オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第159回は「以下、○○(という/と呼ぶ)」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
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↑「よし、これで完璧だな...」「社長、hereinafter と hereafter の違いは何ですか?」
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「以下、○○という」や「以下、○○と呼ぶ」というフレーズはどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
1. hereafter
2. hereinafter called
3. hereinafter referred to as
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ご覧のとおり、主に3つの訳語が見つかりました。論文や契約書で使われる hereafter や hereinafter という硬い言葉を使いたくない場合はどうすればいいのでしょうか?
以下では、この hereafter と hereinafter の違いも含め、「以下、○○(という/と呼ぶ)」の英語について分かりやすく説明します。
Hereinafter を使って「以下、○○」を表現する
まず、上の辞書・サイトのページの多くは論文や契約書など硬い文書での「以下、○○(という/と呼ぶ)」の英語について書かれており、その場合は主に hereinafter referred to as というフレーズを使うと説明されています(hereinafter は「以下」、referred to as は「という/と呼ぶ」に該当します)。
つまり、そのような硬い文書やウェブページで例えばこのブログ(Eiton English Vocablog)について「Eiton English Vocablog(以下、EEVと呼ぶ)は...」と説明したい場合は次のように表現します。
この hereinafter の部分には in がない hereafter が使われることもありますが、これはその文書内に限らず「今後ずっとそう呼ぶ」という意味になってしまうため厳密には正しくないとされています。hereinafter を使ったままもう少し短くしたければ、上の訳語の2番目にある called を使って (hereinafter called EEV) とするか、シンプルに (hereinafter EEV) と表現できます。
ただ、いくら本格派で高品質なこのブログでも、論文など硬い文書で取り上げられることなどあり得ずこれらの表現は違和感が否めません。普通の文書やウェブページでも使える硬すぎない表現はないのでしょうか?
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↑「ねえ、このフレーズの硬すぎない言い方ってないの?」「あたしだったら...」
Hereinafter を使いたくない場合
この場合はどの辞書・サイトも載せていなかった below を含む referred to below as というフレーズを使うのが最適で、上の例であれば次のように表現できます。
注意点は、「以下に」に該当する below の位置が hereinafter とは違うところです。この below を使うことで先ほどの堅苦しい印象はなくなり、このブログのことを英語で記事に書きたい場合でも使えるようになりました(誰も書いてくれることはないと思いますが...)。
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↑「そっかー、below をそこに入れればいいのか~」
カッコ内を略称だけにしてもいい
最後に、次のようにカッコ内を hereinafter や below を使わず略称だけにしても同じ意味になります。
論文や契約書など硬い表現が好まれる文書ではこのように略さず先ほどの hereinafter referred to as を使うほうがいいかもしれませんが、普通の文書やウェブページで特に複数の名称をそれぞれ「以下、○○」と説明するとくどい感じがする場合は、このようなシンプルな表記にするほうが読みやすくなっていいでしょう。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回紹介した below を使った表現が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。
フレーズだけ暗記しようとすると忘れてしまうと思いますので、このブログの名称と一緒に何度も紙に書いて頭の中に刷り込んでおきましょう...