#77 「メールマガジン」の英語は本当に e-zine や e-newsletter?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第77回は「メールマガジン」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「おっ? メルマガのアプリってあるんだ。でもそれってもうメール関係ないじゃん...」


まず、特定の読者に対して定期的に配信される「メールマガジン」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

広告
「メールマガジン」
インターネット上の英語訳
1. e-mag
2. e-mail magazine
3. e-mail newsletter
4. e-newsletter
5. e-zine
6. mail magazine
7. newsletter
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英語ぷらす
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
weblio 英会話コラム
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「メールマガジン 英語」「メルマガ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、似たような訳語が7つ見つかりました。この中で「メールマガジン」の適切な英語表現はどれでしょうか? 英語では email (Eメール) を mail とは略さないのが普通のため6番目の mail magazine は除外するとして、その他の表現の違いは一体何でしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった情報も含め、「メールマガジン」の英語について分かりやすく説明します。

広告
広告

e- と zine は何の略?

まず、「e-mail magazine を略して e-zine」や「e-mag も e-zine も electric magazine の略」と説明している英語学習サイトがありましたが、e-zine の e- は email (Eメール) の略でも electric (電気の) の略でもなく、「電子の」を意味する electronic の略です(electric だと「電気雑誌」になってしまいます)。

この e- が付く単語は他にも e-book (電子書籍)、e-commerce (電子商取引)、e-newsletter (電子会報) などがあり、これらの e- や e-mail の e- も electronic (電子の) の略です。この中で少なくとも e-mail はハイフンを省くのが普通になりましたが、長い単語の場合は読みづらくなるため省略しないほうがいいでしょう。また、普通名詞として使う場合は eBook のように2文字目を大文字にするのは誤りと言う人もいます。

Perfecto Capucine / Unsplash.com

↑彼女が手にしているのは e-book。Eメールで受信する書籍でも電気書籍でもなく「電子書籍」という意味だ。

一方、e-zinezine は本当は magazine ではなく fanzine (特定のジャンルのファン自身が作る雑誌) を略した zine から来ていると説明しているマーケティング系の英語サイトもありますが、それが本当だとしても今は e-zine (またはハイフンなしの ezine) を electronic magazine の略と解釈するのが普通です。

なお、今回調べた辞書・サイトの中には e-mag という訳語を載せているものが2つありましたが、少なくともアメリカとイギリスでは electronic magazinee-mag ではなく e-zine と略すのが普通です(e-mag という表現はどこか他の英語圏または特殊な業界で使われているのかもしれません)。

Magazine と Newsletter の違い

さて、今回見つかった7つの訳語は magazine (省略形の zine と mag を含む) と newsletter (「ニューレター」と発音) の2つに分けられます。電子版としてのこの2つの単語の違いは一体何でしょうか?

e-zinee-newsletter はどちらも同じと考える人もいれば、e-zine は本物の雑誌のような写真入りのスタイルで e-newsletter は文字のみと考える人もいます。ただ、メールマガジンは英語で何と表現するのが適切かを考える場合は、そのようなことよりも「特定の読者にだけ配信されることを意味する単語かどうか」がポイントになると思います。

magazine (雑誌) は本屋さんなどで誰でも買えますが、newsletter は「会報」のため会員登録した読者にだけ配信される「メールマガジン」に合っている表現です。また、e-zine には fanzine や newsletter のように特定のグループ向けの情報誌という意味もありますが、単にインターネット上で閲覧・ダウンロードできる電子雑誌や(雑誌のように)情報が頻繁に更新されるウェブサイトの意味で使われることもある言葉です。

そのため、e-zine はメールマガジンを意味する場合もあるものの、インターネット上の電子雑誌や雑誌のようなウェブサイトと間違われないためには newsletter という単語を使うほうがいいと言えるでしょう。

Kaspars Grinvalds / Shutterstock.com

↑タブレット端末にダウンロードした e-zine を読む女性。(またプール...)

メールで受信するから「メールマガジン」

さて、これで「メールマガジン」に適切な英語表現は e-mail newslettere-newsletternewsletter に絞られましたが、この中で唯一正しいのは e-mail newsletter です。なぜなら、メールマガジンはメール (Eメール) で受信するものであり、e-newsletter (電子会報) や e- を省略した newsletter (会報) はメールで受信するのではなくアプリで読む会報にも該当する表現だからです(そのようなアプリが実際にあります)。

今回訳語が見つかった和英辞書の多くが載せていた e-mail magazine もメールで受信することを意味する表現ですが、「メールマガジン」と呼ばれているものは実際には会員にだけ配信される「メール会報」のため、e-mail newsletter と表現するほうが適切です。もし受信方法に関係なく単に「電子版の会報」と言いたければ e-newsletter が最適で、電子版の話だと分かる状況では e- を省いて newsletter と表現できます。

今回調べた辞書・サイトで「メールマガジン」や「メルマガ」の英語に e-mail newsletter (またはハイフンなしの email newsletter) を載せ、e-zine との違いまで説明しているものはありませんでした。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「メールマガジン」の適切な英語訳と e-zine と e-newsletter の違いが多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

今後はメールで受信するのではなく1つのアプリでいろいろなメールマガジンを読むのが普通になるかもしれません。その場合はもうメールとは関係ないため「メールマガジン」や「メルマガ」とは呼べなくなりますが、「ニュースレター」(日本語では「ス」と発音) を略して「ニューレタ」や「ニュスレタ」と表現するのはあまりにも不自然なのでやめておきましょう。

タイトルとURLをコピーしました