#136 「荷物」の baggage, luggage, cargo, freight, load などの違いは何?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第136回は「荷物」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Hananeko_Studio / Shutterstock.com

↑「ママー、荷物って英語で何て言うのー?」「この旅行用の手荷物のこと? それともその段ボール箱?」


まず、「運搬/運送する品物」と「重荷/負担となるもの」という2つの意味を持つ「荷物」という言葉はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「荷物」
インターネット上の主な英語訳
1. bag(s)
2. baggage
3. belongings
4. burden
5. cargo
6. consignment
7. freight
8. goods
9. lading
10. load
11. loading
12. luggage
13. pack
14. package
15. parcel
16. payload
17. shipment
18. stuff
19. suitcase(s)
20. things
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
マジ英語
みんなで作るネーミング辞典(辞書)
MYスキ英語

日刊英語ライフ
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「荷物 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主な訳語だけでもこれだけの数になりました(このブログでの過去最高記録だと思います)。似ている言葉の baggageluggage の違いや packpackageparcel の違いは一体何でしょうか?

以下では、飛行機やバスの「持ち込み手荷物」や貨物機などで輸送する「貨物」の表現も含め、「荷物」の英語について分かりやすく説明します。

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Baggage と Luggage の違い ※Bag(s), Suitcase(s), Belongings の説明も含む

まず、baggage と luggage は「旅の手荷物 (=手回りの荷物)」を意味します。ネイティブスピーカーでもどちらの言葉がアメリカ寄りでどちらがイギリス寄りかという印象に違いがあったり、全く同じ意味だと言う人も多くいますが、違いがあると言う人が挙げる重要な点を含めて簡単に説明すると次のようになります。

baggage
旅のあらゆる手荷物。bag (バッグ) という文字を含むものの、バッグだけでなくスーツケースやキャリーケース(どちらも英語では suitcase)に入れた荷物やロープで縛っただけの荷物などにも使える。
luggage
baggage と違って「荷物」ではなく「トラベルバッグやスーツケース」を意味する言葉(だからお店で買うのは luggage)。ただし中に物を詰めて旅に出れば「バッグやスーツケースに入れた荷物」になる。

この違いがあるとしても、旅の荷物はバッグやスーツケースに入れて持ち運ぶのが普通のため「どちらも同じ」と言う人が多いのでしょう。

Teddy Rawpixel / Rawpixel.com

↑「君は baggage と luggage の違いが分かるかい?」「最初の2文字が...」

この baggage と luggage は手荷物が1つの場合でも「手荷物全体」を意味するため、複数のバッグを複数形で bags と表現できるのと違って複数の手荷物を baggagesluggages と表現できません。そして例えば "My luggage has been stolen" (手荷物を盗まれた) と言われたら、日本語と同じで手荷物を何個盗まれたのか分かりません(持っていた1つだけの荷物を盗まれた可能性もあります)。

そのため、手荷物の数を伝えたい場合は「2つ」であれば "two baggage(s)/luggage(s)" ではなく piece (個) という単語を使って "two pieces of (my) baggage/luggage" と表現する必要があり、例えば機内に持ち込める荷物の数を知りたい場合は次のように尋ねます。

How many pieces of baggage/luggage can I take on board?
(機内に持ち込める手荷物はいくつですか?)

もちろん自分の荷物がすべて bag (バッグ/袋) と呼べるものであれば、"How many bags can I take on board?" と尋ねるほうが明らかに楽です。また、個数だけでなく重さやサイズなども含めた漠然とした量を知りたい場合は、baggage/luggage を使ったまま次のようにシンプルに尋ねることができます。

How much baggage/luggage can I take on board?
(機内に持ち込める手荷物の量はどれくらいですか?)

