#64 「スーパー (総合スーパー含む)」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第64回は「スーパー」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Teddy Rawpixel / Rawpixel.com

↑「アメリカではスーパーを supermarket とは呼ばないのが普通だってさ」「それフェイク情報じゃないかしら?」


まず、食品を主に販売する「スーパー」と家電や家具などの売り場もある大型店の「総合スーパー」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「スーパー」
インターネット上の英語訳
1. department store
2. emporium
3. grocery
4. grocery store
5. (grocery) supermarket
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
「総合スーパー」
インターネット上の英語訳
1. general merchandise store / GMS
2. hypermarket
3. large store that contains many different products
訳語が見つかった辞書・サイト
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
Linguee(辞書)
weblio(辞書)

※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「スーパー 英語」「総合スーパー 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

※お店以外の「スーパー」(「字幕スーパー」の「スーパー」など) の訳語は一覧に含めていません。

ご覧のとおり、それぞれ訳語がいくつか見つかりました。これらはすべて正しいのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった表現も含め、「スーパー」と「総合スーパー」の英語について分かりやすく説明します。

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「スーパー(マーケット)」とは

まず、主な国語辞書で「スーパーマーケット」は「セルフサービス式で食品を中心に日用雑貨・衣料品などを大量に廉価販売する大規模小売店」のように説明されていますが、例えばコンビニの2~3倍程度の小さなお店で食品と飲料しか売っていなくても、青果、肉、魚、乳製品、練り製品、缶詰、パンなど品揃えが豊富であれば私たちはそれを「スーパー」と呼ぶのが普通です(それくらいの大きさの「激安スーパー」は結構あります)。

一方、アメリカやイギリスではそのような小さなスーパーで特にチェーン店でないものは supermarket とは呼ばないのが普通です(大型スーパーのチェーンが展開している小型店はそのチェーン名で呼ぶのが普通だと思います)。この super の部分が「巨大な」を意味するのであれば、小さなスーパーを supermarket と呼ばないのは当たり前と言えるでしょう。

Hanson Lu / Unsplash.com

↑食品を中心に飲料や日用品などがいくつもの通路に並べて売られている大きなお店が supermarket(薬や衣類を売っている場合もあり)。

なお、アメリカではスーパーを supermarket とは呼ばないのが普通と説明しているアメリカ人の先生によるYouTube動画もありますが、スーパーに食料品の買い物に行くことを "go to the supermarket" と表現するアメリカ人は普通にいるため地域や年齢層によって違う場合があると考えておくのがいいでしょう。

小さなスーパーは英語で何と言う?

さて、アメリカでもイギリスでも普通は大きなスーパーだけを supermarket と呼ぶと説明しましたが、アメリカでは食品を中心に販売するスーパーはサイズに関係なく grocery store と呼ぶことができます。つまり、大きな grocery store は supermarket とも呼べ、小さければそのまま grocery store と呼ぶのが普通ということです("store" の部分を省略して単に "grocery" とも表現できます) 。

一方、イギリスでは grocery store のことを grocer's (shop) と表現すると辞書などに載っていますが、大きなスーパーをそう呼ぶことはまずないでしょう。なぜなら、grocery という単語はアメリカでは肉、魚、パンなども含む食品全般に使えるほど意味が拡大したのに対し、イギリスでは小さな食料品店しかなかった時代に売られていた保存食品(缶詰や乾物など)や青果など一部の食品だけを意味するのが普通らしいからです。

また、小さなスーパーやコンビニ程度のお店には grocer's (shop) の他にも corner shopminimarketmini-supermarket などの表現がありますが(アメリカ英語の影響で convenience store と表現する人もいます)、イギリスの一般消費者の間ではこのような小さなお店は単に "the shop" と呼ぶのが普通です(shop と store の違いについては #1 「お店」の shop と store の違いは何? で説明しています)。

KoalaParkLaundromat / Pixabay.com

↑この程度以下の規模のスーパーは supermarket と呼ばないほうがいいだろう。

今回調べた辞書・サイトで「スーパー」の英語に grocery store を載せているものは1つだけありましたが(『DMM英会話なんてuKnow?』)、少なくともイギリスでこの表現は普通使わないという補足はありませんでした。また、grocery store を「八百屋」と書いている人も同サイトにいましたが、#37 「八百屋」の英語は本当に vegetable store や greengrocery? で説明したとおり八百屋には別の表現を使うのが普通です。

「総合スーパー」は英語で何と言う?

さて、食品や日用品の他に衣類、家具、家電などの売り場もある大型店を日本の業界では「総合スーパー」や英語の general merchandise store を略して GMS と表現するようですが、この英語は単に食品・飲料以外のものを売るお店を意味するため必ずしも大型店のことにはならず、大型で食品フロアもある「総合スーパー」の英語として適切ではないでしょう。

このようにスーパーより大型で売り場が多くデパートより安いお店が hypermarket ですが、アメリカでは今回調べたどの辞書・サイトも載せていなかった supercenter や superstore と表現するほうが普通だと思います(hypermarket という表現は聞いたことがない人もいます)。ただ、日本でも例えば「ちょっと総合スーパーに行ってくる」とは言わないように、一般消費者はこれらのお店を店名で呼ぶのが普通だと思います。

日本語版ウィキペディアの『ハイパーマーケット』と『スーパーセンター』のページを見るとこの2つの大型店と日本の「総合スーパー」はそれぞれ別物のように思えますが、英語版ウィキペディアの『Hypermarket』のページでは hypermarket と supercenter/superstore を同じものとして説明しており、日本の総合スーパーも例として挙げているため少なくとも一般消費者にとってはすべて同じものと考えていいでしょう。

Felix Mizioznikov / Shutterstock.com

↑これはアメリカの supercenter。日本語では単に「スーパー」と呼んでしまっても略として間違いではないのでOK?

その他の訳語

今回調べた辞書・サイトのうちいくつかの辞書が「スーパー」の英語に載せていた department store (デパート) と emporium (説明が長くなるため省略) は、私たちが普段「スーパー」と呼ぶお店とは違うため訳語からそのうち削除されることを願いましょう。

また、いくつかの辞書が「総合スーパー」の英語に載せていた large store that contains many different products (多様な製品を含む大きなお店) という説明的で不自然な表現も、意味的にデパートなどにも該当してしまうため削除されるべきでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した小さなスーパーとアメリカの総合スーパーに使われる一般的な英語表現が多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

私たちは「スーパー」や「コンビニ」など言葉を略して使うのが好きですが、さすがに「グロサリ」や「グロスト」は言いにくく、「グローサリー」や「グローサー」と略して「ちょっとそこのグローサ(リ)ーまで行ってくる」などと言うと意味不明または欧米かぶれと思われてしまうため、小さくてチェーン店ではないスーパーでもやはり「スーパー」と呼び続けるしかないでしょう。

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