#81 「スカーフ」の英語は本当に scarf?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第81回は「スカーフ」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Rafael Saes / Unsplash.com

↑これは「マフラー」ではなく「スカーフ」。でも英語の "scarf" にはマフラーも含まれるのである...


まず、#65 「マフラー」の英語は本当に muffler や scarf? で「マフラー」を取り上げましたが、その中で「スカーフ」の英語については説明していませんでしたので今回詳しく説明したいと思います。

では、まずオンライン和英辞書や英語学習サイトで「スカーフ」はどう英語に訳されているのでしょうか?
見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「スカーフ」
インターネット上の主な英語訳
1. headscarf
2. kerchief
3. muffler
4. neckerchief
5. scarf
6. shawl
7. silk scarf
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Lexis Rex
Linguee(辞書)
みんなで作るネーミング辞典(辞書)
例文.info
Reverso Context(辞書)

weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「スカーフ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、いろいろな訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのは「スカーフ」をそのまま英語にした scarf です。これは本当に「スカーフ」なのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった表現も含め、「スカーフ」の英語について分かりやすく説明します。

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Scarf の種類別の表現

まず、scarf (複数形は scarves が普通) には日本で「マフラー」と呼ばれているタイプも含まれるため、例えばスカーフを買ったことを伝えたくて "I bought a scarf" と表現すると季節や状況によってはマフラーを買ったと誤解される可能性があります(そう思われても困らない場合は別にそれでいいですが)。

そのため、買ったスカーフや欲しいスカーフについて説明するときは、そのスカーフの種類を表す表現を使うほうがいいでしょう。以下はマフラーを含めいろいろな要素で scarf の種類を区別する表現です。

形や厚さで区別する

まず、次のように表現することでスカーフやマフラーの形を限定できます。

square scarf: 正方形のもの。厳密にはバンダナなども含むが、その場合は bandanna などそのタイプの名称を使うのが普通。
rectangle scarf: 長方形の(普通は長い)もの。※マフラー含む。
oblong scarf: 長方形で長いもの。※マフラー含む。
long scarf:(普通は長方形で)長いもの。※マフラー含む。
circular/circle/round scarf: 環状のもの。※マフラー含む。
- round scarf は平面で円形の意味にもなり得る。
- 長い輪のものは infinity scarf と表現されることが多い。
- 短い輪のもので切った管に見えるものは tube/tubular scarf と表現できるが、cowlsnoodneck warmer と呼ぶほうが普通。cowlsnood は別物とされているが違いが分かりづらく、同じ意味で使う人が多い。neck warmer は明らかに防寒用と分かる表現。
triangle scarf: 三角形のもの。肩に掛けるものであれば shawl (ショール) と呼んだほうが分かりやすい。※scarf と違って肩や体に掛ける三角形や四角形のものが shawl。

marylooo / Shutterstock.com

↑この女性が首にかぶっているのが snood(とこの写真の説明には書いてあった...)

AntGor / Shutterstock.com

↑infinity scarf に見えるが、クリックして拡大画像で見ると単に長いマフラーをそれ風に巻いているだけ。

また、当たり前ですが次のように厚さで区別することもできます。

thin scarf: 薄手のもの。
thick scarf: 厚手のもの。
#65 「マフラー」の英語は本当に muffler や scarf? で説明したとおり、マフラーはスカーフよりも厚手のため thick scarf と表現できます。ただ、やや説明的なこの表現よりも後で登場する winter scarf のほうがマフラーのカテゴリー名として自然な感じがします(防寒用ということも明確になります)。

製法や素材で区別する

次は製法で区別する表現です。

knitted scarf: 編んだタイプ。knitted ではなく knit も可。
woven scarf: 織ったタイプ。
net scarf: 洗濯ネットのような網タイプ。

形と厚さを区別する表現と合わせて例えば "a long, thick knitted scarf" (長くて厚手の編んだ scarf) のように表現できますが、そのようなタイプを探している場合などに使う説明的な表現と言えます。

また、次のように素材で区別することもできます(ここに挙げた以外の素材もあると思います)。

acrylic scarf: アクリル製。
cashmere scarf: カシミヤ製。
cotton scarf: 綿製。
fleece scarf: フリース製。
linen scarf: リネン製。
pashmina scarf
: パシュミナ製。
polyester scarf: ポリエステル製。
silk scarf
: 絹製。
wool/wool(l)en scarf: ウール製。woollen は主にイギリスでのスペル。

Apollofoto / Shutterstock.com

↑これは綿製?

