#114 『コンビニ (略称含む)』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第114回は「コンビニ」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

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↑「えっ、マジすか? 英語でコンビニをそう略すことあるんすか?」


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「コンビニエンスストア」「コンビニ」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「コンビニ(エンスストア)」
インターネット上の主な英語訳
1. convenience store
2. corner shop
3. CVS
4. drug store
5. gas station
6. local shop
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
英会話カフェ
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
MYスキ英語
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
Weblio英会話コラム
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「コンビニエンスストア 英語」「コンビニ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に6つの訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのは日本語と同じ convenience store です。他にもドラッグストアを意味するはずの drug store やガソリンスタンドを意味するはずの gas station が含まれているのはなぜでしょうか? また、CVSconvenience store の略なのでしょうか?

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった業界向けの略称も含め、「コンビニ」の英語について分かりやすく説明します。

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アメリカでコンビニは何と呼ぶ?

まず、アメリカ英語で「コンビニ」は convenience store です(日本語の「コンビニ(エンスストア)」はこれをカタカナにしたものです)。アメリカでもコンビニとスーパーは別物ですが、#64 『スーパー (総合スーパー含む)』は英語で何と言う? でも説明したとおり日本のスーパーに該当するお店はアメリカでは grocery store と呼ばれており、通路がいくつも並んで規模が大きければ supermarket とも呼ばれます。

今回見つかった「コンビニ(エンスストア)」の英語に gas station (ガソリンスタンド) も含まれているのは、アメリカのコンビニの多くがガソリンスタンドに併設されているからです。そのため、併設されたコンビニに買い物に行く場合でも "I'm going to the gas station" (ガソスタに行ってくる) と表現したりします。

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↑「いらっしゃいませ~、ただいま揚げ物全品1割引きで~す」

なお、アメリカやイギリスのガソリンスタンドのほどんどはセルフ給油式のため、日本と違って給油スタッフはいないのが普通です(いたとしても上の写真のようにコンビニの商品を案内することはないでしょう...)。また、イギリスでは「ガソリン」を gasoline やその略の gas ではなく petrol と呼ぶため、ガソリンスタンドは petrol station になります(filling station という表現であればどちらの国でも使えます)。

その他、今回見つかった主な訳語には drug store (ドラッグストア) も含まれていますが、これは日本のドラッグストアと同じく食品なども売る薬店のためコンビニとは少し違います(ドラッグストアや薬局のアメリカとイギリスでの表現の違いは #49 『(調剤)薬局』『薬店』『ドラッグストア』は英語で何と言う? を参照)。

イギリスでコンビニは何と呼ぶ?

イギリスではお店(飲食店など除く)は基本的に shop ですが、アメリカの department store という言葉がイギリスのデパートでも使われたことで他の大型店にも store が使われるようになり、同じく store と表現する小型店も現れるようになりました(詳細は #1 『お店』の shop と store の違いは何? を参照)。

都会の小さなコンビニのようなお店は街角にあることが多いため corner shop と呼ばれてきましたが、今ではアメリカのように convenience store という表現がこのタイプのお店の種別名として使われることが多くなっています。ただ、普段の会話では食品、飲料、雑誌などを売っている小さなお店は単に "a/the shop" と表現するか、店名(特に大手スーパーが展開しているミニスーパーの場合)で呼ぶのが普通です。

Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com

↑「ねえ、帰りにコンビニエンスストアでお菓子買って帰んない?」「いつからあのショップをそう呼ぶことにしたのよ?」

いつか年齢層や地域に関係なく convenience store という言葉が会話でも普通に使える日が来るのかもしれませんが、今のところは "I'm going to the shop" (そこの店に行ってくる) や "Is there a shop round here?" (この辺にお店あります?) のように表現するのが無難です。shop の種類には barber's shop (床屋) や bike shop (自転車屋) などもありますが、今の例ではコンビニや同規模の小型スーパーを意味します。

Convenience Store の略は本当に CVS?

最後は、convenience store の略称についてです。英語では「コンビニエンス」程度の語は略さないと説明している英語学習サイトもありましたが、それはあくまで一般消費者の話であり、市場レポートなどでは今回調べた辞書・サイトが載せていなかった c-store (または C-store) という略称が使われます。

一方、日本のマーケティング業界などでは CVS と略すことが多く、この略語を載せていた2つの辞書のうち1つはそれを「和製語略」と補足しています(英語圏以外のアジアの国や欧州の文書での使用も見られます)。

なお、アメリカには CVS というドラッグストアがありますが、これは Consumer Value Stores を略したものです。コンビニの場合は convenience と store という2つの単語で成り立っているため c-store(s) と略すことができ、CVS(s) と略すよりも発音が楽になります。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明したアメリカとイギリスでの表現の違いや業界向けの略称が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

イギリスで通行人に "Is there a convenience store round here?" と尋ねると、convenience store というアメリカの表現に抵抗のある一部の人は意地悪く "No" と答えるかもしれません...

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