#21 「未婚」の英語は本当に unmarried?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第21回は「未婚」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

mohamed_hassan / Pixabay.com

↑「あなた未婚だって言ってたじゃないのー!」「No! I never said that!」


まず、「まだ結婚したことがない(人)」という意味の「未婚(者)」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「未婚」
インターネット上の主な英語訳
1. discovert(女性)
2. maiden(女性)
3. single
4. sole
5. spinsterish(女性)
6. unmarried
7. unwed
「未婚者」
インターネット上の主な英語訳
1. bachelor(男性)
2. spinster(女性)
3. unmarried person
4. unmarried woman
(女性)
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)

※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「未婚 英語」「未婚者 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

※「未婚 英語」の検索時は「未婚の」というフレーズの訳語も調べています。

ご覧のとおり、「未婚」と「未婚者」は英語で何と言うのかを調べると、どちらの場合も unmarried という単語が見つかります。離婚または死別によって配偶者が現在いない人が divorced と widowed で、未婚の人が unmarried (person) という区別でいいのでしょうか?

以下では、今回訳語が見つかったすべての辞書が誤解しているこの「未婚」の英語について分かりやすく説明します。

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Single, Unwed, Bachelor/Bachelorette

まず、上の一覧から法律用語や失礼な表現を除くと、形容詞の「未婚」では singleunmarriedunwed、名詞の「未婚者」では bachelor (男性)、unmarried personunmarried woman (女性) が残ります。

「独身」を意味する single は未婚者と離婚者・死別者のどちらにも該当するため「未婚」ではなく、新聞などで使われる unwed も単に「現在結婚していない」という意味のため「未婚」ではありません。また、上の一覧には含まれていませんが、未婚男性を意味する bachelor の女性版と言える bachelorette は、使うとしても若くて自活している女性を意味するのが普通のため単なる「未婚の女性」とは違います。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑職場で惹かれ合う未婚の同僚。

Unmarried

では、残された unmarried (person) が「未婚(者)」という意味なのでしょうか? 今回訳語が見つかった辞書はすべてこの表現を載せていましたが、これも単に「現在結婚していない」という意味のため離婚者や死別者にも該当します。

なお、この unmarried と先ほどの single の違いは何かと言うと、例えば結婚せずに同棲しているカップルは unmarried であって single ではありません。

Toa Heftiba / StockSnap.io

↑新しいジーンズを買うお金もないが、それでも幸せな同棲カップル。彼らは unmarried であって single ではない。

Never-married?

では、法律用語でも失礼な表現でもなく男女どちらにも使える「未婚(者)」という意味の形容詞・名詞は英語に存在しないのでしょうか?

never-married という複合形容詞を名詞とつなげた never-married adults のような表現が新聞などで使われることはありますが、このような表現は会話ではあまり自然ではありません。また、never-married を単独で使うのも違和感があるため、例えば自分が未婚だということを伝えたい場合は "I'm never-married" ではなく "I've never (been) married" と表現するのが自然な英語です。

結論として、普段の会話などで「未婚」や「未婚者」という意味で自然に使える形容詞・名詞は英語に存在しないと言っていいと思います(未婚男性であれば名詞の bachelor は失礼ではないため使えますが、やや古い感じの表現です)。ただ、先ほどの "I've never (been) married" のように別の自然な表現で同じことを伝えられるため、少なくとも普段の会話で困ることはないでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「未婚(者)」の訳語に unmarried という単語を載せている和英辞書がそのうち誤りに気づいてくれることを期待したいと思います。

また、unmarried は単に「現在結婚していない」という意味だということを記載しておくと、「私が結婚したアメリカ人は実はバツ3でした...」のような事態を未然に防げるかもしれません。

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