#165 『リンス』の英語は rinse それとも conditioner?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第165回は「リンス」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない可能性があります。

Charisse Kenion / Unsplash.com

↑毎日の洗髪に必要なヘアケア用品。「シャンプー」はもちろん shampoo。では「リンス」の英語は?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「リンス」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

「リンス」
インターネット上の主な英語訳
1. (hair) conditioner
2. (hair) rinse
3. rinsing
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

英会話カフェ
英会話ハイウェイ
Glosbe(辞書)

goo(辞書)
飛耳長目ノート
Imagict(辞書)
Linguee(辞書)

Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「リンス 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に3つの訳語が見つかりました。rinsing (すすぐこと) は液体の意味では使えませんが、多くの英語学習サイトが rinse も「和製英語」のため使えないと説明していました。本当にそうでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトで説明が見られなかった自家製や商品の (hair) rinse の例も含め、「リンス」の英語について分かりやすく説明します。

広告

Tea Rinse

まず、rinse は「すすぐ」という動詞だけでなく "a quick rinse" (さっとすすぐこと) のように「ひとすすぎ」の意味で名詞としても使えたり、髪の状態の改善や毛染めの目的で洗髪後の濡れた髪にスプレーしたりする液体の意味でも使えます。例えば髪や頭皮のケアに効果的とされる緑茶や紅茶を使って自分で作れるリンスは tea rinse と呼ばれ、日本でも「ティーリンス」や緑茶であれば「緑茶リンス」として紹介されています。

つまりこのタイプのリンスについては英語でも rinse と呼ぶのが正しく、例えば "make a green tea (hair) rinse" (緑茶リンスを作る) や "apply the black tea rinse to your hair" (紅茶リンスを髪にかける) のように表現できます。これらの手作りリンスやそのままリンスとして使える飲み物を紹介したインターネット上の英語の記事や動画では、緑茶や紅茶の他にレモン汁、ビール、シャンパンなども紹介されています。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「このままお飲みになりますか? それとも頭にぶっかけますか?」

Acid Rinse → Cream Rinse → Conditioner

では、日本のスーパーやドラッグストアで売られてきた一般的なリンスは英語で何と言うのでしょうか?

シャンプーが石けんシャンプーしかなかった頃、少なくともアメリカと日本では石けん成分と水中のミネラルが結合して髪に残る問題を防ぐために洗髪後に酸性の水溶液を髪に付ける人が多かったようですが、この行為や液体は acid rinse (酸性リンス) と呼ばれ、これを石けんシャンプー用に売っているお店はアメリカでも日本でも今もあります(つまりこのタイプのリンスも英語では rinse と呼ぶのが正しいということです)。

そしてその後に登場した石けんを使わないシャンプーにはまた別の問題があったため、少なくともアメリカでは髪を滑らかにする cream rinse という新しいタイプのリンスが登場して1980年代頃まで一般的に使われ(日本でも登場した新しいタイプのリンスがこのタイプと同じかは不明)、その後にもっと濃いタイプのリンスが登場して conditioner (調整剤/コンディショナー) と呼ばれていきました。

日本でもいつからか「コンディショナー」という言葉が使われるようになりましたが、「リンス」と「コンディショナー」のどちらの名称を使うかはメーカー側の自由で、髪の表面を油分で保護してくれるだけでなく保湿効果もあるものを「コンディショナー」と呼ぶことが多いようです。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「ほら、コンディショナーだから保湿までできてるでしょっ!?」「わかんないよー」

このような背景から、cream rinse を当時使っていたアメリカ人でも cream rinse は単に conditioner の古い呼び名と言う人もいれば、conditioner は後から出てきた別のタイプだと言う人もいます。また、今でも cream rinse を作っているメーカーはあるらしく、detanger (detangling rinse) (髪のもつれをほどいて滑らかにするタイプのリンス) という表現が使われることもあるようです(このあたりの詳細は不明)。

そして当時だけでなく今でもコンディショナー全般を cream rinse と呼ぶ人は少なくともアメリカにはいるため、その人たちには日本のスーパーやドラッグストアで売られてきた一般的なリンスを cream rinse (または略しても意味が変わらない状況では単に rinse) と表現しても普通に理解されるでしょう。

なお、rinse という名詞は #53 『うがい薬』の英語は本当に mouthwash や gargle? で説明した mouth rinseoral rinse のようにマウスウォッシュなどにも使われます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで普段使っているリンスには rinse と conditioner のどちらの単語を使えばいいか分かりやすくなったかもしれません。

「コンディショナー」の英語は正確には hair conditioner (髪用の調整剤) ですが、h の発音が苦手なフランス人の場合は air conditioner (エアコン) に聞こえるので注意しましょう...