#109 「SNS」の英語は social media それとも social network?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第109回は「SNS」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

LoboStudioHamburg / Pixabay.com

↑Facebook、Twitter、Instagram...これらを「SNS」と呼んではいけないのだろうか...


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「SNS」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「SNS」
インターネット上の主な英語訳
1. social media
2. social network
3. social networking service
4. social networking site
5. social networking software
訳語が見つかった辞書・サイト
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
英検1級・TOEIC900点からのNHK語学
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
日刊英語ライフ
Reverso Context(辞書)
植田英語英会話便り
weblio(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「SNS 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に5つの訳語が見つかりました。FacebookやTwitterなどを英語では SNS とは呼ばないのでしょうか? その場合、これらのSNSは英語で何と表現するのが普通なのでしょうか?

以下では、social mediasocial network の違いや1つまたは複数のSNSを表現する方法も含め、「SNS」の英語について分かりやすく説明します。

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Social Media と Social Network の違い(専門家編)

まず、マーケティング系の英語サイトでは social media と social network(ing) の違いについていろいろ説明されていますが、その中には social media を次のように分類しているものがいくつかあります。

マーケティング専門家が考える social media の主な種類
1. social networks: 人やブランドとつながるためのウェブ上の場所(Facebook、Twitterなど)
2. media sharing sites: 画像や動画などの共有サイト(Instagram、Snapchat、YouTubeなど)
3. (online) forums: ネット掲示板*
4. review sites: 口コミサイト
5. blogs, microblogs: ブログ、マイクロブログ
*「ネット掲示板」については #24 「ネット掲示板」の英語は本当に bulletin board や BBS? で説明しています。

social media という言葉は「社会的/社交的な媒体」という漠然とした意味を持つため、その中にはいくつかの種類があるということなのだと思います。1つめの social networkssocial networking servicessocial networking sites の略で、これらの頭文字を合わせると SNS になります。

SNS は和製英語ではなく、例えば英語版ウィキペディアの『Social networking service』のページの説明でも使われていますが、一般的な略語ではないため普段の会話などでは使わないほうがいいでしょう。なお、social networking softwaresocial networking system、そして分野は違いますが sympathetic nervous system (交感神経系) なども SNS と略されることがあるようです。

wan / Rawpixel.com

↑これは交感神経系...ではなくソーシャルネットワークの図。この言葉はもともと「社会的なつながり(の網)」という意味。

Social Media と Social Network の違い(一般人編)

では、一般の人は social media と social network の違いをどう考えているのでしょうか? どちらも同じと考えているか、または違いがよく分からないという印象がありますが、いずれにしても social media のほうが一般的な表現です。ただ、どのようなサイトやアプリを social media と考えるかは人によって違う場合があり、ある人にとってそれは social media でも他の人にとってはそうではないことがあります。

これは英語に限った話ではなく、日本語の「SNS」も該当するサイトや言葉の解釈が人によって違う場合があると思います。ただ、Facebook、Twitter、Instagramなど日本で普通は「SNS」と呼ぶものを英語では一般的に social media と呼ぶことから、「SNS」の英語は social media だと言っていいでしょう。つまり、この言葉は次のように使えば普通はSNSと同じ意味になります。

What social media do you use?(どのSNSを使ってるの?)
Why don't you post it on social media?(それSNSに載せたら?)
Social media is a great tool for meeting new people.(SNSは人と知り合うのにとてもいい。)

1つまたは複数のSNSは英語でどう表現する?

さて、これでSNSは英語で social media と表現すればいいことが分かりましたが、面倒なことに英語の名詞には可算名詞 (数えられる名詞) と不可算名詞 (数えられない名詞) という違いがあります。

例えば、service や site は可算名詞のため複数の場合は語尾に s を付けるだけですが、media はそれ自体が本来は medium の複数形のため、s を付けて medias と表現できません(例外的用法は除く)。また、多くの人は media を medium の複数形ではなく不可算名詞として使うため、1つのSNSを "a social medium" と表現したり、2つのSNSを "two social media" と表現すると変に思われる可能性が高いです。

なお、medium という名詞には神霊や死者の霊と人の意思伝達を媒介する「霊媒」の意味もあり、その場合の複数形(複数人の霊媒)は media ではなく mediums になります。

Rommel Canlas / Shutterstock.com

↑「先生、複数の social media はどう表現したらいいのですか?」「私も悩んでいるので神霊に聞いてみましょう...」

そこで、数を表す単語(one、two、several、many など)と一緒に social media という言葉を使う場合は、servicesiteappaccountplatform などの可算名詞を加えるのが普通です(例えば5つのSNSは "five social media sites")。ただ、これらの単語を使う際は次のような懸念点があります。

service: 場合によっては法人向けのSNS活用サービスなどと誤解される可能性がある。
site: SNSの種類によっては「サイト」と見なさない人もいるかもしれない。
app: SNSの種類によっては「アプリ」と見なさない人もいるかもしれない。
account: SNSの数ではなくその中のアカウントの数の話になってしまう。
platform: やや硬い表現のため、くだけた会話などでは違和感が出る可能性がある。

つまり、誰から見ても「サイト」や「アプリ」と呼べるものは social media sites や social media apps と表現すればいいわけですが、そう呼べるのか分からないものも含まれる場合は注意が必要ということです。

どれを使えばいいか迷う場合は、social media と同じ意味で使われることが多い先ほどの social network を使う手もあります(例えば "five social networks")。ただ、1のFacebookやTwitterのようなタイプだけを social network と考える専門家たちの前で2のInstagramやSnapchatもそう呼ぶと、"Those aren't social networks" (それはソーネじゃないよ) と言われるかもしれません...

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? SNSの歴史は浅いため、今回説明した各表現の解釈や使い方は今後変わる可能性があります。また、media を複数名詞と不可算名詞のどちらとして使うかや複数の social media に使う可算名詞も人や状況によって違うため、正解はないと言えるでしょう。

日本では「ソーシャルメディア」という言葉はあまり使われませんが、理由は「SNS」という言葉に慣れてしまったからか、または「ソーメディ」と略すとあまりにも響きが悪いからだと思います。「SNS」もそれほど言いやすくはないため、口語では今使った「ソーネ」やソーシャルメディアとソーシャルネットワークのどちらにも使える「ソーシャル」と呼ぶほうがいいような気がします。