#90 「ミルクコーヒー」の英語は本当に milk coffee や white coffee?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第90回は「ミルクコーヒー」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Jira / Rawpixel.com

↑ブラックコーヒーとさまざまなタイプのミルク入りコーヒー。さて「ミルクコーヒー」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ミルクコーヒー」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「ミルクコーヒー」
インターネット上の英語訳
1. latte / caffe latte / Caff Latte
2. milk coffee
3. white coffee
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
Glosbe(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ミルクコーヒー 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、3つの訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのが milk coffeewhite coffee です。これらは本当に「ミルクコーヒー」の正しい英語なのでしょうか?

以下では、同じくミルク入りコーヒーの「カフェオレ」と「カフェラテ」との違いも含め、「ミルクコーヒー」の英語について分かりやすく説明します。

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「ミルクコーヒー」とは

まず、「コーヒー牛乳」という飲み物が昔ありましたが、2000年の雪印集団食中毒事件がきっかけで2003年以降は生乳100%のものしか「牛乳」と表記できなくなり、コーヒーと牛乳を混ぜた飲み物は現在「ミルクコーヒー」「カフェオレ」「カフェラテ」などの名称で売られています。

国語辞書のデジタル大辞泉ではミルクコーヒーが「コーヒーに牛乳を入れたもの」(つまりコーヒーがメイン)、コーヒー牛乳は「コーヒーの風味をつけた牛乳」(つまり牛乳がメイン) と説明されているため、単に「コーヒー牛乳」から「ミルクコーヒー」に名称が変わったのではないと思えるものの、どちらも同じで牛乳がメインと説明しているウェブサイトもあるため「ミルクコーヒー」の定義は正直なところよく分かりません。

Karolina / Kaboompics.com

↑昔の瓶入りコーヒー牛乳に似ているが、見た目で中身を判断してはいけない。

Milk Coffee と White Coffee

さて、ホットコーヒーに同じくらいの分量の蒸気処理をした牛乳を注いで作る「カフェオレ (café au lait)やエスプレッソに多めのホットミルクを注いでその上に牛乳の泡を載せる「カフェラテ (caffè latte)(または単に latte) と違い、ミルクコーヒーは単にコーヒーに牛乳をそのまま入れた飲み物です。では、今回圧倒的に多く見つかった milk coffeewhite coffee が「ミルクコーヒー」の正しい英語なのでしょうか?

milk coffee を和製英語と説明しているウェブサイトもありますが、この表現は英語を話す一部のアジアの国でも使われているだけでなく、カフェオレやカフェラテとの違いを説明したYouTube動画でも英語のナレーションが white coffee と共に(一瞬だけですが)milk coffee という表現を使っています。ただ、意味としては分かりやすいものの、アメリカやイギリスで一般の人がこの表現を使うことはまずないでしょう。

white coffee はイギリスなどで使われる表現ですが、アメリカでは聞いたことがない人も多いので使わないほうがいいかもしれません(この表現を訳語に載せている和英辞書はそのことを補足する必要があるでしょう)。なお、軽めに炒ったコーヒー豆で作ったコーヒーも white coffee と呼ばれることがあるようです。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑ホットなカフェラテを飲みながらホットな話題で盛り上がる女性たち。

「ミルクコーヒー」は英語で何と言う?

さて、もし「ミルクコーヒー」がコーヒーに少量の牛乳またはクリームと砂糖を加えたものであれば、milk coffeewhite coffee よりもどの英語圏でも通じる coffee with milk という表現を使うほうがいいでしょう(牛乳ではなくクリームの場合は cream、コーヒーミルクの場合は creamer)。なお、このタイプが最も普通のコーヒーと言えるため、アメリカでは単に regular coffee と呼ぶ地域もあります。

一方、牛乳を多く含むものであれば coffee with a lot of milk や milky coffee と表現できますが、milky coffee は「牛乳で薄めたコーヒー」のようにあまり良くない意味に解釈されるかもしれません。日本で「ミルクコーヒー」として売られている製品の多くもミルクを多く含むと思いますが、これは日本独自のものなのでそのまま milk coffee と表現していいと思います(不自然な表現ではありません)。

なお、先ほどの café au laitcaffè latte はそれぞれフランス語とイタリア語で coffee with milk を意味するようですが、意味は同じでもすでに説明したとおり製法が違うためそれぞれ別の飲み物です。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「ミルクティー」も英語では "tea with milk" と表現するのが普通。

Coffee Milk?

最後に、milk coffee の語順を逆にした coffee milk という飲み物もあります(そのまま日本語にすると「コーヒー牛乳」)。これはアメリカのロードアイランド州やマサチューセッツ州で飲まれているものらしく、コーヒーシロップまたはコーヒー抽出液を入れたカップに牛乳を注ぎ込んだものです。

先ほどの説明に出てきた日本語の「コーヒーミルク」はコーヒーに入れるミルクのような白い液体(植物性油脂と水に乳化剤を加えたものがベース)のことで、別名に「コーヒークリーム」「コーヒーフレッシュ」「ポーションミルク」などがあります。これらは先ほど書いたように英語では (coffee) creamer(乳成分を含まないタイプは non-dairy creamer)と呼ばれています。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「ミルクコーヒー」のいくつかの英語表現が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

お仕事や勉強でお疲れの方は、今から甘くてマイルドなミルクコーヒーを飲んで少しリラックスしてみてはいかがでしょうか?