#108 「ソフト (複数形含む)」や「アプリ」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第108回は「ソフト」「アプリ」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

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↑デスクトップ上のいろいろなアイコン。これらはソフト、アプリ、アプリケーション、プログラムのどれなのだろうか...


まず、「ソフトウェア」とその略語の「ソフト」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「ソフト(ウェア)」
インターネット上の主な英語訳
1. application
2. computer software
3. package
4. software
5. software package
6. software program
7. software system
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ソフトウェア 英語」「ソフト 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に7つの訳語が見つかりました。この中で最も多かったのはもちろん software です。では、application (アプリケーション) や package (パッケージ) なども含まれているのはなぜでしょうか?

以下では、applicationapp (アプリ) の違いや1つまたは複数のソフトを表現する方法も含め、「ソフト」や「アプリ」の英語について分かりやすく説明します。

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Software, Application, Program, Package の違い

まず、パソコンやスマートフォンなど触ることができるものは hardware、OSやアプリなど触ることができないものは software と呼ばれており、software は大きく次の3つのタイプに分けることができます(各タイプの主なソフトの種類も記載します)。

A: system software (システムソフト)
- operating system / OS (オペレーティングシステム)
- device driver (デバイスドライバー)
B: application software (略称: application) (応用ソフト)
- word processing software (ワープロソフト)
- spreadsheet software (表計算ソフト)
- email software (メールソフト)
- browser (ブラウザー)
- calculator (電卓)
※このようなソフトが1つまたは複数ある場合の表現は次のセクションで説明します。
C: malicious software (略称: malware) (マルウェア ※悪意のあるソフト)
- virus (ウィルス)
- worm (ワーム)
- Trojan (horse) (トロイの木馬)
- ransomware (ランサムウェア)
- spyware (スパイウェア)
※malicious は「悪意のある」という意味です。

Bの application softwareapplication と略されることが多いため、ワープロソフトの「Word」や表計算ソフトの「Excel」は software であり application でもあります。一方、AとCは application ではないため、OSの「Windows」は software ですが application ではありません。application とは計算やメール送信など何か特定のことをしたいユーザーのために作られた program (プログラム) なのです。

コンピューター用語の program は computer program の略で、コンピューターへの指示を記述したものです。A~Cはすべて program のため、softwareprogram は同じことを意味する場合が多くあります(プログラムの他にライブラリーや電子マニュアルなどもハードウェアではないため厳密には software です)。

なお、(software) package という言葉は人や状況によって解釈が変わり、1つの software/program とマニュアルなどを含む一式のことと、複数の software/program のセットのどちらの意味にもなり得ます。

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↑悪意のあるソフト (malicious software) を作るいかにも悪意のありそうな人。

1つまたは複数のソフトは英語でどう表現する?

さて、これで softwareapplicationprogram などの関係が分かりましたが、可算名詞 (数えられる名詞) の applicationprogram と違って software は不可算名詞 (数えられない名詞) のため、例えば1つのソフトは "a software" ではなく "a piece of software"、2つのソフトは "two softwares" ではなく "two pieces of software" と表現されます(例外や誤用で可算名詞として使われることもあります)。

また、program を付けて "two software programs" のように表現されることもありますが、先ほど説明したとおり software と program は同じことを意味する場合が多いため、この software program という表現は意味が重複して本当は正しくないと言う人もいます(別に気にせず使っていいと思いますが)。

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↑イギリスではテレビやラジオのプログラム (番組) は programme と書くが、コンピューターのプログラムはアメリカ英語と同じく program と書くのが普通。

いずれにしても、これらの表現は software という単語を使っているため、先ほどのA~Cのどのソフトウェアの意味にもなり得ます。私たちが「ソフト」と呼ぶものは普通はBに該当すると思いますので、その場合は「ソフト」という日本語にこだわって "two pieces of software""two software programs" と表現しなくても、実はシンプルに "two applications" と表現できます(two application programs も可)。

特定の種類を表す場合も、例えば2つのワープロソフトであれば "two word processing applications"(またはシンプルに "two word processors")、2つのメールソフトは "two email applications" と表現できます。今回調べた辞書・サイトで「ソフト(ウェア)」の英語にこの application を載せているものは1つ(『実用・現代用語和英辞典』)だけありましたが、どのような場合に使えるのかという説明はありませんでした。

App は Application の略?

最後は、appapplication の違いについてです。日本語で「アプリ」と呼ばれるものは、英語では app と表現します(「エ」と「ア」の中間のような音で「エ/アープ」と発音し、複数形は apps です)。

かつては application を略して app と呼んでいたり、その後は application がパソコン向けの応用ソフトで app がスマートフォンやタブレット向けの応用ソフトの意味で使われるようになりましたが、Windows 8以降は applicationapp の違いがもっと複雑になってしまったようです(これはあくまでもWindowsの話で、Macなど他のOSについては分かりません)。

applicationapp の定義は人によって違うようですが、多機能のものやアプリストア以外から入手するようなものは application、スマホでも使えるようなシンプルなものやアプリストアから入手するものが app と考えておけばよさそうです。パソコンにインストールして使う従来からの多機能版とオンラインで使う簡易版がある製品もありますが、これも applicationapp の違いと説明している英語のウェブサイトがあります。

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↑「このアプリケーションはどうも使いづらいなぁ...」「かっこうつけてないで普通に『アプリ』って呼んだら?」

日本語の場合、「ソフト」は単に「ソフトウェア」の略ですが、「アプリ」は英語の app と同じく単に「アプリケーション」の略とは言えない状況になったと思います。長くて言いづらい言葉は略したい日本人にとって「アプリケーション」は長すぎるため、恐らくBの application software (応用ソフト) のうち「アプリ」と呼べないものは今後も「アプリケーション」ではなく短い「ソフト」という言葉を使って表されるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これでソフト、アプリケーション、プログラムなどの違いや1つまたは複数のソフトの表現の仕方が分かりやすくなったかもしれません。

もし周りに「ソフトを開発しています」という人がいたら、マルウェアを開発している悪人かもしれませんので念のためどんなソフトか尋ねてみましょう...