#145 「スタッフ (1名/複数名/全体)」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第145回は「スタッフ」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Felix / Rawpixel.com

↑今回のために集まってもらった弊社のスタッフ7名(ウソ)。さて「スタッフ7名」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「スタッフ」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「スタッフ」
インターネット上の主な英語訳
1. crew
2. employee(s)
3. staff(s)
4. staff member(s)

5. staffer
6. stuff
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「スタッフ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に6つの訳語が見つかりました。この中で最も多かったのは staff ですが、「もの」や「こと」を意味する stuff まで載せている辞書もいくつかありました。詰め物や材料・素材をカタカナで「スタッフ」と呼ぶ職業もあるようですが、今回説明するのは「人員」や「職員/従業員」としてのスタッフです。

以下では、staffemployee の違いや「スタッフ募集中」の表現も含め、「スタッフ」の英語について分かりやすく説明します。

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Staff はアメリカとイギリスで発音も用法も少し違う

まず、staff はアメリカ英語では「ステェァーフ」、イギリス英語では「スターフ」のように発音するのが普通です。一方、日本語の「スタッフ」は先ほどの stuff の発音に近いので注意が必要です。

そして a が付いた "a staff" は「スタッフ1名」ではなく「スタッフ1集団」を意味しますが、このようにスタッフ全体を表現する場合でも a を付けるか付けないかは国や人によって違い、例えば次の例文ではアメリカ人であれば a を付けるほうが自然と感じるのが普通です。

彼らには有能なスタッフがいます。
They have (a) talented staff.

この文の日本語では「スタッフたち」ではなく「スタッフ」と書きましたが、a が付いた "a talented staff" は全体を1つの集団と考える「スタッフ」と同じで、a が付いていない "talented staff" は talented staff members と同じく1人1人を個別のものと考える「スタッフたち」と同じと言えます。a が付いていない場合は厳密には全員が有能とは限らないことになりますが、どちらも普通は全体的に有能と解釈されるでしょう。

takayuki / Shutterstock.com

↑「弊社のスタッフたちは有能なんですよ」「あら、『スタッフたち』ってことは1人1人を考えていらっしゃるのね?」

Staff Is それとも Staff Are

さて、staff を1つの集団と個別の人たちのどちらと考えるかによって、使う動詞も当然変わってきます。このセクションの例文では分かりやすいよう isare を使いますが、hashave の場合なども同じです。

私たちのスタッフのほうが優れています。
Our staff is better. ※アメリカではこのほうが普通。イギリスではこれを変と言う人もいる。
Our staff are better. ※イギリスではこのほうが普通。アメリカではこれを誤りと言う人までいる。

これはあくまでも傾向であって、アメリカでもスタッフ1人1人を個別のものと考えるほうが適切に感じる状況では are、イギリスでもスタッフを1つの集団と考えるほうが適切に感じる状況では is を使うと言う人もいます。なお、アメリカでも次のように2文目で "It is..." ではなく "They are..." と表現する人は多くいます。

私たちには技術力の高い献身的なスタッフがいます。あなた方のスタッフよりも優秀です。
We have a staff that is highly skilled and committed. They are better than yours.

何だか例文の内容が喧嘩腰になってきましたが、これをイギリス風に "We have staff who are..." と表現すると先ほどと同じく全員が技術力が高く献身的とは限らない意味に読めてしまうため、この場合は groupteam を使って "We have a group/team of staff who are highly skilled and committed" と表現するか、構文を変えて "Our staff are highly skilled and committed" と表現するのがいいでしょう。

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↑「Our staff is better!」「No, ours are better!」

その他、当たり前ですが次のように複数のスタッフの集団(例えばA社とB社のスタッフ)を表す場合はどちらの国でも(というよりどこの英語圏でも)必ず are になります。

どちらのスタッフも優秀です。
The two staffs are both excellent.

なお、この staff という言葉を管理職レベルの人たちだけに使う会社もあれば、飲食店などの店員を staff と呼ぶことに違和感を感じる人も(少なくともアメリカには)いますが、普通は例えば飲食店などのホールスタッフであれば #69 「ホールスタッフ」や「フロアスタッフ」は英語で何と言う? でも説明した floor staff、清掃スタッフであれば cleaning staff、ボランティアスタッフであれば volunteer staff と表現できます。

特定の人数のスタッフ(1名や500名)はどう表現する?

