#194 『雇用/採用する』の英語は adopt, employ, hire, recruit などのどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第194回は「雇用」「採用」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Teddy / Rawpixel.com

↑「スミマセン、雇用担当の方はいらっしゃいますか?」「えーと...あっ、採用担当のことですね?」


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「雇用する」「採用する」はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「雇用する」
インターネット上の主な英語訳
1. employ
2. engage
3. hire
4. take on
「採用する」
インターネット上の主な英語訳
1. adopt
2. embrace
3. employ
4. hire
5. recruit
6. take on
7. take up
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
Communicatable
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

外資系企業で働く英語力
Glosbe(辞書)

goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Kiminiオンライン英会話ブログ
My English
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
役立つ英語ブログby大阪の日本人英会話講師KOGACHI
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「雇用する 英語」「採用する 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、どちらの訳語にも employ や hire が含まれています。ということは英語には「雇用」と「採用」の違いがないのでしょうか? また、recruit (リクルート) も本当に「採用する」なのでしょうか?

以下では、adopttake on などその他の訳語の意味も含め、「雇用」と「採用」の英語について分かりやすく説明します。

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Employ と Hire の違い

まず、この2語の違いを説明した日本の英語学習サイトでは employ が「正式に/長期的に (正社員として) 雇う」で hire が「一時的に/一定期間だけ雇う」のような説明が多く見られますが、これは大きな誤解です。

この2語の正しい違いは employ が短期/長期に関係なく退職まで社員(日本であれば正社員、契約社員、パート/アルバイトなど)として「雇用」していることで(ただし少なくともアメリカでは社員は無期または1年以上の長期で雇用するのが普通)、社員であれそれ以外(派遣・請負スタッフや弁護士など)であれ契約を結ぶなどして使えるようにする行為(社員であれば雇用したい人を「採用」すること)が hire です。

また、hire が「一時的に雇う」を意味するのはイギリス英語と説明している英語学習サイトもありますが、アメリカでもイギリスでも期間に関係なく社員を採用することには今説明した hire が使われ、無期雇用の社員の求人広告でも「採用中」は "We're Hiring" や "Now Hiring" と表現されます(日本語でもこれを「雇用中」とは言わないように英語でも "We're Employing" や "Now Employing" とは言いません)。

Tanasiri / Rawpixel.com

↑「採用中!」と書かれた求人広告。一時的な仕事だと勘違いしてはいけない。

なお、弁護士や探偵など社員として「雇用」するのではない人たちでも日本語では「雇う」と言いますが、英語では今説明したとおり employ ではなく hire が使われます。また、イギリスではこの hire を車や服など物を(普通は短期間だけ)借りることを意味する rent と同じ意味で使えます。一方、employ にはアメリカでもイギリスでも「雇用する」の他に手段や技能などを単に「用いる」という意味があります。

Recruit は「採用する」でも「募集する」でもない

さて、recruit は冒頭の検索結果のように「採用する」の英語として和英辞書などに載っていたり、「募集する」と訳している英和辞書もありますが、雇用の話においては実はどちらも正しくありません。

社員を雇う際に使う「募集」という日本語は求人広告を出して応募を待つことを意味するのが普通ですが、この方法ではその広告を見た人しか応募してきません。そのため、社員にしたい最も有能な人材を獲得するには現在就業中の人も含め調査や勧誘もする必要があり、「採用」する前の(または採用も含めた)これらの活動をすることが recruit です(募集中でないときも含め、常にこの活動をしておくことが重要とされています)。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑この人はリクルート活動中...と言うと日本では学生の「就活中」の意味にもなるので注意しよう(英語にはその意味なし)。

そしてリクルート活動をする人は recruiter、その recruiter が見つけてきた候補者の中から適任者を選ぶ採用担当者 (責任者) は hiring manager と呼ばれていることからも、recruit が「採用する」と同じ意味ではないことが分かると思います(ただし自分自身でリクルート活動をする採用担当者もいます)。

「雇用する/採用する」のその他の訳語

最後は、今回見つかった「雇用する/採用する」のその他の訳語についてです。

adopt: 案やシステムなどを採用する意味の他、孤児を養子にするなどの意味がある。
embrace: 人を抱擁する意味の他、案やシステムなどを好意的に受け入れるなどの意味がある。
engage: 人を特定の仕事などに従事させる意味の他、受動態では婚約中などの意味がある。
take on: 人を雇う意味の他、対戦相手にしたり仕事を引き受けるなどの意味がある。
take up: 申し出などを引き受ける意味の他、何か新しいことを始めるなどの意味がある。

先ほどの employhire と同じくこれらの語句にも複数の意味があるため、別の意味と誤解されないよう注意しながらこれらの表現を使うようにしましょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで employ、hire、recruit などの違いが分かりやすくなったかもしれません。

短期契約でも雇用されていれば employed ですので、無期または長期の契約ではないからといって "I'm unemployed" (無職です) と言ってしまわないよう注意しましょう...

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