#67 『ビタミン剤』の英語は本当に vitamin pill/tablet?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第67回は「ビタミン剤」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

mohamed_hassan / Pixabay.com

↑「これはビタミンサプリとビタミン剤のどちらか分かりますか?」(えっ、同じじゃないんですか?)


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「ビタミン剤」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します。

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「ビタミン剤」
インターネット上の英語訳
1. vitamin(s)
2. vitamin compound
3. vitamin pill(s)
4. vitamin preparation(s)
5. vitamin supplement
6. vitamin tablet
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Lexis Rex
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ビタミン剤 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、vitamin (ビタミン) という単語を含むいろいろな訳語が見つかりました。この中で最も多かったのは vitamin pill(s) で、次に多かったのは vitamin preparation(s)vitamin tablet です。この中にビタミン剤を正しく表現しているものはあるのでしょうか?

以下では、今回調べた辞書・サイトが載せていなかった表現も含め、「ビタミン剤」の英語について分かりやすく説明します。

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「ビタミン剤」とは

まず、「ビタミン剤」という言葉をビタミン系のサプリメント (栄養補助食品) の意味で使う人もいますが、ビタミン剤について説明したウェブページや百科事典では、ビタミン剤は「製剤化したもの (=製造した薬剤)「医薬品」と説明されています(「剤」は主な国語辞書で「薬」に使う漢字とされているため、サプリメントのビタミンではなく医薬品のビタミンを「ビタミン剤」と呼ぶのは適切と言えるでしょう)。

この医薬品の「ビタミン剤」は特にビタミンBを多く含む錠剤のものが有名で、肌荒れ、にきび、口内炎などに効くとして大手通販サイトでもやはり「医薬品」のカテゴリーに分類されています。なお、「医薬部外品」ではないためコンビニで置いているところはまだ少ないと思います。

takayuki / Shutterstock.com

↑「コンビニでよくビタミン剤を買って飲むんですけど...」「それ本当にビタミン剤だと言い切れるのかしら?」

「剤」の部分の英単語は何を意味する?

では、今回見つかった訳語の「剤」の部分に使われている英単語はそれぞれ何を意味するのでしょうか?

supplement はもちろん「サプリメント」で、単にビタミン系のサプリメントを「ビタミン剤」と呼んでいるのであれば vitamin supplement(s) やシンプルに vitamin(s) と表現できます(1つの製品として単数形で表す場合もあれば、各粒を個別に考えて複数形で表す場合もあります)。

pill や tablet など丸い粒は薬とサプリメントのどちらにも該当しますが、vitamin pills/tablets という表現はサプリメントと解釈されるのが普通のため、これらも医薬品のビタミン剤の意味になっていません。

compound (合成物) もサプリメントにも該当し、preparation (調合物) は他にクリーム、ローション、注射などにも該当するため、医薬品ではなく単に「ビタミンを合成・調合したもの」という意味で「ビタミン剤」と呼んでいるのであれば vitamin compound と vitamin preparation は適切な表現と言えるでしょう。

imageneserik / Pixabay.com

↑「ちょっと! 何で注射してるの!?」「だってさっきビタミン剤が欲しいって言ってたじゃないですかー」

医薬品の「ビタミン剤」は英語で何と言う?

さて、少なくともアメリカには pharmaceutical grade vitamin(s) (または medical grade vitamin(s)) という「医薬品グレードのビタミン」を意味するカテゴリーの製品がありますが、これは医薬品ではなくサプリメントであり、医薬品に求められている基準を満たしているわけでもないため pharmaceutical grade と表現するのは適切ではないと説明しているウェブページもあります。

一方、日本の医薬品の「ビタミン剤」は薬事法に基づく厚生労働省の検査に合格する必要があるらしいことから、この pharmaceutical grade vitamin(s) という表現が適切に感じます(日本のビタミン剤と同じタイプの医薬品はアメリカやイギリスには存在しないか、またはあっても稀だと思います)。

「ビタミン剤」の英語にこの pharmaceutical grade vitamin(s) や medical grade vitamin(s) を載せている辞書・サイトはありませんでしたので、少なくとも辞書は載せておく必要があるでしょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「ビタミン剤」の英語表現の違いが分かりやすくなったかもしれません。

体調不良などで現在ビタミン剤を服用されている方は、医薬品ですのでサプリメント以上に用法・用量をしっかり守り、思わぬ副作用に見舞われないよう注意しましょう...

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