#146 数人, 数回, 数日などの『数~』は (a) few, several, some のどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第146回は「数人」「数回」「数日」など「数~」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Jira / Rawpixel.com

↑主な国語辞書によると「数人」とは2~3から5~6人程度。さて「数人」は英語で何と言う?


まず、「数人」「数個」「数回」「数本」「数杯」「数枚」「数秒間/数分間/数時間/数日間/数週間/数か月間/数年間」など「数~」という日本語のフレーズは数多くありますが、例えば「数人」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「数人」
インターネット上の主な英語訳
1. (a) few people
2. several people

3. several persons
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「数人 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に3つの訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのは several people で、最も少なかったのはそれぞれ1つの辞書だけが載せていた few people と a few people です。ということは「数人だけ」と言いたい場合は "only several people" と表現すればいいということでしょうか?

以下では、(a) fewseveral、そして同じく違いが分かりにくい some の意味と使い方も含め、「数~」の英語について分かりやすく説明します。

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A Few は「2~3」や「3~4」という意味ではない

まず、a few を「2~3」や「3~4」と説明してしまう人もいますが、正しくは単に a small number (少数) という意味です(逆は「多数」の many と a large number)。そして日本語でも英語でもどれくらいの数を少数と感じるかは全体の数やその人の感覚によって違い、例えば "a few people in the stadium" (スタジアムにいる人の少数) のような場合の a few people は数十人以上にもなり得ます。

この a が付いた a few は正確には「少し」という意味で、全く同じ数の少数でも a を付けずに単に "few" とすると次の1文目のように「少し」ではなく「少ない」というマイナスの表現に変わります(もっと少数の「とても少ない」や「すごく少ない」であれば "very few" や "so few")。一方、quite を付けると3文目のようになぜか「かなりの数」(many より若干少ないイメージ) という逆の意味になるので注意が必要です。

There were few people at the venue.  (その会場には人が少なかった。)
There were a few people at the venue.  (その会場には人が少しいた。)
There were quite a few people at the venue.  (その会場にはかなりの数の人がいた。)

この1文目の a を付けない few は文語的な硬い表現のため、普通の会話などで数が少ないことを伝えたい場合は2文目の a fewonly (しか/だけ) を付けて only a few と表現するのが普通です(このフレーズは「少ししか」と「少しだけ」のどちらの意味にもなり得ます)。1文目の few はすでに「少ない」ことを意味するため、only を付けて "only few" とすると「少ないしかいない」のような変な意味になってしまいます。

NASA / Rawpixel.com

↑これくらいの人数でも普段に比べて本当に「少ない/少ししかいない」と感じるのであれば few/only a few と表現できる(「多くない」と感じる場合はもちろん not many)。

Several はどういう意味?

さて、several は「3以上~多くはない数 (=ある程度の数)」を意味する単語で(ただし少なくともアメリカには「多い」の意味で使う地域もあり)、主な国語辞書で「2~3から5~6」のように説明されている「数人」「数回」「数日」などの「数」と違って上限に具体的な数字がありません。日本語でもそうですが、どれくらいの数を「多い」と感じるかは状況や人によって違うため、several の上限には明確な数字がないのです。

一方、下限が「3」となっている理由は恐らくどんな人や状況でも1~2であれば「少数」と感じるからであって(または2には「2~3(~ごく少数)」の意味で使われることも多い "a couple of" という表現があるから)、例えば10程度でも「少数」と感じる状況ではそれより多い数から「多くはない」と感じる数までが several になります。そしてこの several という言葉を使わなければいけない理由は次の例を見れば分かります。

There are a few people upstairs.  (2階には少し人がいる。)
There are several people upstairs.  (2階にはある程度の数の人がいる。)
There are many people upstairs.  (2階には大勢の人がいる。)

この少数とも多数とも感じなかった2文目で単に "There are people upstairs" (2階には人たちがいる) と表現すると、動物などではなく人が(複数)いるという意味になってしまいます。そこで、「3以上~多くはない数」を意味する several が必要になるのです(混同されがちな some については次のセクションを参照)。

なお、「少ししか」と言いたい場合は only a few を使うと先ほど説明しましたが、only (しか/だけ) は数や量が少ないことを伝えるときに使う言葉のため、数が少なくないことを伝えるときに使う several と合わせて only several と表現すると変に感じられてしまいます。つまり、「数人」の英語として今回圧倒的に多く見つかった several people は、「数人しか/だけ」の場合には適さないということです。

ただし only several という表現が使える場合もあり、例えば "There are only several people upstairs" と言えば「2階にはある程度の数の人間だけがいる (=動物やロボットはいない)」という意味になります。

roungroat / Rawpixel.com

↑「あたしの動画見てくれたの several people しかいないの」「そういうときは several は使わないんだよ...」

Some はどういう意味?

