#20 『ポイントサービス』や『ポイントプログラム』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第20回は「ポイントサービス」「ポイントプログラム」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Colin Woodcock / PublicDomainPictures.net

↑これはポイントカードではなくスタンプカード。英語でも "stamp card" と呼んでいい?


まず、商品を購入したりサービスを利用するとポイントが付与され、そのポイントで割引や商品交換などの特典が得られる仕組みを日本では「ポイントサービス」「ポイントプログラム」と呼びますが、これらの表現はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「ポイントサービス/ポイントプログラム」
インターネット上の英語訳
1. loyalty program
2. point service
訳語を載せた辞書・サイト
Glosbe(辞書)
なるほど!訳語発見+英語屋さん最後の挨拶
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ポイントサービス 英語」「ポイントプログラム 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、「ポイントサービス」または「ポイントプログラム」の英語を載せている辞書・サイトは4つだけ、訳語も2つしか見当たりませんでした。この中には point service を和製英語と説明している辞書があるため、loyalty program だけを覚えておけばいいのでしょうか?

以下では、サービスやプログラムだけでなくカードの表現も含め、「ポイントサービス」や「ポイントプログラム」の英語について分かりやすく説明します。

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サービス vs プログラム

まず、「ポイントサービス」や「ポイントプログラム」は確かに loyalty program と呼ばれることが多いですが、国や地域によって表現が多少異なります。

例えば、アメリカでも rewards program という表現を最もよく耳にすると言う人がいたり、イギリスの場合は loyalty (card) scheme と表現するほうが多かったりします。なお、イギリスではコンピュータープログラム以外の「プログラム」は programme と書くのが普通ですが、アメリカ英語の影響で program というスペルも使われるため今回の説明では表記を program に統一しています。

loyalty programrewards program は同じものではないと説明する英語のウェブサイトもありますが、それぞれ真逆の説明をしているサイトやどちらも同じものと見なしているサイトもあるため、少なくとも一般消費者にとっては同じものだと考えていいでしょう。

「ポイントサービス」という日本語が「このお店で買い物をすればポイント(が貯まってご褒美)をもらえるサービス」と解釈できるのに対し、loyalty/rewards program は「忠誠 (loyalty) を尽くしてこのお店で何度も買い物をすればポイントが貯まってご褒美 (rewards) をもらえるプログラム」と解釈することができます。

「本日は特別に100ポイントをサービスいたします」のような場合の (値引きをしたりおまけを付けるという意味での)「サービス」を英語では service とは言いませんが、ポイントサービスも program や scheme と表現されていることから「サービス」とは考えられていないことが分かります。

garagestock / Shutterstock.com

↑顧客との関係図を両手から放つ怪しいビジネスマン。この図が示すように loyalty と service の位置付けは違うのである。

ポインツ?

さて、日本語版ウィキペディアの『ポイントプログラム』のページでも point service は和製英語と説明されていますが、points program であれば英語のウェブサイトなどでも使われています(point を複数形にしないと違和感を感じる人がいます)。この表現であれば、例えば店内で外国人観光客に対して使ってもポイントがもらえるプログラムのことだと理解されるでしょう。

一方、日本人の買い物客に対してはさすがに「当店のポインツプログラムをご存知ですか?」などと尋ねると「ポインツ?」とその客が固まってしまう可能性があるため、今後も「ポイント」と発音して「ポイントサービス」ではなく「ポイントプログラム」に表現を統一するのがいいと思います。

日本でも「ロイヤルティープログラム」や「リウォーズプログラム」(または「リウォードプログラム」) と表現したほうが英語圏に行ったときに同じ表現が使えて便利ですが、これらは日本語では言いにくいためか最も一般的な表現の「ロイヤルティープログラム」でさえ日本の消費者にはほとんど使われていないようです。また、「リウォーズ/リウォード」は何と「リワーズ」「リワード」という表記が多く見られます。

Hsi-Pei Liao / FreeImages.com

↑「英語では『リワード』ではなく『リウォード』と発音してくださいね」と重ねてお願いする reward card たち。

「ポイントカード」や「スタンプカード」は英語で何と言う?

「ポイントカード」も英語では loyalty cardreward(s) card と呼ぶのが普通ですが、先ほどの points program のように point を複数形にして points card と表現すれば違和感はありません。実際、英語版ウィキペディアの『Loyalty program』のページによるとカナダでは rewards card の他に points card という表現も使われているようです。

つまり、ポイントプログラムもポイントカードも loyaltyreward という単語を忘れてしまったら、日本語とほぼ同じ points programpoints card と表現すれば(意味がやや曖昧でも)英語として違和感はないということです。もちろん loyaltyreward(s) を前に付けて loyalty points cardreward(s) points card と表現すれば意味は非常に明確になります。

最後に、冒頭の写真のような「スタンプカード」は英語で何と呼ばれているのでしょうか? ポイントカードと同じく loyalty card のように表現する人もいれば、日本と同じく stamp card と表現する国もあるようです(オーストラリア)。逆に stamp card とは呼ばずこのタイプには特定の呼び名はないと言う人たちもいるため(イギリス)、「自分が呼びたいように呼べばいい」というのが正解かもしれません。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 多くのオンライン和英辞書に「ポイントサービス」や「ポイントプログラム」という日本語が載り、訳語には loyalty program 以外の表現も載ることを期待したいと思います。

もしポイントカードを points card と表現して「英語では loyalty card や rewards card と言うんだよ」と指摘されてしまったら、「実は私はカナディアンイングリッシュ派なんです」と説明してその場を乗り切りましょう...(カナダ以外でも使われていると思いますが)。

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