#171 『面接』の英語は本当に interview?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第171回は「面接」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

McKinsey / Rawpixel.com

↑「それでは事前収録した面接をお聴きください」(いやそれは「インタビュー」だと思いますが...)


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「面接」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「面接」
インターネット上の主な英語訳
1. face-to-face interview
2. interview
3. job interview
4. oral interview
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英語ぷらす
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
MYスキ英語
ネイティブイングリッシュ
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「面接 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に4つの訳語が見つかりました。この中ですべての辞書・サイトが載せていたのは修飾語が何も付いていない2の interview です。これは「インタビュー」ではなく本当に「面接」なのでしょうか?

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現や「面接をする/受ける」などの表現も含め、「面接」の英語について分かりやすく説明します。

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「面接」は英語で何と言う?

まず、interview という英語は面接だけでなく有名人などへのインタビューや警察の取調べにも使われます。つまり「面接」という日本語の意味を英語で説明する場合などは job (仕事) と admission (入会、入園、入学、入院など) を付けて job or admission interview のように表現する必要がありますが(admission は複数形で表されることもあり)、面接の話だと分かる状況では interview で十分です。

今の説明で分かるとおり admission は「入学」だけを意味する言葉ではないため、「入試面接」は正確には school (admission) interview や college/university (admission) interview と表現します(college と university の違いは #110 『大学』の英語は college それとも university? で説明しています)。

主な国語辞書で「面接」は「直接会うこと」と説明されていますが、直接会わない「オンライン面接」や顔すら見えない「電話面接」もあることから、上の訳語に含まれている face-to-face (対面の) は特に付ける必要はないでしょう。また、oral (口頭の) も付けなくても採用/入試面接は普通は口頭で行われると分かります。

Teddy / Rawpixel.com

↑「スミマセン、面していないのにどうして『電話面接』ですか?」「えーと、それは...」

「面接をする/受ける」は英語で何と言う?

では、「面接をする」と「面接を受ける」はそれぞれ英語で何と言うのでしょうか? 以降では主に仕事の採用面接を例にしていますが、他の面接の場合でも表現は基本的に同じです。なお、"a (job) interview" となっている個所は job を入れないのであればもちろん aan に変えて "an interview" と表現します。

まず、「面接をする」にはやや硬い conduct (行う) や口語的な do (する) が使われます(do は受け手でも使える場合があります)。ただ、面接した相手や人数を伝える場合は interview を動詞で使うのが普通です。

I conducted/did ten interviews today.  (今日は面接を10回行いました/しました。)
I interviewed ten people today.  (今日は10人面接しました。)
※まだ残りの面接がある場合は現在完了形で "I've conducted/done ~" "I've interviewed ~" と表現します。

一方、「面接を受ける」は受け身で be interviewed と表現できますが、have (~がある) を使うほうが自然に感じる場合が多いと思います。

I have a (job) interview (with X) tomorrow.  (明日、(X社との)(仕事の)面接があります。)

このように単に「仕事の面接」と言いたい場合はシンプルに job interview と表現できますが、特定の仕事について説明する場合や job ではなく position の場合は次のように for を使います。

I have an interview for a contract job tomorrow.  (明日、請負の仕事の面接があります。)
I had an interview for a part-time position yesterday.  (昨日、パート職の面接がありました。)

takayuki / Shutterstock.com

↑「job と position の違いは何ですか?」「job はお仕事そのもの、position はそのお仕事をする立場なんですよ」

「面接に行く」は英語で何と言う?

では、「面接に行く」は英語で何と言うのでしょうか? この場合は動詞にそのまま go (行く) を使います。

I'm going for a (job) interview (with X) tomorrow.  (明日、(X社との)(仕事の)面接に行きます。)
I'm going (to X) for a (job) interview tomorrow.
  (明日、(X社に)(仕事の)面接に行きます。)
I'm going to a (job) interview tomorrow.  (明日、(仕事の)面接に行きます。)

アメリカでは on を使って "go on a (job) interview" と表現する人も多いようですが、イギリスでは面接に go on は普通使わないので注意が必要です。

逆にイギリスではやや硬い attend (その場に(出て)いる) という動詞を使って "attend a (job) interview" と表現しても全く違和感はありませんが、アメリカではその場に同伴して傍観するなどの例外を除いて面接に attend は普通使われません(試合を見に行ったり会議に出席することにはどちらの国でも使えます)。

「面接で」に使う前置詞は?

次は、「面接で」と言いたい場合に使う前置詞です。この場合は at または in を使うのが普通です。

I was very nervous at/in the (job) interview.  (その(仕事の)面接ですごく緊張しました。)

at は面接を「場」と考えている表現、in はその場の中や時間の中にいるイメージです。「時間中に」という意味に限定したい場合は during を使います。

なお、面接を受けたことを相手が知らない場合は the (その) を my に変える必要がありますが、その場合は jobcollege/university を入れないと相手には何の面接(やインタビュー)か分かりません。

styles66 / Pixabay.com

↑「そんなに緊張しなくていいのよ」「今のところ10回連続不合格でして...」

面接に「受かる/落ちる」を Pass/Fail とは言わない?

最後は、面接に「受かる」と「落ちる」の表現です。それぞれ pass (通る) と fail (失敗する) と表現している辞書は多いと思いますが、これらの表現に違和感を感じるネイティブスピーカーも多いので注意が必要です。

例えば応募した仕事への採用が決まった場合、それは履歴書の内容、推薦状の内容、面接中の印象(やる気や人柄や外見)などのどれが決め手だったのか分かりません。interview という会話のやりとりは「失敗」でも他の候補者も全員出来が悪かったから履歴書の内容や外見で一番良かった自分が選ばれた可能性もあります。

つまり interview は合格/不合格を決める1つの要素にすぎず、その部分だけを指して pass/fail と表現するのは違和感があるということなのですが(選考過程で書類選考、1次面接、2次面接などが完全に別日程の場合でも pass/fail を使わずに "I did well/didn't do well in the interview" と表現する人もいます)、実際には "I passed/failed the interview" と表現するネイティブスピーカーは多くいます。

ただ、「仕事が決まった/入学が決まった」という意味で「面接に受かった」と言いたい場合は、仕事であれば "I('ve) (just) got a job" (面接を受けたことを相手が知っている場合は "I got the job")、学校であれば "I('ve) (just) got in to college/university" (college と university の違いは先ほどのリンクを参照) などの表現を使うと誰にも違和感を持たれることはないでしょう(逆に落ちた場合は "I didn't get ~")。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで面接の基本的な英語表現が分かりやすくなったかもしれません。

いろいろな職業の人にインタビューをする「職業インタビュー/お仕事インタビュー」という言葉がありますが、これを英語でうっかり job interview と表現してしまわないよう注意しましょう...(これらのインタビューだけを明確に意味する一般的な英語表現はないようです)

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