状況では web を省略して単に page と表現するほうが自然です。また、web page という言葉は website ほど頻繁に使われる言葉ではないためか、1語につなげて webpage と書くことはあまり多くないようです。
これらの web page の中でそのウェブサイトの入り口となるページ(当ブログの場合はこのページ)を日本では「トップページ」と呼びますが、紛らわしいことに英語ではこれを home page と呼びます(1語につなげて homepage と書く人も多くいます)。なお、トップページを main page と呼ぶ人もいたり、ウェブブラウザー (EdgeやChrome) を起動したときに最初に表示されるページを home page と呼ぶ人もいます。
つまり、ここまでの説明を分かりやすい図式にすると次のようになります。
このように日本では website を「ホームページ」と呼ぶのが普通のため、home page には別の言葉を使わないと誤解が生じてしまいます。そこで「トップページ」という言葉が使われているわけですが、英語ではトップページを top page とは表現しないので注意が必要です。
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↑「それがあなたのホームページなのね」「いや、これはQ&Aのページだよ」
なお、「ホームページ」の英語に HP も載せている辞書がありましたが(『Weblio』)、英語ではそう略すと状況によってはコンピューター機器メーカーの hp (Hewlett-Packard の略) と誤解される可能性があります。また、Internet website という訳語を載せている辞書もありましたが(『英辞郎 on the WEB』)、少なくとも一般の人にとって Internet と web は同義語のためこの表現は使わないほうがいいでしょう。
ウェブサイトを「ホームページ」と呼ぶのは和製英語?
さて、最初に書いたとおり今回訳語が見つかった辞書・サイトのうちすべての英語学習サイトで「ホームページ」は和製英語と説明されていました。確かにアメリカやイギリスなどの英語圏では日本と違ってウェブサイト全般を home page とは呼びませんが、それだけで「和製英語」と断定してしまっていいのでしょうか?
日本語版ウィキペディアの『ホームページ』というページには、ドイツでもウェブサイトを home page と呼ぶという説明が見られます。また、自国ではウェブサイトを home page と呼ぶと投稿しているスイスや韓国の人が英語のネット掲示板で見られます。世界は「英語圏」と「日本」の2つだけで成り立っているわけではないのですから、「英語圏で使われていない英語 = 和製英語」ということにはならないでしょう。
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↑「ほら、日本では website を home page って呼ぶのよ」「僕の国と同じじゃないか...」
また、英語版ウィキペディアの『Personal web page』のページによると個人が趣味の共有や自己アピールのために作るサイト(複数ページのもの含む)を昔は (personal) home page と呼んでいたようで、もしかするとこの言葉が日本を含む一部の国でそのままウェブサイト全般に使われるようになったのかもしれません。
そもそもインターネット上のページを「家のページ」と表現するのは日本人の発想とは思えないため、home page が和製英語 (=日本で作られた英語) という可能性はかなり低いでしょう。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「ホームページ」と「ウェブサイト」の関係や大文字/小文字/スペース有無の違いなどが分かりやすくなったかもしれません。
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