なお、このような「持ち込み手荷物」の表現には carry-on (baggage/luggage) (主にアメリカ)、hand baggage/luggage (主にイギリス)、cabin baggage/luggage (主に航空会社側) があり、carry-on の場合は baggage/luggage を付けずに複数の持ち込み手荷物を carry-ons と複数形で表せます。

その他、所持品を入れた旅の手荷物でなければ baggage/luggage とは呼べないため、例えば買い物の荷物を持つのを手伝いたい場合は "Can I help you with the bag(s)?" (その袋を持ちましょうか?) や "Shall I carry that/those/one for you?" (それ/それら/そのうちの1つを持ちましょうか?) と尋ねます。

roungroat / Rawpixel.com

↑このような「荷物」を意味する英語はなく、bag(s) (袋) や that/those (それ/それら) と呼ぶしかないのだ...

なお、今回見つかった主な訳語の3番目にある belongings は今の説明に出てきた「所持品」のことで、旅行であればパスポート、航空券、携帯電話など「荷物」とは呼ばないものにも該当します。

Cargo と Freight の違い ※Consignment, Goods, Lading, Shipment の説明も含む

次は貨物機、貨物船、貨物列車、貨物トラックなどで運ぶ荷物の「貨物」の英語についてです。

cargofreight はどちらも「貨物」ですが、飛行機または船で運ぶ貨物は cargo、列車またはトラックで運ぶ貨物は freight と呼ばれてきたため、今でも輸送手段の表現は次のようにこの2語を使い分けます(このような従来からあるフレーズ以外では輸送手段に関係なくどちらも今は同じ「貨物」の意味で使えます)。

cargo plane: 貨物機
cargo ship: 貨物船 ※freighter と呼ばれることもある。
freight train: 貨物列車 ※イギリスでは goods train という表現もある。
(freight) truck: (貨物)トラック ※イギリスでは lorry という表現もある。

貨物トラックの freight だけカッコに入れた理由は、そもそも truck/lorry (トラック) は人を乗せるための自動車 (=乗用車) ではなく貨物用の自動車 (=貨物自動車) だからです。アメリカでは乗用車に近い pickup truck (ピックアップ) も一般的な乗り物のため、それと区別するためにわざわざ freight という単語を使って貨物トラックを freight truck と表現しなければならない場合があるのだと思います。

なお、cargofreight の違いを説明したいくつかの英語サイトでは、次の違いも挙げています。

cargo は複数形で cargo(e)s と表現することもあるが、freight は複数形では使わない。
cargo と違って freight には「輸送料」や「運送料」の意味もある。
freight は商品としての貨物を意味するので郵便物は freight とは呼ばない。
・郵便物以外の航空貨物は cargo だけでなく freight とも表現される。

これらの点を考えると、従来から使われている freight trainfreight truck などのフレーズを除けば「貨物」には freight よりも cargo を使うほうがいいと言えます。なお、この4番目の点が理由で「航空貨物」というフレーズには air cargo と air freight のどちらも使われます。

その他、今回見つかった主な訳語では次の単語にも「貨物」や同様の意味があります。

consignment:「委託貨物」などの意味で使われることがある商業用語。
goods:「物資」や「商品」を意味する単語。輸送/運送すれば「貨物」の意味になる。
lading:「貨物」や「船荷」の意味で使われることがある商業用語。
shipment: 船 (ship) だけでなくその他の場合にも使える「出荷(物)」や「発送(物)」を意味する単語。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「送料無料」を意味する free shipping。ただで船に乗れると勘違いしてはいけない...

なお、goods をカタカナにしたのが「キャラクターグッズ」や「限定グッズ」の「グッズ」ですが、英語ではこれらの「グッズ」を普通は(1点であれば絶対に)goods と表現しないので注意が必要です(詳細は #76 「グッズ」の英語は goods, items, merchandise, products のどれ? を参照)。

