#160 『文章』の英語は sentence, text, writing などのどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第160回は「文章」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

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↑文章だらけで頭が痛くなりそうな画像。さて「文章」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「文章」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「文章」
インターネット上の主な英語訳
1. (a piece of) writing
2. article

3. composition
4. description
5. essay
6. sentence

7. statement
8. text
9. (writing) style
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)

Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「文章 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、いろいろな訳語が見つかりました。この中で最も多かったのはほぼすべての辞書・サイトが載せていた sentence です。これは本当に「文章」なのでしょうか?

以下では、これらの主な訳語をいくつかに分けて「文章」の英語について分かりやすく説明します。

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Sentence

まず、「文」と「文章」の違いを説明したいくつかの日本のウェブページや主な国語辞書を見れば分かりますが、「文章」という日本語は2つ以上の「文」の集まりを意味するのが普通です(1つの文でも長いものは「文章」と呼べると思いますが)。そしてこの「文」を意味する英語が sentence で、例えば "I like it" (それ好きです) という文は sentence ですが「文章」と呼ぶには短すぎます。

つまり、複数の文を含む通常の文章は sentence を複数形で使う必要があり、例えば「この文章は正しいですか?」は "Are these sentences correct?"、「この文章は意味が分かりません」は "I don't understand these sentences" と表現します。今回調べた辞書・サイトで「文章」の英語にこの複数形の sentences を載せているものはありませんでしたので、少なくとも辞書は載せておくべきでしょう。

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↑「短い文章送ったけど届いた?」「うん、でもこの短さのセンテンスは『文章』って普通言わないんだよ」

Text

この text (テキスト) は「止まれ」のような短い標識から小説など長いものまで文字全般に使えます。

可算名詞 (数えられる名詞) として "a text" と表現すると文字の1つのまとまり(小説など含む)や携帯電話のテキストメッセージ1通を意味し、不可算名詞 (数えられない名詞) として使うと "images and text" (画像と文字) のように写真や絵に対して「文字」を意味します。また、不可算名詞のまま文字の1つのまとまりを "a piece of text" と表現することもできます(この piece は「1つの独立したもの」を意味します)。

先ほどの sentence(s) とこの text を比べると、例えばテストの問題でいくつかの箇条書きの文を見せて「次の各文を読んで質問に答えなさい」と聞きたい場合は "Read the following sentences and answer the questions" と表現するのが適切ですが、いくつかの段落を含む文章を見せて「次の文章を読んで質問に答えなさい」と聞く場合は文章全体を指して "Read the following text and..." と表現するほうが自然です。

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↑「日本では textbook を『テキスト』って略すの知ってた?」「英語でもそう略す人いるよ」「地域にもよるみたい」

Statement, Description

statement は「文」や「文章」という意味ではありませんが、この単語を使うのが最適な場合もあります。例えばアンケートで「次の各文章はどれくらい自分に当てはまりますか?」という質問の後に「勉強は好きなほうだ」「人の目がよく気になる」「眠れないことが多い」などの選択肢がある場合、英語ではこの質問を "How much do you agree with each of the following statements?" のように尋ねます。

この「勉強は好きなほうだ」のような短い文を「文章」と呼ぶのは本当は正しくないと思いますが、「述べられたもの」「声明」「発言」などを意味する statement という単語を今の質問文の例で「次の各発言は...」のように表現すると変な感じがするため、代わりに「文章」や「文」という言葉が使われるのだと思います。

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↑「確かに statement と全く同じ意味の自然な日本語ってない気がするなぁ...」

一方、description は何かの特徴を説明する文章に使うのが最適で、例えばカタログなどの商品の説明文(この場合の「文」は「文章」の略でもあり、1つの sentence とは限らない)は product description と表現します。この descriptionstatementsentence と同じく可算名詞 (数えられる名詞) のため、複数の文章や文であれば複数形で普通に descriptions/statements と表現できます。

Article, Composition, Essay

article は「記事」、composition は「作文」、essay は日本語と同じ「エッセイ/エッセー」を意味するもので、その意味での「文章」にはこれらの単語を使うのがいいでしょう。

これらもすべて可算名詞のため、複数の文章であれば articlescompositionsessays と普通に複数形で表せます(composition は「構成すること」などの意味で不可算名詞としても使われます)。

(Writing) Style, (A Piece Of) Writing, Writing(s)

最後は、writing を使った表現です。writing style は「文体 (=文章スタイル)」を意味するため、例えば "I like his (writing) style" (彼の文章(の書き方)が好きです) や "She has a great (writing) style" (彼女はとても文章が上手です) のように使えます(文章の話だと分かる状況では writing を省略できます)。

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↑「アナタのスタイルはとてもイイですね」「それ『文章』って言わないと変態だと思われるわよ」

この style と似た意味で使える単語には skill (技術) があり、今挙げた2つめの例の「彼女はとても文章が上手です」であれば「彼女は書く技術がすばらしい」という意味で "She has great writing skills" と表現できます(良い文章を書くにはいろいろな技術が必要なため、skill は複数形で表します)。

この writing は名詞では「書かれたもの」を意味し、不可算名詞として「1つ、2つ」と数える場合は先ほどの text の説明に出てきた piece を使って例えば "Compare these two pieces of writing" (この2つの書かれたものを比べなさい) と表現できます。一方、可算名詞としては複数形で "Dickens's writings" (ディケンズの作品集) のように「作品集」や「著作集」を意味します。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「文章」の英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。

私も「あなたはとても文章が上手です」と言われてみたいところですが、調子に乗って文章が長くなりそうなのでそのように褒めるのはやめておきましょう...

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