では、1名や500名など特定の人数のスタッフはどう表現すればいいのでしょうか? 今回見つかった主な訳語では employeestaff memberstaffer の3つが使えますが、注意点が少しあります。

まず、employee は雇われて有給で働く「従業員」を意味するため、無給の「ボランティアスタッフ」の人には普通使われません(従業員のように扱う場合は使われることがあります)。また、staffer (これは口語) はアメリカで官庁の職員などに使うのが普通のため、店員などには使わないほうがいいでしょう。

そこで、一般企業やお店で働くスタッフ1名の場合は次のように表現します。

彼はスタッフです/そのスタッフの一員です。
He is (on the) staff. ※本当は必要なはずの "on the" を付けなくても使えてしまうシンプルな表現。
He is a staff member.
 ※member を省略して "He is a staff" と表現すると誤りとなる。
He is a member of (the) staff. ※アメリカでは the を付けたほうがいい。
He is an employee. ※「従業員」と呼べるスタッフであればこう表現することもできる。

なお、人材派遣会社から派遣されている1名の「派遣スタッフ」の場合は、#93 「派遣社員」の英語は本当に temporary worker? でも説明したとおり主にイギリスで使われている agency worker という表現を使うのがお勧めです(複数名または全体であれば agency workers または agency staff)。

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↑第93回の 「派遣社員」の英語は本当に temporary worker? でも登場した dispatch された社員。

では、ここからはスタッフの具体的な人数を伝える表現です。

スタッフが1人見当たりません。
One of our staff (members) is missing. ※アメリカでも members なしで使える表現。
One of our employees is missing. ※スタッフ全員が従業員だと分かる表現。
私たちにはスタッフが約500名います!
We have a staff of about 500! ※数字の後に employees、volunteers、teachers などを足せる。
We have about 500 staff (members)! ※少なくともアメリカでは members を付けたほうがいい。
We have about 500 employees! ※スタッフ全員が従業員だと分かる表現。

アメリカでも「スタッフ○○名」を "○○ staff" のように members を付けずに表現することは(特に人事の話で)多くなっているようですが、まだ違和感を感じる人も多いため人数を表す数字の後に staff が続く場合は members を付けるほうがいいでしょう。冒頭の写真の「スタッフ7名」の場合も、同じく seven staff membersseven members of (the/our) staffseven employees のように表現できます。

McKinsey / Rawpixel.com

↑「We have about 10 employees!!!」(そんなに興奮する人数ではありません...)

「スタッフ募集中」は英語で何と言う?

最後は、求人広告の「スタッフ募集中」の英語についてです。この場合はわざわざ staff という言葉を使わず "Now Hiring" (採用中) や "Help Wanted" (助けを求む) と表現するほうが普通です。

日本ではいつからか飲食店のチェーン店などでスタッフ募集中のことを「クルー募集中」と書くお店が見られるようになりましたが、これは英語圏で店員を crew (「乗務員」や「一団」を意味する単語) と表現する一部のお店を真似たものだと思います。同じく英語圏ではスタッフを cast (出演者) と呼ぶテーマパークもあるようですが、どちらの単語も is/are の違いや member を付けるべきかは staff の場合と基本的に同じです。

staff という言葉を平凡で古臭いと感じる経営陣などはこのように少し格好つけた表現を使う傾向があるため、同じように感じる人は求人広告で "Crew Members Wanted" のように書くのがいいかもしれません。その他には #6 「店員」の英語は本当に salesperson や store clerk? で説明した associate (仲間) という言葉も "Now Hiring Sales Associates" (販売スタッフ募集中) のように使われます。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで1名や複数名のスタッフを英語でどう表現すればいいか分かりやすくなったかもしれません。

今回説明したように日本語の「スタッフ」に比べて英語の staff は使い方が国や人によって違うのでかなり面倒ですが、スタッフが1人もいない私はそのようなことを悩む必要がありません...