オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第121回は「ファーストフード店」の英語についてです。
◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
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↑「ねえ、朝食は一日の最初の食べ物だからいつもファーストフード店で食べてるの?」「その意味じゃないんだよ...」
まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ファーストフード店」や「ファストフード店」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。
インターネット上の英語訳
1. fast-food eatery
2. fast(-)food joint
3. fast(-)food outlet
4. fast(-)food place
5. fast(-)food restaurant
6. fast-food shop
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
ご覧のとおり、6つの訳語が見つかりました。「店」の部分に使われている eatery、joint、place、outlet、restaurant、shop の違いは一体何でしょうか? また、この中のどれを使うのが普通なのでしょうか?
以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現も含め、「ファ(ー)ストフード店」の英語について分かりやすく説明します。
Restaurant ≠ レストラン
まず、日本では料理店やファミレス (ファミリーレストラン) には「レストラン」という言葉を使いますが、ファーストフード店にまで使う人は普通いないと思います。一方、英語では食事を提供するお店(普通は座席のあるお店)であれば restaurant と呼べるため、ハンバーガーや牛丼のチェーン店も restaurant です(ただし次のセクションで説明するとおり、料理店クラスのお店だけを restaurant と呼ぶ人もいます)。
fast-food の部分はハイフンが省かれることが多く、fast (速い) の発音はアメリカでは「フェァスト」、イギリスでは「ファースト」に近い音です。日本では「ファーストフード」と呼ぶのが普通ですが、それだと first food (最初の食べ物) に思えてしまうのと、日本でファーストフード店と呼ばれているお店の多くはアメリカ発(またはアメリカ風)だと思いますので、本当は「ファストフード」と呼ぶほうが適切と言えるでしょう。
なお、ファミレスについては #91 『ファミレス』の英語は本当に family restaurant? で説明しています。
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↑「ねえ、このレストランの雰囲気いいわよね」「ここ日本なんだからラーメン屋って呼びなよ...」
Eatery, Joint, Place, Outlet, Shop の違い
では、「店」の部分に使われている restaurant 以外の単語はそれぞれどのような意味なのでしょうか? 違いを簡単に説明すると次のようになります。
新聞や雑誌で使われる「飲食店」のカジュアルな表現。一般の人は普通使わないため、人によって解釈が異なる場合がある。料理店クラスのお店が restaurant で簡易食堂が eatery と考える人もいるものの、マクドナルドなどが自らを restaurant と呼んだため今やファーストフード店も restaurant と呼ぶのが普通。ただし今でも料理店クラスのお店だけを restaurant と呼ぶ人は(少なくともイギリスには)いる。
安い飲食店、カフェ、バーなどに使われる口語。例えばハンバーガー屋は burger joint。
言わずと知れた「場所」を意味する単語。つまり fast-food place は「ファーストフードを食べられる(お店としての)場所」という表現。
アウトレット店だけでなく単なる「店」の意味でも使える単語(※アメリカでは一般の人がこの意味で使うことは普通ない)。どのようなタイプ(座席の有無、チェーン店かなど)は人や国によって解釈が異なる場合がある。「排出口」や「コンセント (=プラグの差し込み口)」(イギリスでは socket) の意味もある。
日本でも「ショップ」としておなじみの名詞で、主にイギリスで使われる。coffee shop などを除いて普通は飲食店には使わない。store との違いは #1 『お店』の shop と store の違いは何? を参照。
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↑outlet 内の outlet を使ってスマホを充電する人。
Quick-Service Restaurant?
最後は、どの辞書・サイトも載せていなかった quick-service restaurant とその関連表現についてです。ここでの説明ではすべてハイフンを入れていますが、省略されることのほうが多いです。
レストラン業界ではファーストフード店を quick-service restaurant と表現することが多く、QSR と略すこともあります。「食べ物に時間をかけないレストラン」と解釈できる fast-food restaurant という表現よりも、「サービスが速いレストラン」を意味するこの表現のほうが好ましいということなのでしょう。
一方、カウンターで注文するのではなくウェイター/ウェイトレスが注文を受け、その料理が調理場で作られて席まで運ばれてくるレストランが full-service restaurant (FSR) です。そしてその中でフォーマルなお店は fine-dining restaurant、カジュアルなお店は casual-dining restaurant と呼ばれることがあります。
さらに、アメリカではこの casual-dining restaurant とファーストフード店の中間に位置する fast-casual restaurant というカテゴリーのお店が近年増えています。これはファーストフード店のように提供時間が速めでありながら、料理の質やお店の雰囲気は(そして値段も)ファーストフード店を上回るとされています。
以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「ファーストフード店」の各英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。
ファーストフード店も英語では「レストラン」だからといって、友達に「レストランでおごるよ」と言いながらハンバーガーや牛丼のチェーン店でおごるのはやめておいたほうがいいでしょう...