では、some はどういう意味なのでしょうか? これは「何人か」や「何日間か」のようにどれくらいの数なのか(少しなのか多いのか)分からない場合や明確にしたくない場合に使う言葉です。また、a fewseveralmany などと違って「1つ、2つ」と数えられない「量」にも使えるため、例えば液体で数えられないコーヒーを(どれくらいの量か分からないけれど)飲みたいか知りたい場合は "Want some coffee?" と尋ねます。

そして誰なのか分からない(または言いたくない)から someone/somebody (誰か)、いつになるか分からない(または言いたくない)から someday (いつの日か) や sometime in the future (いつか) と表現します。もし "I've bought some books" (本を何冊か買った) と言われたら数冊買ったと解釈するのが普通ですが、some は単に数や量を不明確にする言葉のため実際にはもっと少なくても多くても嘘にはなりません。

この some は a fewseveral のどちらかと同じ意味で使われることが多かったり、文中で強調して発音すると「せめて少し」や逆に「相当な」を意味する場合もあるなど、本当に分かりにくい言葉です。なお、「数回」の場合は some times とは普通言わないため、a few times または several times を使います(1語の sometimes については #87 『ときどき』の英語は本当に sometimes? で詳しく説明しています)。

McKinsey / Rawpixel.com

↑「Some people に反対されたよ」「本当は many people のくせにごまかしてるでしょ~?」

「数~」の例文と注意点

最後は、「数~」の例文と注意点です。この「数」の部分に a fewseveral のどちらを使うべきか迷ってしまうのは、"a few ~" と "several ~" のどちらも日本語では「数~」と表現されることが多いからです。その理由は、a few people を直訳した「少人」や a few times を直訳した「少回」などの日本語が存在しないからだと思います(存在していれば「少人と話しました」や「少回試してください」のようになります)。

ここまで読まれた方は、以下の各例文でどのような場合に a fewseveralsome のどれを使えばいいかもうお分かりだと思いますが、念のため簡単に違いを書いておきたいと思います。

数人と(だけ)話しました。
I talked to (only) a few people. ※話した人の数が少し(だけ)だったことを伝えたい場合。
I talked to several people. ※話した人の数が少しでも多くでもなかったことを伝えたい場合。
I talked to some people. ※「何人か」という表現。普通は1~2人や多い人数とは解釈されない。
※1文目の only の位置は "I only talked to a few people" でも同じ意味で解釈されます。
数回(だけ)試してください。
Try (only) a few times. ※少しの回数(だけ)試してほしい場合。
Try several times. ※少しでも多くでもない回数試してほしい場合。
Try some times. ※先ほど書いたとおり普通は a few times または several times を使う。
数日(だけ)かかります。
It will take (only) a few days. ※少しの日数(だけ)かかりそうなことを伝えたい場合。
It will take several days. ※少しでも多くでもない日数かかりそうなことを伝えたい場合。
It will take some days. ※「何日か」という表現。普通は1~2日や多い日数とは解釈されない。
※1文目の only の位置は "It will only take a few days" でも同じ意味で解釈されます。

この最後の「数日」の場合は人数や回数と違ってある数に達すると week (週)、month (月)、year (年) と単位が変わっていきます。つまり、2~3週間かかりそうであれば a couple of weeksa few weeks と表現するのが普通のため、days を使ったこれらの表現はそれよりも短い日数を意味します。

今回は「数人」「数回」「数日」を例として使ったので people (1人1人を強調する場合や法律用語などでは persons)、timesdays になりましたが、「数個」であれば pieces や units(ただし例えば「リンゴ数個」は単に a few apples または several apples)、「数本」であれば pieces や bottles/canssticks、「数杯」であれば cupsglasses、「数枚」であれば sheetslabels などの単語を使います。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「数人」の英語に few people と a few people を載せているのはそれぞれ1つの辞書だけでしたので(『Reverso Context』『Weblio』)、その他の辞書は載せておくべきでしょう。

このブログを「数回」訪れたことがある方は、それが a few times でも several times でも、今後はもっと頻繁に訪れると英語力が「数倍」はアップするでしょう(そんなにはアップしません...)。

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