#205 『事務職』『デスクワーク』『オフィスワーク』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第205回は「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

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↑「デスクワーク」ばかりの「オフィスワーク」で疲れ果てた「事務職」ではない人。さて英語ではそれぞれ何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「事務職」
インターネット上の主な英語訳
1. administrative staff/worker
2. clerical job/position/post/staff/work(er)

3. clerk
4. desk job/work
5. office job/work
6. white-collar job/work
「デスクワーク」
インターネット上の主な英語訳
1. desk job/work
2. office work
3. paper work
「オフィスワーク」
インターネット上の主な英語訳
1. office work
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Ichacha.net(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)

Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
東京都のビジネス英語に強いオンライン英会話OEL
Weblio(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「事務職 英語」「デスクワーク 英語」「オフィスワーク 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文は調べていません。

ご覧のとおり、「事務職」と「デスクワーク」のどちらにも desk job/work と office work が含まれています。ということは「事務職」と「デスクワーク」と「オフィスワーク」はすべて同じ意味なのでしょうか? また、「事務職」に含まれている administrative ~ と clerical ~ の違いは一体何でしょうか?

以下では、jobwork の違いも含め、「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」の英語について分かりやすく説明します。

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「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」の違い

まず、「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」の違いを簡単に説明すると次のようになります。

事務職
一般事務、営業事務、経理事務、貿易事務、学校事務など「○○事務」と呼ばれる職種の総称。書類作成、データ入力、電話応対などのデスクワークの他、資料コピーや来客応対などの立ち仕事もある。
デスクワーク
職種ではなく(普通は椅子に座って)机に向かってする仕事のこと。事務職のデスクワークの他、カスタマーサポートやプログラミングなど「○○事務」ではない職種の人たちの仕事もデスクワーク。
オフィスワーク
オフィスでする仕事。デスクワークだけでなく、立ち仕事(立ちながら指導や研修をする仕事など)もオフィスワーク。ただし清掃員などの仕事はオフィス内でも「オフィスワーク」とは普通呼ばない。

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↑デスクワークの他に資料コピーや来客応対などの立ち仕事もある事務職の人。

「事務職」は英語で何と言う?

では、まず「事務職」は英語で何と言うのでしょうか?

上に挙げた書類作成、データ入力、電話応対など専門知識のない人でもできるような事務職の場合は、clerical job (事務職) または clerical work (事務仕事) が最適な表現です。job は可算名詞 (数えられる名詞) のため、「事務職」という1つの職は例えば "I'm looking for a clerical job" (事務職を探しています) のように a を付けますが、work は「作品」ではなく「仕事」の意味で使う場合は数えられない「不可算名詞」です。

そしてこのような事務の仕事をする「事務職の人(たち)」が clerical worker(s)、「事務スタッフ (1名ではなく複数名または全体)」が clerical staff、事務職という地位/役職が clerical position/post です(staff の英語は #145 『スタッフ (1名/複数名/全体)』は英語で何と言う? で詳しく説明しています)。

なお、同じく「事務職」の英語として今回見つかった clerk は、「事務員」の意味もありますがイギリスでは今は普通使わない古風な表現で、アメリカでは desk clerk (ホテルのフロント係) や sales clerk (商店の販売スタッフ) など「○○事務」とは呼ばない職業の人にも使われます。

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↑clerk という単語はアメリカではこのように商店で働く販売職の人にも使われる。

一方、administrative job/work は専門知識が必要で責任も伴う管理業務をする職/仕事のことですが、日本では先ほどの入門レベルの事務職と分けてこのレベルの事務職をわざわざ「管理事務職」と表現することはまずないと思います(これは従業員を管理する部長や課長などの職を意味する「管理職」とは違います)。

そのため、「事務職」の英語は仕事内容に応じて "a clerical job" または "an administrative job" と表現するか、両方該当する場合は "clerical and administrative jobs" または "a clerical or administrative job" と表現するのがいいでしょう(「事務仕事」であれば a や複数形は使わずに ~ work)。

「デスクワーク」と「オフィスワーク」は英語で何と言う?

最後は、どちらも「ワーク」が付く「デスクワーク」と「オフィスワーク」の英語についてです。

desk work は海外では通じず英語では paper work (ペーパーワーク) と呼ぶと説明している英語学習サイトもありますが、これは誤った情報です(特別企画の『おすすめできる英語学習サイト (ブログなど) の選び方』でも書きましたが、このように漠然と「海外」と説明している英語学習サイトには注意が必要です)。

主な英英辞書にも載っている desk work は正に「デスクワーク」を意味する言葉で、例えば "My new job is mostly desk work" (自分の新しい職はほとんどがデスクワークです) と表現できます。paperwork は用紙の記入や請求書の処理など書類(パソコン上の電子文書も含む)を扱う仕事のことで、先ほどのカスタマーサポートやプログラミングの仕事はデスクワークですがペーパーワークではありません。

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↑ペーパーワークではないデスクワークをしている人。

一方、office work も正しい英語ですが、オフィスワークをする「職」のことであれば office job (オフィス職) と表現するほうが適切です(「デスクワーク」も「デスク(ワーク)職」の意味であれば desk job)。

「ジョブ」は濁音中心で響きが悪いためか日本語では「ワーク」と表現されるのが普通ですが、英語ではこのように jobwork は意味が少し違います(job は仕事以外の雑用、work は「職場」なども意味しますが、上の説明はあくまで「仕事」の意味での違いです)。なお、職場でする1つ1つの仕事も "a job" と表現できますが、work は仕事全体を意味するため1つ1つの仕事を "a work" とは表現できません。

その他、「事務職」の英語に含まれていた white-collar job/work は事務職ではなく主に「オフィス職/オフィスワーク」を意味します(オフィスでは白いワイシャツ姿の男性が多かったことから生まれた表現です)。この collar は服の「えり」のことで、「色」を意味する colo(u)r と間違えないよう注意が必要です。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「事務職」「デスクワーク」「オフィスワーク」の違いや job と work の違いが分かりやすくなったかもしれません。

同じく「ワーク」が付く「テレワーク」「リモートワーク」「在宅ワーク」の英語は #131 『テレワーク』『リモートワーク』『在宅勤務』『在宅ワーク』『内職』は英語で何と言う? で説明していますので、興味のある方は目を通してみましょう(複雑すぎて頭が痛くなるかもしれませんが...)。

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