#102 『炭水化物/糖質/糖類』と『低糖/微糖/無糖』は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第102回は「炭水化物/糖質/糖類」「低糖/微糖/無糖」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

Teddy / Rawpixel.com

↑炭水化物と糖分だらけの朝食。目玉焼きとバターを加えて良質のタンパク質と脂質も摂ったほうがいいと思うのだが...


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「炭水化物」「糖質」「糖類」はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します(※炭水化物と糖質と糖類はそれぞれ別物ですが、多くの訳語が重複していたため1つにまとめています)。

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「炭水化物/糖質/糖類」
インターネット上の主な英語訳
1. carb(s)
2. carbo
3. carbohydrate(s)
4. glucide
5. saccharide(s)
6. saccharinity
7. sugar(s)
8. sugariness
9. sweeteners
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
Cheer up! English
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英語ぷらす
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
インサイド シーナ
実用・現代用語和英辞典(辞書)
この英語の意味なに?
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
糖質マスター
Weblio(辞書)
Weblio英会話コラム
WebSaru(辞書)
Yahoo!知恵袋
役立つ英語ブログby大阪の日本人英会話講師KOGACHI
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「炭水化物 英語」「糖質 英語」「糖類 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、いろいろな訳語が見つかりました。この中のどれが「炭水化物」でどれが「糖質」や「糖類」なのでしょうか? 英語学習サイトは適切な表現を載せているものが多かった一方、和英辞書は sugariness (糖分の甘ったるさ) や sweeteners (甘味料) など的外れな訳語を載せているものも結構ありました。

以下では、どの辞書・サイトも載せていなかった情報も含め、「炭水化物/糖質/糖類」と「低糖/微糖/無糖」の英語について分かりやすく説明します。

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炭水化物 > 糖質 > 糖類

まず、主な国語辞書で「糖質」は「炭水化物」と同じと説明されていますが、栄養学上は次のような関係とされています。

炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

そして「糖質」には次のものが含まれており、その中の単糖類と二糖類だけが「糖類」とされています(つまり「炭水化物」>「糖質」>「糖類」という関係)。

<糖質の種類> 青色の2つだけが「糖類」
単糖類
 (monosaccharides)・・・ブドウ糖、果糖など
二糖類 (disaccharides)・・・砂糖、乳糖など
多糖類 (polysaccharides)・・・でんぷんなど
オリゴ糖 (oligosaccharides)
糖アルコール (sugar alcohols)・・・キシリトールなど
その他

「炭水化物」は英語で何と言う?

さて、「炭水化物」の英語が carbohydrate またはその略の carb です(carbo と略す人もいます)。アメリカなどのウェブサイトでは炭水化物を starch(es) (でんぷん)、sugar(s) (糖類)、fiber (繊維 ※イギリスでは fibre) の3つに分けているものが多く、日本よりもざっくりした分類の印象があります。starch(es) は先ほどの「多糖類」の代表、sugar(s) は「砂糖」ではなく単糖類と二糖類を合わせた「糖類」のことです。

次の図では carbohydratestarchsugarfiber がすべて単数形になっていますが、最初の3つには種類がいくつかあるため以降では複数形で carbohydratesstarchessugars と表現します。

Nasky / Shutterstock.com

↑一番右の Fiber の背景色が明らかに薄すぎて文字が見にくい残念なイラスト。真ん中の Sugar は二糖類に分類される砂糖の絵になっているが、単糖類と二糖類を合わせた「糖類 (sugars)」のことだと考えたほうがいい。

「糖質」は英語で何と言う?