デザインで区別する

次はデザインで区別する表現です。

まず、日本では格子柄のものすべてが「チェック」、そしてその格子柄の種類によって「ギンガムチェック」や「タータンチェック」と呼び分けていると思います。一方、英語では次のように区別するのが正しいようです(ただしどれも同じと考えてすべて checked や checkered と表現する人も多くいます)。

check(ed)/checkered/chequered scarf: 同じ大きさの四角形が2色(またはそれ以上)で交互に並んだ格子柄(つまり市松模様)。どれか1つだけ覚えて使うのであれば checkered (イギリスは chequered) がお勧め。
※"check shirt" (市松模様のシャツ) のように checked や checkered ではなく check を使うのは和製英語と説明しているウェブサイトもありますが、これは和製英語ではなく単に checked や checkered のほうが普通というだけです。
gingham scarf: 薄い色 (普通は白) の地にそれよりも濃い色の縞が同じ太さで縦横に交わった格子柄。
plaid/tartan scarf: 大きさが異なる四角形が2色以上で並んで細い直線も入っている格子柄(つまりタータンチェック)。アメリカではこの柄のマフラーを plaid scarf と表現する人が多いのに対し、イギリスでは tartan scarf と表現する(イギリスで plaid はスコットランドでバグパイプを吹いている人などが肩に掛けているタータンチェックの布以外には普通使わないらしい)。

続けて無地を含むその他のデザインです。他にもいろいろなデザインがあると思います。

plain scarf: 無地。
striped scarf: 縞模様。
polka dot scarf: 水玉模様。
floral scarf: 花柄。
animal print scarf: 動物柄(ヒョウ柄など)。
beaded scarf: ビーズ付き。
fringe(d) scarf: フリンジ付き。
embroidered scarf: 刺繍入り。
bandanna scarf: バンダナ(言葉で説明するのは難しいが他のスカーフにはないバンダナ特有のデザインがある)。普通は単に bandanna (または bandana) と表現する。

freeillustrated / Pixabay.com

↑トラックに乗ってこんな感じで頭に巻けばどんな柄でもバンダナ?(写真かと思ったら絵でビックリ)

どこに身に着けるかで区別する

次はどこに身に着けるかで区別する表現です。

headscarf: 頭に巻くタイプ。headscarf を分けずに1語で書くほうが普通。
neck scarf: 首に巻く(またはかぶる)タイプ。
neckerchief: 三角形(または折って三角形にしたもの)で首に巻くもの。
sarong scarf: 腰を中心に巻くタイプ。

Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com

↑このスリムなムスリム女性が身に着けているヒジャブ (hijab) も headscarf の一種。(首も覆ってますが)

Maridav / Shutterstock.com

↑これが sarong scarf。この場合はおしゃれが目的(のはず)。

季節で区別する

続けて季節で区別する表現です。

spring scarf: 春用。
summer scarf
: 夏用。
fall/autumn scarf: 秋用。アメリカでは fall が普通でイギリスでは autumn が普通。
winter scarf: 冬用。#65 「マフラー」の英語は本当に muffler や scarf? でも説明したとおり、(春や秋でもマフラーをする人はいるものの) 防寒用ということが明確になる表現のため「マフラー」に最適。cold weather scarf というカテゴリー名で販売しているショッピングサイトもあり(やや説明的な表現)。

AS photo studio / Shutterstock.com

↑第65回の「マフラー」でも登場したインド人男性。(3度目はないですよ)

使う状況や用途で区別する

最後は使う状況や用途で区別する表現です。他にもいろいろな状況・用途があると思います。

beach scarf: ビーチ向けのものはこう表現できる。
blanket scarf: かなり大きくてブランケットとしても使えるタイプはこう呼ばれている。
fashion scarf
: 防寒やホコリ除けではなくおしゃれが目的ということが分かる表現。
soccer/football scarf: サッカーのサポーター用。アメリカが soccer でイギリスは football
sport scarf: スポーツ選手が首にかぶる防寒用の短い輪のものをこう表現する場合がある。

wavebreakmedia / Shutterstock.com

↑これが soccer/football scarf。チームの応援や汗を拭くのに使うが、試合後に凶器と化す可能性もある。

結局「スカーフ」は英語で何と言う?

さて、ここまで種類別の scarf の表現を見てきましたが、結局「スカーフ」は英語で何と表現すればいいのでしょうか?

例えば、一般的な絹のスカーフを買ったのであれば "I bought a silk scarf" と表現することでマフラーと誤解されることはまずなくなります。一方、「マフラー」と「スカーフ」を含む商品一覧などの「スカーフ」は絹製だけではないはずです。この場合、「マフラー」を "Winter scarf" (各商品を指す場合は複数形で "Winter scarves")、「スカーフ」はその他のタイプとして "Other scarves" と表現するのがいいでしょう。

いくつかの国語辞書の「スカーフ」の説明に共通して見られるのは、「首」や「頭」に身に着けることと「薄手」ということです。また、「方形 (=四角形)」という説明も複数の国語辞書で見られました。scarf だけで普通は首や頭に身に着ける方形のものということはイメージされるため、後は「薄手」を意味する単語を加えるだけです。つまり、「スカーフ」の英語は thin scarf ということになります。

国語辞書にしっかりと「薄手」や「薄い」と書いてあるのでそう表現するのは当たり前に思えますが、今回調べた辞書・サイトで「スカーフ」の訳語にこの表現を載せているものはありませんでした。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した「スカーフ」の適切な英語表現が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

もし英語の先生が「スカーフは英語でも scarf です」と説明していたら、「マフラー (#65)」のときと同じように「本当にそうでしょうか?」と疑問を投げかけて熱い議論を繰り広げてみてはいかがでしょうか?(説明に1分もかからないと思いますが...)

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