Burden, Load, Loading, Payload の違い ※Stuff と Things の説明も含む

続けて、「重荷/負担となるもの」や「運搬/運送する重い物」という意味での荷物です。今回見つかった主な訳語では burdenload がこれらにそれぞれ該当しますが(つまりこの2語が国語辞書の「荷物」の意味に最も近い)、loadingpayload にも load という文字が含まれているのでここで説明したいと思います。

burden
「重荷 (=重い荷物)」を意味する単語。ただし日本語と同じで例えば "I don't want to be a burden to you" (君のお荷物にはなりたくない) のように「負担」という意味で使うのが普通。
load
「荷(物)」を意味する単語。重かったり量が多い場合に使うのが普通。比喩的に "Take a load off" ((荷物を降ろすかのように) 座って休みなさい) や "loads of money" (大金) のようにも使われる。
loading
「荷積み (=荷物を積むこと)」を意味する単語。つまり荷物自体のことではない。
payload
運ぶことで収益が発生するもの(貨物や乗客)またはその量/重さ。つまり「荷物」とは限らない。

なお、いくら個人的に「重い/量が多い」と感じても、手に持っている買い物袋などは load と呼ばないのが普通です。この場合も先ほどの bags (袋) を使って "Put the bags in the back" (荷物を(車の)後ろに載せて) のように表現し、箱であれば boxes、ケースであれば cases を使います。また、今回見つかった主な訳語にも含まれている stuffthings (どちらも単に「もの」という意味) も使えます。

その他、引越し業者は荷物を cargo と呼ぶことも多いようですが、cargo は商品に使うのが普通のため一般の人が自分の荷物をそう呼ぶと違和感があります。ただ、一般の自動車でもミニバンやSUVの「荷室」には load space ではなく cargo space や luggage space という表現を使うのが普通のようです。

Africa Studio / Shutterstock.com

↑このような「荷室」は cargo space や luggage space と呼ばれるが、この写真の荷物は cargo でも luggage でもない...

なお、例えば「車から荷物を降ろそう」と言いたい場合は "Let's unload the ○○ from the car" と表現しようとすると○○の部分は荷物がバッグ/袋だけであれば bags、箱だけであれば boxes、いろいろなものが混ざっていれば stuff のように変わって面倒ですが、unload という動詞には「~から荷物を降ろす」という意味もあるので「荷物」という名詞を使わなくてもシンプルに "Let's unload the car" と表現できます。

Pack, Package, Packet, Parcel の違い

最後は、郵便物としての荷物です。今回見つかった主な訳語の中で残された packpackageparcel だけでなく、似ている packet も含めて分かりやすい順に説明すると次のようになります。

parcel
イギリスで郵便の荷物に一般的に使われる単語。アメリカでも parcel post (小包郵便) などの名称で使われているものの、一般の人が普段の会話で郵便の荷物を parcel と呼ぶことは普通ない。
package
アメリカで一般の人が郵便の荷物に使う単語。同じくアメリカでは商品の箱や袋にも使われ、例えばクッキー1箱と1袋はどちらも "a package of cookies" と表現できる(ただし箱であれば box、袋であれば bag と呼ぶのが普通のため、外袋の中にトレーが入ったものなどを package と呼ぶのがいい)。
packet
「荷物」と呼ぶには小さすぎる片手でつかめるような平らな入れ物。イギリスでは商品の箱や袋にも使われ、例えばビスケットが入った1箱と1袋はどちらも "a packet of biscuits" と表現できる(ただし大きめの箱/袋は box/bag と呼んだほうがいい)。もっと小さいものでは例えばコーヒー用の小分けの袋入り砂糖はアメリカで sugar packet と呼ぶ(イギリスでは sugar sachet)。
pack
同じく「荷物」と呼ぶには小さすぎる入れ物。タバコの箱(イギリスでは packet のほうが普通)、お菓子などを小分けにして入れる小さな袋、飲料などを数本まとめて売る「〇本パック」などに使われる。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「お荷物でーす」「これ英語で parcel と package のどっちでしたっけ?」

この4つの単語はどれも可算名詞 (数えられる名詞) のため、例えば1つの小包は a を付けて "I've received a parcel/package" (小包を受け取りました)、複数の小分け袋は複数形で "How many packets/packs are in the box?" (その箱に何袋入っていますか?) と表現できます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで数多くある「荷物」の英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。

過去に取り上げた「高級」「評価」「メーカー」「こだわり」「お知らせ」などもそうでしたが、同じ1つの言葉ですべてをカバーできないことが多い英語という言語は本当に効率が悪いと思います...