#176 『印象的』の英語は本当に impressive?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第176回は「印象的」「印象に残る」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です(その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意下さい)。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「とても印象的な絵だわねぇ...」と印象的な絵を眺める人。さて「印象的」や「印象に残る」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「印象的(な)」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「印象的(な)」
インターネット上の主な英語訳
1. impactful
2. imposing
3. impressive
4. memorable
5. striking
6. telling
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
ネイティブと英語について話したこと
NS6
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「印象的 英語」「印象的な 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に6つの訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのはすべての辞書・サイトが載せていた impressive です。これは本当に「印象的」なのでしょうか?

以下では、「インパクトがある」や「訴える力がある」の表現も含め、「印象的」や「印象に残る」の英語について分かりやすく説明します。

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Impressive ≠ 印象的

まず、主な国語辞書で「印象的」は「強く心に刻みつけられるさま」と説明されており、それほど強いかどうかは別として印象に残るものは例えば「笑顔が印象的でした」のように表現できます。

では、impressive は「印象的/印象に残る」と同じ意味なのでしょうか? 名詞の impression は確かに「印象」ですが、動詞の impress は単に印象を与える/残すのではなく実は「感心/感動させる」や「感銘を与える」、形容詞の impressive も分かりやすく言うと「素晴らしい/すごい(いい)」という意味なのです。

Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com

↑「This is impressive...」(それは「印象的ですね」ではなく「素晴らしいですね」と感銘を受けている顔ですね?)

今回訳語が見つかった辞書・サイトでこのように impressive が「印象的」という日本語よりも明確に強い感心/感動を表すことを説明しているものは1つだけでしたので(『ネイティブと英語について話したこと』)、多くの人はこの日本語と英語のどちらかの意味を正しく理解していないのかもしれません。

「印象的」や「印象に残る」は英語で何と言う?

では、「印象的」の英語は何でしょうか? 例えば冒頭の写真のような絵を見た後に「強い印象を自分に与えた/残した」という意味で「とても印象的でした」と言いたい場合は、"It made/left a strong impression on me" と表現できます。同じく見た映画や動画について例えば「どのシーンが(とても)印象的でしたか?」と尋ねたい場合は、"Which scenes made/left a (strong) impression on you?" と表現できます。

一方、その絵を見ている最中に「とても印象的ですね」と言いたい場合は、「強い印象を与えますね」と表現すると少なくとも英語では何が言いたいのかよく分からず、「強い印象を与えそうですね」と表現するのも感想として不自然なため、"This will leave a lasting impression on me" (ずっと印象に残りそうです) と表現するか、「印象的」がその意味でないのであればもっと分かりやすい表現を使うほうがいいと思います。

Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com

↑「印象的なメロディーね~」「ええと...どういう意味なのかなそれ?」

その場合、インパクトがあると言いたいのであれば have an impact、目や心に訴えるものがあるのであれば appealing、目を引く力があるのであれば eye-catching (音楽の場合は catchy)、興味を引かれるのであれば interesting、個性的に感じるのであれば unique と表現するのがいいでしょう。

なお、impressive 以外の今回見つかった主な訳語については、impactful が「インパクトの強い」(ただしこの単語は正しくない英語と考えるネイティブスピーカーも多いので注意)、imposing は「見た目などが立派/堂々としている」、memorable は「記憶しやすい/覚えておく価値がある」、striking は「(普通ではないため) 注意を引く」、telling は状況によって striking と同じ意味で使えます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「印象的」と impressive は意味が少し違うという説明が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

このブログを読んで very impressive と感じていただけた方は、「とても印象的なブログですね」などという控えめな言い方ではなく「すごいブログですね」と褒めていただけると嬉しいです...