#208 『正社員』と『非正規社員』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第208回は「正社員」「非正規社員」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

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↑今日から正社員になって嬉しそうな人。さて「正社員」と「非正規社員」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「正(規)社員」「非正(規)社員」はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「正(規)社員」
インターネット上の主な英語訳
1. full-time employee/staff/worker
2. permanent employee/staff/worker
3. regular employee/staff/worker
「非正(規)社員」
インターネット上の主な英語訳
1. non-fulltime employee
2. non-permanent employee
3. non-regular employee/worker
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
フィリピン在住のPinaさんのブログ
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「正社員 英語」「正規社員 英語」「非正社員 英語」「非正規社員 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含む例文などは調べていません。

ご覧のとおり、どちらの訳語にも full(-)timepermanentregular という形容詞が使われています。この中のどれを使えばいいのでしょうか? また、employeestaffworker の違いは一体何でしょうか?

以下では、契約社員とパート/アルバイトの無期労働契約の説明も含め、「正社員」と「非正規社員」の英語について分かりやすく説明します。

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Full-Time Employee/Staff/Worker

まず、「正社員」を full-time employeefull-time worker と説明している人が多いサイトがありましたが(『DMM英会話なんてuKnow?』)、日本にはフルタイム勤務の契約社員やパート/アルバイトも多く、逆にパートタイム勤務の「時短正社員」もいるため、これらの英語は「正社員」を意味するとは限りません。

また、staff を使って "a full time staff""a permanent staff" と説明している人も同サイトにいましたが、英語ではスタッフ1名を "a staff" や2名を "two staffs" とは表現しないので注意が必要です(この staff については #145 『スタッフ (1名/複数名/全体)』は英語で何と言う? で詳しく説明しています)。

Permanent Employee/Staff/Worker

さて、「永久の」を意味する形容詞の permanent は、雇用の話においては「無期契約の」を意味します。正社員は勤務先の会社と雇用契約を結んでいるため、派遣契約や請負契約の人も含むあらゆるスタッフに使える staff やあらゆる労働者に使える worker よりも意味の狭い employee (雇用されている人) という言葉を使うほうが適切ですが、permanent employee は本当に正社員の人たちだけを意味するのでしょうか?

実は今の日本の法律では、契約社員やパート/アルバイトの人は契約を更新し続けた5年目以降の更新時に、会社が正社員にしてくれなくても契約を無期に切り換えられるようになっています。つまり、契約社員やパート/アルバイトの中には fixed-term employee (有期雇用の人) と permanent employee (無期雇用の人) の両方がいることになり、残念ながらこの permanent employee も「正社員」を意味するとは限りません。

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↑「これからも契約社員として頑張ってね」「ええ、でも今までと違って『無期契約社員』ですよね?」

Regular Employee/Staff/Worker

では、この regular employee/staff/worker が「正社員」や「正規労働者」なのでしょうか?

regular は「いつもの」や「常用の」を意味するため、これらもやはり今説明した無期契約に切り換えた契約社員やパート/アルバイトにも該当してしまいます。また、有期契約の人でも毎回更新することを前提として無期契約の人と同じように働いている場合はこれらの表現が該当してしまうと思います。

結局「正社員」と「非正規社員」は英語で何と言う?

このように日本で明確に正社員だけを意味するシンプルな英語表現はないと言えますが、例えばその会社で正社員だけがフルタイム勤務の場合は full-time employee、同じく正社員だけが無期契約の場合は permanent employee と表現できます(両方に該当するのであれば full-time permanent employee)。

一方、非正規社員(派遣社員も含む)は全員がパートタイム勤務であれば part-time employee、全員が有期契約であれば fixed-term employee (non-permanent ~ も可) と表現できます。派遣社員は勤務先と雇用契約を結んでいるのではないため worker のほうが適切な表現ですが、日本語の「派遣社員」(この「社」は勤務先の会社の意味) と同じく社員として扱われている場合は employee と呼ぶこともあると思います。

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↑「君は僕らの employee じゃなくて派遣元の会社の employee だよね」「あ、そうなんですか?」

「正社員」と「非正規社員」を英語で表現している日本の英語サイト(英字新聞サイトなど)を見ると、「正社員」は先ほどの regular employee、「非正規社員」はその逆の non-regular employee と表現しているものが多い印象があります。regularpermanent よりも意味が曖昧なため、正社員と非正規社員をシンプルに(ざっくりと)表したい場合はこれらの表現を使うのが一番いいのかもしれません。

先ほど書いたとおり無期契約に切り換えた契約社員なども本当は regular employee に該当すると思いますが、日本の複雑な雇用形態の中で「正社員」だけを正確かつシンプルに表現するのは無理と言えます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで employee、staff、worker の違いや full-time、permanent、regular の使い分けが分かりやすくなったかもしれません。

「正社員は英語で full-time employee や permanent employee と言います」と教えてくれる英語の先生がいたら、このページを見せて必ずしもそうではないことを逆に教えてあげましょう。

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