#149 「信号機」の英語は signal それとも light?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第149回は「信号機」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

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↑上から red (赤)、yellow/amber (黄色)、green (青)。すべて点灯させたら意味がないではないか...


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「信号機」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「信号機」
インターネット上の主な英語訳
1. semaphore (apparatus)
2. signaling equipment
3. signalling mechanism
4. stop light / stoplight
5. (traffic) light(s)
6. (traffic) signal(s)
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
英これナビ
Glosbe(辞書)

goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
MyPace English
MYスキ英語

Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「信号機 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に6つの訳語が見つかりました。この中で目立って多かったのは (traffic) signal と traffic light です。これらの違いは一体何でしょうか? また、semaphore や stop light / stoplight(以降では表記を stop light に統一)は何を意味するのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトで説明が見られなかったアメリカとイギリスでの traffic light(s) の使い方(単数形/複数形)の傾向の違いも含め、「信号機」の英語について分かりやすく説明します。

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Signal vs Light

まず、信号機は「機」を省略して「信号」と呼ぶのが普通ですが、「離れた相手に意思を伝えるための合図」という意味での「信号」と区別するために以降でも略さず「信号機」と表現します(例文の箇所を除く)。

今回見つかった「信号機」の英語のほぼすべてに signal (シグナル) または light (ライト) の文字が含まれていますが、signal は今説明した「離れた相手に意思を伝えるための合図」という意味での「信号」とその信号を送る「信号機」の両方に使え、音や記号ではなく光で信号を送る信号機の場合は light とも呼べます。信号機には「交通信号機」と「鉄道信号機」がありますが、それぞれ英語では何と呼ぶのでしょうか?

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↑これは光を使った信号ではないので light ではなく signal。

「交通信号機」は英語で何と言う?

さて、道路上の信号機が「交通信号機」ですが、この日本語と同じ表現の英語が traffic signal です(交通信号機は交通を「コントロール」するのが目的のため正確には traffic control signal と表現されます)。今回見つかった主な訳語には「機」に該当する部分を含む signaling equipment と signalling mechanism も含まれていますが、普通は signal だけで「信号機」の意味になります。

ただ、交通信号機は光で信号を送るため traffic light と呼ぶのが普通で、アメリカでは stop light とも呼ばれています。そして交通信号機の話だと分かる状況では traffic/stop を省いて単に light と呼べます。

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↑stop light という英語の意味に車の「停止灯」も載せている英和辞書もあるが、停止灯は brake light と呼ぶのが普通。

交通信号機1基は A Light (単数形) それとも Lights (複数形)?

では、信号機が設置されたことや信号機がある交差点で曲がることを英語ではどう表現するのでしょうか?

信号機1つにはランプが複数付いているのが普通ですが、次のようにアメリカではランプの数に関係なく交通信号機1基を単数形で "a traffic light"、イギリスでは複数形で "traffic lights" と呼ぶ傾向があります。

信号機が1基設置されました。
(米) A traffic light has been installed.
(英) A set of traffic lights has been installed.

例えば3色セットの信号機の場合、このアメリカの文では信号機が1つだけ設置されたことが明確で、イギリスの文でも set を「複数の信号機のセット」と誤解しなければやはり1つだけ設置された意味になります。

また、交差点で曲がるときなどもアメリカではランプの数や設置されている信号機の数に関係なく次のように単数形の light を使うのが普通です。

そこの信号で左折して!
(米) Turn left at the light!
(英) Turn left at the lights!

これらの違いはあくまで傾向であり、同じ国でも人や状況によって逆の表現を使うことはあります。そのため、例えばアメリカで複数形の lights を使っても次の写真のような反応をされることはまずないでしょう。

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↑「そこの lights で左折して!」「どうして複数形!?」

「鉄道信号機」は英語で何と言う?

では、「鉄道信号機」は英語で何と言うのでしょうか?

道路と違って線路の場合は電車の交通をコントロールする信号機について私たち乗客が話す機会はほとんどないと思いますが、鉄道信号機は基本的に railway signal と覚えておけばよく、鉄道の話だと分かる状況では単に signal と表現できます。通常のランプ式の信号機で色の切り替えについて話す場合などは light(s) と表現すると思いますが、実際に運転士の人たちがどう表現しているのかは分かりません。

今回見つかった主な訳語には semaphore (apparatus) という表現も含まれていますが、semaphore は旗や腕で信号を送るシステムのことで、人が両手に旗を持って合図を送る「手旗信号」は flag semaphore、鉄道の「腕木式信号機」は (railway) semaphore signal と呼ばれています(昔は道路上にもこの腕木を搭載したタイプの信号機を設置していた地域が少なくともアメリカにはあったようです)。

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↑この機関車の後ろには semaphore signal (腕木式信号機) が3つ見える。赤い板の部分 (腕木) は semaphore arm。 

なお、私たちが徒歩や車で渡る踏切にある信号機(踏切警報機)は grade crossing signal (アメリカ) や level crossing signal (イギリス) と呼ばれていますが(railway crossing signal や railroad crossing signal も可)、これももちろん踏切の信号機の話だと分かる状況では単に signal と表現できます。

ただし例えば点滅している踏切の信号が消えたことを説明する場合に "The signal has stopped flashing""The lights have stopped flashing" のように signal と light のどちらを使うかは人によって違うらしく、道路上の信号、線路上の信号、踏切の信号をもちろん単数形と複数形の違いもなくすべて「信号」という同じ1つの言葉で呼べてしまう日本語は本当に便利だと言えるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「信号機」の英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。

カタカナの「ライトアップ」や「ライトウィング」と違って英語では light (信号) と right (右) の発音は l/r の部分が違いますので、英語圏で運転手に「そこの信号で右折して!」と伝えたい場合に誤って "Turn light at the right(s)!" と発音してしまわないよう注意しましょう...