#113 「請求書 (保険金請求書含む)」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第113回は「請求書」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Teddy Rawpixel / Rawpixel.com

↑請求書らしき紙の右上には大きな字で "INVOICE"。ということは「請求書」は invoice で決まりか?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「請求書」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「請求書」
インターネット上の主な英語訳
1. account
2. bill
3. check
4. invoice
5. notice
6. notification
7. written claim
8. written request
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
ECCフォリラン!

英語部
英辞郎 on the WEB(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Misoca
MYスキ英語
NativeCamp.Blog

Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
Workship Magazine
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「請求書 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に8つの訳語が見つかりました。この中ですべての辞書・サイトが載せていたのが bill で、次いで多かったのが invoice です。ということは「請求書」には冒頭の写真の invoice よりも bill を使うほうがいいということでしょうか?

以下では、この2語の違いや今回調べた辞書・サイトのほぼすべてが載せていなかった保険金の請求書の表現も含め、「請求書」の英語について分かりやすく説明します。

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請求書 vs 勘定書

まず、「請求書」とは何かを請求するために書かれた紙(デジタル版含む)ですが、例えば飲食店が客に請求するときに書く紙は「請求書」ではなく「勘定書き」と呼ぶのが普通だと思います。そしてこの「勘定書き」はアメリカ英語で普通は check、イギリス英語では bill と呼ばれています。なお、check は小切手(イギリスのスペルは cheque)、bill は紙幣(イギリスでは note)、ビラ/ポスター、証券などにも使われる単語です。

一方、保険金を請求するために保険会社に提出する書類や、支払うべき商品購入代金/公共料金が記載された紙は「請求書」と呼ばれています。これらの「請求書」は英語で何と言うのでしょうか?

Chanikarn Thongsupa / Rawpixel.com

↑「check プリ~ズ」「イギリスでは bill のほうが普通だけどね...」

「請求書」は英語で何と言う?

まず、保険金の請求書には1つの辞書(『Reverso Context』)だけが載せていた claim form (または claims form) という表現が使われます。claim は「主張/要求/請求(する)」を意味しますが、これをカタカナにした「クレーム」は日本で「苦情」という誤った意味で使われています(「苦情」の英語は complaint)。

一方、商品(サービス含む)の請求書に使う単語が bill と invoice です。合計金額だけでも内訳まで書かれていても、支払うべき金額が書かれた紙は bill です。invoice は本来商品の内訳を書いて送る「送り状」のことで、請求額も書かれて支払える紙になっていれば bill とも呼べる「明細付き請求書」、内訳だけであれば単に「明細書」、支払い済みの金額が書いてあれば「明細書兼領収書」になり得ます(別途領収書がない場合)。

ただ、日本でも支払い済みの商品に対して形式上の「請求書」が発行されることがあり、請求書には内訳が書いてあることが多いことから、invoice は「(明細付き)請求書」を意味するのが普通と言っていいでしょう。

請求する側と支払う側で呼び名が変わる?

さて、これだけで終わらないのが billinvoice の面倒なところです。

企業間などビジネスで商品の売買をする際の明細付き請求書は、請求する側だけでなく支払う側も invoice と呼ぶのが普通です。一方、商品を購入した一般消費者に発行する明細付き請求書も invoice ですが、消費者はそれを bill と呼ぶのが普通です。内訳まで書かれていようが、消費者の多くにとってそれは単に支払うべき金額が書かれた紙のためそう呼ぶのかもしれません(字数も表現の硬さも invoice より少ないです)。

roungroat / Rawpixel.com

↑「参ったなぁ...払わなきゃいけない bill がこんなにあるのか...」「invoice って書いてあるけど?」

日本語の「送り状」と同じく invoice という言葉は多くの消費者にとって何を意味するのかよく分からないらしく、基本的にはビジネスで主に「請求書」に使われる言葉と覚えておけばいいと思います(内訳が書かれていない請求書でもそう呼ぶかもしれません)。一般消費者が請求書を invoice と呼ぶことは普通ありませんが、企業は一般消費者に対して invoice だけでなく bill という言葉を使うこともあります。

なお、公共料金の請求書は企業でも bill と表現するのが普通です(例えばガス料金の請求書は gas bill)。また、bill は支払うべき金額が書かれた紙を意味するはずですが、例えば口座振替で自動引き落としされた際に発行される請求明細書 (billing statement) も bill と呼ばれることがあります。つまり、invoice だけでなく bill も請求書とは限らないということです(bill にはもちろん最初に挙げた「紙幣」などの意味もあります)。

その他の訳語

最後に、今回見つかったその他の訳語はそれぞれ何を意味するのでしょうか?

account は「アカウント」や「口座」の他に「勘定書」や「計算書」、notice は「告示文」や「通知書」、notification も「通知書」などに使われるのが普通のため、日々の生活で目にする請求書にこれらの表現を使うことは普通ないと思います(notice と notification の違いについては前回の #112 「お知らせ」は英語で何と言う? で説明しています)。

written claim は「書面による請求/要求」、written request は「書面による要望/要請/請求/依頼」を意味するため、何かを請求するための文書という意味での「請求書」に使える場合があるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した保険金請求書の英語や bill と invoice の違いが多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

先ほどの写真のように支払うべき invoice がたくさんある方は、早く支払って "I paid all my bills" と言えるようになるといいでしょう...