オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第78回は「プロフィール」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
Rawpixel / Rawpixel.com
↑人気ブロガーたちのプロフィール写真。でもどれも profile picture ではない。(ん? どういうことですか?)
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「プロフィール」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の主な英語訳
profile
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
ご覧のとおり、訳語が見つかった辞書・サイトのすべてが「プロフィール」をそのまま profile と表現しています。また、その中の英語質問サイトでは「英語でプロフィールを作りたい」という質問者にネイティブスピーカー2名が「プロフィール」は英語でもそのまま profile だと説明しています。これではブログなどでの「プロフィール」というタイトルも英語では "Profile" と書くのが普通だと思ってしまうではありませんか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかったこの場合の表現も含め、「プロフィール」の英語について分かりやすく説明します。
Profile とは
まず、profile という単語にはいくつかの意味がありますが、主な英英辞書や英和辞書で最初に出てくるのは「横顔(の輪郭)」で、例えば profile picture は状況によっては「プロフィール写真」ではなく「横顔の写真 (または絵)」を意味します。先ほどの人気ブロガーたち(...ではなく単なる写真のモデルさんたち...)はすべて正面を向いているため、あの場合はもちろん「横顔の写真」という意味ではありません。
profile は他にも「世間の注目を集める度合い」などを意味したり、パソコン上ではユーザー情報が「ユーザープロフィール」ではなく英語の発音に近い「ユーザープロファイル」と表記されたりしますが、私たちにとって最も馴染みがあるのは「○○さんのプロフィールをご紹介します」や先ほどの「プロフィール写真」などで使われる「略歴」や「人物紹介/自己紹介」の意味だと思います。
なお、「横顔」という日本語には「横から見た顔」の他に「ある人物のあまり知られていない一面」という意味もありますが、英語の profile にも日本語の「プロフィール」にもこの「あまり知られていない一面」という意味はなく、単にその人やその組織について簡単に紹介した内容を意味します。
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↑「何だと? この角度で撮らないとプロフィール写真じゃないと言いたいのか!」「状況によるっつってんだろーがー」
ブログの「プロフィール」は英語で何と書く?
さて、SNS・掲示板・ブログなどのプロフィール情報にも確かに profile という単語は使われ、例えば「自分のプロフィールを編集する」は "edit my profile" と表現できます。ただ、ブログなどの自己紹介の「プロフィール」というタイトルでは、"(My) Profile" ではなく "About Me" (私について) と書くのが普通です。ブロガーは硬い印象を与えずに多くの読者を獲得したいため、このような口語的な表現を使うのでしょう。
これを日本語のブログでも真似して「私について」と書くとややナルシスト感があり、「アバウト・ミー」と書くと「ふざけてるのかこいつは」と思われる危険性があるため、「プロフィール」や「自己紹介」と書くのが無難です。なお、個人的には自然な日本語で表現できる場合はカタカナ英語を使う必要はないと考えており、「自己紹介」と表現するほど自分を紹介してもいないので「このブログの作成者」と書いています。
ウェブサイトの「企業プロフィール」は英語で何と書く?
最後に、日本企業のウェブサイトには「企業プロフィール」や「会社プロフィール」というタイトルのページを含むものがありますが、これも "Company Profile" や "Corporate Profile" ではなく "About Us" (私たちについて) と表現するほうが普通だと思います。
実際には Company/Corporate Profile と About Us(または "About {企業名}" や単に "About")のどちらかのページしかないサイトもあれば、About Us の中に Company Profile や Corporate Profile などのページが含まれているものもあり、これは日本でも「会社案内」や「会社概要」の中に「企業プロフィール」や「会社プロフィール」などのページが含まれている場合と同じと言えるでしょう。
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↑「ご安心下さい! 何かあっても『会社』のせいにせず『私たち』が責任とります!」(あっ、そういう意味なんですか?)
「お問い合わせ」メニューも英語では "Contact Us" や "Contact Me" と表現するように(ただし #51 『お問い合わせ』の英語は本当に Contact (Us)? で説明したとおり「お問い合わせ」と contact は本当は意味が違います)、英語では us や me という言葉をメニューやタイトルに使うのは普通です。一方、日本語ではそのような箇所に「私」「私たち」「我々」などの言葉を使うと何か変な感じがするのは面白いと思います。
英語のウェブサイトの About Us を日本語版で「私たちについて」や「我々について」と訳しているのをたまに見かけますが、英文和訳に慣れた人であればこれは「当社について」や先ほどの「会社概要」や「会社案内」と訳すのが普通だと思います。「私たちについて」や「我々について」という表現はもちろん意味としては正しいのですが、日本語でこのように表現するとなぜか違和感を感じてしまいます。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「プロフィール」の英語に profile しか載せていないオンライン和英辞書は、「ブログなどの『プロフィール』というタイトルは About Me と書くのが普通」と補足しておくといいかもしれません。
「プロフィール」という日本語の横に英語で "About Me" と書いている個人のウェブサイトを先日たまたま見かけましたが、プロフィールの中身も記事もすべて日本語で書かれていましたので、この場合はタイトルに英語を併記する必要は全くないと言えるでしょう...