#121 「ファーストフード店」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第121回は「ファーストフード店」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

The_Molostock / Shutterstock.com

↑「ねえ、朝食は一日の最初の食べ物だからいつもファーストフード店で食べてるの?」「その意味じゃないんだよ...」


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ファーストフード店」「ファストフード店」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「ファ(ー)ストフード店」
インターネット上の英語訳
1. fast-food eatery
2. fast(-)food joint

3. fast(-)food outlet
4. fast(-)food place

5. fast(-)food restaurant
6. fast-food shop
訳語が見つかった辞書・サイト
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)

実用・現代用語和英辞典(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ファーストフード店 英語」「ファストフード店 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、6つの訳語が見つかりました。「店」の部分に使われている eateryjointplaceoutletrestaurantshop の違いは一体何でしょうか? また、この中のどれを使うのが普通なのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった表現も含め、「ファ(ー)ストフード店」の英語について分かりやすく説明します。

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Restaurant ≠ レストラン

まず、日本では料理店やファミレス (ファミリーレストラン) には「レストラン」という言葉を使いますが、ファーストフード店にまで使う人は普通いないと思います。一方、英語では食事を提供するお店(普通は座席のあるお店)であれば restaurant と呼べるため、ハンバーガーや牛丼のチェーン店も restaurant です(ただし次のセクションで説明するとおり、料理店クラスのお店だけを restaurant と呼ぶ人もいます)。

fast-food の部分はハイフンが省かれることが多く、fast (速い) の発音はアメリカでは「フェァスト」、イギリスでは「ファースト」に近い音です。日本では「ファーストフード」と呼ぶのが普通ですが、それだと first food (最初の食べ物) に思えてしまうのと、日本でファーストフード店と呼ばれているお店の多くはアメリカ発(またはアメリカ風)だと思いますので、本当は「ファストフード」と呼ぶほうが適切と言えるでしょう。

なお、ファミレスについては #91 「ファミレス」の英語は本当に family restaurant? で説明しています。

loreanto / Shutterstock.com

↑「ねえ、このレストランの雰囲気いいわよね」「ここ日本なんだからラーメン屋って呼びなよ...」

Eatery, Joint, Place, Outlet, Shop の違い

では、「店」の部分に使われている restaurant 以外の単語はそれぞれどのような意味なのでしょうか? 違いを簡単に説明すると次のようになります。

eatery
新聞や雑誌で使われる「飲食店」のカジュアルな表現。一般の人は普通使わないため、人によって解釈が異なる場合がある。料理店クラスのお店が restaurant で簡易食堂が eatery と考える人もいるが、マクドナルドなどが自らを restaurant と呼んだため今やファーストフード店も restaurant と呼ぶのが普通。ただし今でも料理店クラスのお店だけを restaurant と呼ぶ人は(少なくともイギリスには)いる。
joint
安い飲食店、カフェ、バーなどに使われる口語。例えばハンバーガー屋は burger joint
place
言わずと知れた「場所」を意味する単語。つまり fast-food place は「ファーストフードを食べれる(お店としての)場所」という表現。
outlet
アウトレット店だけでなく単なる「店」の意味でも使える単語(※アメリカでは一般の人がこの意味で使うことは普通ない)。どのようなタイプ(座席の有無、チェーン店かなど)は人や国によって解釈が異なる場合がある。「排出口」や「コンセント (=プラグの差し込み口)」(イギリスでは socket) の意味もある。
shop
日本でも「ショップ」としておなじみの名詞で、主にイギリスで使われる。coffee shop などを除いて普通は飲食店には使わない。store との違いは #1 「お店」の shop と store の違いは何? を参照。

Happy cake Happy cafe / Shutterstock.com

↑outlet 内の outlet を使ってスマホを充電する人。

Quick-Service Restaurant?

最後は、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった quick-service restaurant とその関連表現についてです。ここでの説明ではすべてハイフンを入れていますが、省略されることのほうが多いです。

レストラン業界ではファーストフード店を quick-service restaurant と表現することが多く、QSR と略すこともあります。「食べ物に時間をかけないレストラン」と解釈できる fast-food restaurant という表現よりも、「サービスが速いレストラン」を意味するこの表現のほうが好ましいということなのでしょう。

一方、カウンターで注文するのではなくウェイター/ウェイトレスが注文を受け、その料理が調理場で作られて席まで運ばれてくるレストランが full-service restaurant (FSR) です。そしてその中でフォーマルなお店は fine-dining restaurant、カジュアルなお店は casual-dining restaurant と呼ばれることがあります。

さらに、アメリカではこの casual-dining restaurant とファーストフード店の中間に位置する fast-casual restaurant というカテゴリーのお店が近年増えています。これはファーストフード店のように提供時間が速めでありながら、料理の質やお店の雰囲気は(そして値段も)ファーストフード店を上回るとされています。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「ファーストフード店」の各英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。

ファーストフード店も英語では「レストラン」だからといって、友達に「レストランでおごるよ」と言いながらハンバーガーや牛丼のチェーン店でおごるのはやめておいたほうがいいでしょう...