#23 『ビジネスシーン』や『アウトドアシーン』の『シーン (場面)』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第23回は「シーン」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。
◆更新履歴は「お知らせ」に載せています。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑これ以上会話が続かずシーンとするビジネスの一場面。


まず、「ビジネスシーン」や「アウトドアシーン」などで使われる「シーン」という日本語はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「シーン」
インターネット上の英語訳
1. scenario
2. scene

3. setting
4. shot
5. situation
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「シーン 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、5つの訳語が見つかりました。ほとんどの辞書は映画やドラマのシーンの意味で sceneshot を載せていましたが、「ビジネスシーン」などの「シーン」にもこれらの単語を使っていいのでしょうか?

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった表現も含め、「シーン」や「場面」の英語について分かりやすく説明します。

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映画やドラマの「シーン」や音楽シーンなどの「シーン」は英語でも Scene

まず、「シーン」という日本語は映画やドラマの「ワンシーン」や現実の世界の「ビジネスシーン」のように「場面」の意味で主に使われますが、映画やドラマのシーンであれば英語でも scene (シーン) を使って例えば "the opening scene" (冒頭シーン) と表現できます。

また、現実の世界でも「音楽シーン」や「ファッションシーン」はそれぞれ英語の music scenefashion scene を日本語にしたものですが、これらはそれぞれ「音楽界」と「ファッション界」を意味することから分かるとおり、この場合の scene は「場面」ではなく「(活動の範囲という意味での) 界」を意味します。

逆に日本語では「シーン」とは言わないのに英語では scene と言う例として事件や事故の「現場」があり、例えば crime scene は「犯行シーン」ではなく「犯行現場」を意味します。また、「よくある日常のシーン」などの「シーン」には「光景」や「情景」という意味での scene を使えますが、「さまざまなシーンで活躍するアイテム」などの「シーン」は「光景」や「情景」という意味ではないため scene とは普通表現しません。

Elnur / Shutterstock.com

↑普段はビジネスシーンで使われるオフィスがこうなると「クライムシーン」。(まるで映画のワンシーン)

「ビジネスシーン」や「アウトドアシーン」の「シーン」は英語で何と言う?

では、現実の世界でのビジネスの場面を意味する「ビジネスシーン」やアウトドアの場面を意味する「アウトドアシーン」はそれぞれ business scene と outdoor scene と表現していいのでしょうか?

日本ではこれらの「○○シーン」という英語フレーズはかっこいい感じがするためか頻繁に使われますが、例えば「ビジネスシーンでよく使うフレーズ」という日本語の場合はそもそも「シーン」という言葉が不要なため、英語では "phrases often used in business" (ビジネスでよく使うフレーズ) と表現すれば十分です。

一方、「さまざまなビジネスシーンで活躍するアプリ」のような場合は「シーン」の部分が必要ですが、この「ビジネスシーン」という日本語の意味は「映画やドラマの中のビジネスをしている場面」でも「ビジネス界」でも「ビジネスの光景/情景」でもないため、scene を使うと違和感が出てしまいます。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑これはニューヨークのビジネス界 (New York's business scene)。日本語の「ビジネスシーン」はこの意味ではない。

今回見つかった5つの訳語の中では、ビジネスや物語が起こる「場」や「環境」を意味する setting と「状況」を意味する situation がこの場合の「シーン」に使えます(どちらも前置詞は in)。例えば、先ほどの「さまざまなビジネスシーンで活躍するアプリ」の場合は、そのアプリが活躍しそうな「状況」をイメージしているのであれば "an app that will come in handy in various business situations" と表現できます。

一方、「アウトドアシーン」は単に outdoor setting/situation と表現するとキャンプや登山を楽しむ場面に限らずあらゆる「屋外の場/状況」を意味してしまうため、例えば「アウトドアシーンで使いたいアイテム」は "an item you would want to use when enjoying outdoor recreation" (屋外でのレクリエーションを楽しむ際に使いたいアイテム) のように表現するといいでしょう。

その他、「(特定の) 時」や「(特別な) 出来事/機会」を意味する occasion を使って(この場合は前置詞は on)例えば "on occasions such as conferences and seminars" (会議やセミナーなどの際に) と表現できます。「シーン」の英語にこの occasion を載せている辞書・サイトは見当たりませんでしたが(このページの公開後は見られるようになりました)、これも「シーン」に使えるシーンはきっとあるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで日本語の「シーン」と英語の scene の違いや setting と situation と occasion の違いなどが分かりやすくなったかもしれません。

「ビジネスシーン」や「アウトドアシーン」の「シーン」は「場面」の意味で今後も日本で使われ続けると思いますが、英語の scene の発音は「シーン」ではなく「スィーン」ですので注意しましょう...

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