では、「糖質」は英語で何と言うのでしょうか? ここまでの説明で分かったことは次のとおりです。

炭水化物糖質食物繊維
carbohydrates (炭水化物) = starches (でんぷん) + sugars (糖類) + fiber* (繊維)
*「食物繊維」の場合は dietary (食物の) という単語を付けて "dietary fiber" と表現します。

これを見ると starches と sugars を合わせたものが「糖質」になりますが、fiber は炭水化物ではないと考える人が多いためか、糖質も carbohydrates や carbs と呼ぶのが普通です(血糖値に与える影響が少ない繊維と糖アルコールを除いた残りの炭水化物をアメリカの食品メーカーなどは net carbs と呼ぶようです)。

また、先ほどの「単糖類」~「オリゴ糖」の英単語にはすべて saccharides という文字が含まれていましたが、この単語は化学用語で「糖質」または「糖類」を意味するようです。

なお、glucide (carbohydrate と同じ意味)、saccharinity (サッカリンの甘ったるさ)、sugariness (糖分の甘ったるさ) という単語を「糖質」の英語として載せている和英辞書がいくつかありましたが、saccharinitysugariness は適切とは言えないため訳語から削除されるべきでしょう。

Antonio Guillem / Shutterstock.com

↑人工甘味料のサッカリンの粒をカップに投げ入れる楽しそうな女性。

「糖類」は英語で何と言う?

炭水化物のセクションでも説明したとおり、「糖類」は英語で sugars と表現するのが普通です(多糖類も意味する場合があるようですが)。化学用語では先ほどの saccharides が使われることもあるようです。

この「糖類」の英語に sweeteners を載せている和英辞書もありましたが、最初に書いたとおりこの単語は「甘味料」を意味するためこれも訳語から削除されるべきでしょう。

「糖質/糖類ゼロ」「糖質/糖類オフ」「低糖/微糖/無糖」は英語で何と言う?

最後は、糖質や糖類の量が「ゼロ/無」「オフ」「低/微」の場合の英語表現についてです。

市販の飲料について説明した日本のウェブサイトによると、「糖類ゼロ」はブドウ糖や砂糖などの「糖類」がゼロという意味であり、糖類以外の糖分は含むためカロリーゼロではないとのことです。また、糖質/糖類は0グラムでなくても規定値未満であれば「ゼロ」「ノン」「無」などの表示ができるようです。

PRPicturesProduction / Shutterstock.com

↑「これカロリーゼロじゃなかったのか...」

「低糖/微糖/無糖」の「糖」は「糖質」ではなく「糖類」または「砂糖」を意味するのが普通だと思いますので、次の一覧でもその意味の英語にしています。

糖質ゼロ: carb-free, zero-carb, no-carb
糖類ゼロ/無糖: sugar-free, zero-sugar, no-sugar, sugarless
糖質オフ:「低糖質」の意味であれば low-carb
糖類オフ:「低糖(類)」の意味であれば low-sugar
低糖/微糖: low-sugar または「微糖」は lightly sweetened

これらのフレーズは "It's sugar-free" (無糖です) や "It's a low-carb beer" (糖質オフのビールです) のように使われますが(ハイフンは省略可)、表現のバリエーションが複数あるものについてはインターネットで検索するとその食べ物/飲み物にどれを使うのが普通か大体分かると思います。

「低糖」と「微糖」は食品表示法上は同じ意味ですが(100ml中の糖類の量が2.5g未満)、「低糖」を low-sugar、「微糖」を lightly sweetened と表現するとニュアンスの違いが上手く出せるかもしれません。

なお、日本語では「オフ」という言葉が使われていても英語では off と表現しないのは、どれくらいオフしているのかが重要だからです。1%だけ「オフ」しても意味がないわけで、かなりの量をオフするから low-carb (低糖質) や low-sugar (低糖(類)) となり、そのことを消費者にアピールできるようになるのです。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「炭水化物」「糖質」「糖類」の違いや「糖質/糖類ゼロ」「低糖/微糖/無糖」などの英語表現が分かりやすくなったかもしれません。

普段からカロリーを気にされている方は、「糖質/糖類ゼロ」だけでなく「カロリーゼロ」や「ノンカロリー」も実際には 0カロリーとは限らないため、言葉にだまされないよう注意しましょう。

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