オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第162回は「~しそう」や「~なりそう」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
Tana / Rawpixel.com
↑「雨が降りそうだわ...」と窓の外を見る人。このような「~しそう」や「~なりそう」は英語で何と言う?
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「~しそう(だ)/~なりそう(だ)」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
1. be about to
2. be going to
3. be likely to
4. looks/seems like
5. will likely
6. will probably
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Reverso Context(辞書)
3040English
Weblio(辞書)
ご覧のとおり、主に6つの訳語が見つかりました。動詞では「好き」、前置詞では「~のような/~らしい」を意味する like の文字を含むものが3つありますが、likely と probably の違いは一体何でしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった be likely to と will likely の違いも含め、「~しそう」や「~なりそう」の英語について分かりやすく説明します。
Like(ly) を使って「~しそう/~なりそう」を表現する
まず、like または likely を使って例えば「雨が降りそうです/雨になりそうです」と英語で表現する方法は次のようにいくつかあります(他にも動詞に seem や feel を使うなどいくつかの表現があります)。
It looks (as if it is) likely to rain.
It is likely that it will rain.
It is likely to rain.
It will likely rain.
(雨が降りそうです/雨になりそうです。)
1文目と2文目は look (~に見える) という動詞を使っていますが、このように look like または look as if という慣用句になると例えばラジオの天気予報など耳から得た情報だけの場合でも使える「状況がそう見える」という意味に変わります(look を強調して発音すれば空模様を見てそう感じていることが明確になります)。
この5つの文で最も口語的なのは最初の "It looks like it's going to rain" (口語ではこのように it's と略す) または "It looks like rain" (どちらも主語を省くともっと口語的)、最も文語的と言えるのは3文目の "It is likely that it will rain" です。will は be going to より遠い未来に使うのが普通ですが、「しそう」な気配がすでにあることを意味する look like や近い未来を意味する soon などを付ければ同じ意味で使えます。
4文目と5文目は似ていますが、4文目の likely は形容詞で5文目の likely は副詞という違いがあります。また、4文目の be likely to はそう予想できる客観的事実がまだない遠い先のことに使うと違和感があるのに対し、5文目の will likely は客観的事実がなくても自分がそう思えば遠い先のことでも違和感なく使えます。
その5文目は will most likely のように修飾語を入れるのが正しいとされていますが、アメリカでは何も入れない will likely も普通に使われます。イギリスでもそう表現する人は増えているようですが、何も入れないのであれば今のところは be likely to または後で説明する will probably を使うほうがいいでしょう。
Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com
↑「It will likely rain this afternoon, granny」「No, it will MOST likely rain」
そして be likely to の場合も very や今の説明に出てきた most (very よりも少し強い意味のやや硬い表現) などの修飾語を入れることは可能で、例えば very であれば次のようになります。
(彼はとても成功しそうです。(=彼は成功するでしょう。))
なお、逆の「~しそうでない」は unlikely、「あまり~しそうでない」は not very likely、「どのくらい~しそうですか?」は "How likely are you to ~?" (仮定の話であれば would you be to) と表現します。
そして何かと比べて「○○よりも~しそう」と言いたければ more を付け、「最も~しそう」であれば most (この場合は先ほどの very に近い意味ではなく「最も」の意味) を付けて次のように表現します。
(男性よりも女性のほうがこのサービスを使いそうです。)
(これらの製品のどれを最も買いそうですか?(=買う可能性が最も高い製品はどれですか?))
この比較級と最上級にはそれぞれ likelier と likeliest もありますが、more likely と most likely を使うほうが普通です(likelier/likeliest を使うと違和感が感じられる文脈もあると思います)。
Rawpixel / Rawpixel.com
↑「Women are likelier to...」「(おっ、この人は likelier を使う少数派だな...)」
Likely と Probably の違い
では、likely と probably の違いは一体何でしょうか? この2語のどれくらい「~しそう」かという確率について likely が「70%」で probably が「80~90%」と説明している英語学習サイトもありますが、実際にはどちらも同程度と考えるネイティブスピーカーが多く、両方とも most や very を付けない状態で70%程度を中心に使えます(最低でも50%を超えている必要があります)。
この2語の明らかな違いは likely が形容詞と副詞のどちらとしても使えるのに対し、probably は副詞としてしか使えず形容詞には probable を使う必要があることです。そして先ほどの「雨が降りそうです」の3文目の場合は次のように形容詞の likely を probable に変えることができます。
It is probable that it will rain tomorrow. (○)
一方、同じ形容詞でも先ほどの4文目の be likely to というフレーズの場合は probable が使えません。
It is probable to rain tomorrow. (×)
なお、否定文の「~しそうでない」の場合は形容詞の likely と probable であればそれぞれ反対の unlikely と improbable を使って "It is unlikely/improbable that ~" や "It is unlikely to ~" と表現できますが("It is improbable to ~" は上の例のとおり肯定文でもNGのため不可)、副詞の likely と probably の場合は not を使って "It will not likely ~" や "It probably won't ~" と否定文で表現します。
McKinsey / Rawpixel.com
↑「確かに I'll improbably... とか聞いたことないな」
このセクションでは likely と probably の文法上の違いを主に説明しましたが、どちらも使える文では口語であれば probably を使うほうが多いと思います(ただし very や most を付ける場合を除く)。
その他、今回見つかった主な訳語には be about to (今~しようとしている) と be going to (~しようとしている) も含まれていましたが、be going to は最初に説明した look like などのフレーズを付けたり think や hear を使って "I think they are going to ~" (彼らは~すると思う) や "I've heard they are going to ~" (彼らが~すると聞いた) と表現すると「~しそう/~なりそう」と同じ意味になるでしょう。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで like(ly) を使った「~しそう/~なりそう」の表現や likely と probably の違いが分かりやすくなったかもしれません。
市場調査などのアンケートでは "How likely are you to ~?" という質問に対して probably が回答の選択肢に使われることも多いため(詳細は #56 『したいと思う (=意向?)』は英語で何と言う? を参照)、この likely と probably の使い分けはなかなか難しいと言えるでしょう。