#111 「専門学校」の英語は本当に vocational school?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第111回は「専門学校」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

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↑専門学校で専門分野を学ぶ学生たち。さて「専門学校」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「専門学校」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「専門学校」
インターネット上の主な英語訳
1. career college
2. professional school
3. professional training college
4. special school
5. technical college/school
6. trade school
7. vocational college/school
8. vocational training school
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)
Glosbe(辞書)
goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
Reverso Context(辞書)
weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「専門学校 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主な訳語だけでもこれだけの数になりました。この中で最も多く見つかったのは vocational school で、次いで多かったのは technical school です。academycollegeschool という単語を単独で載せている辞書もいくつかありましたが、これらは "X academy/college/school" のようにその分野名(Xの部分)とセットで初めて「専門学校」という意味になるため、一覧には含めませんでした。

以下では、日本の「専門学校」の正式な英語名やアメリカとイギリスでの表現の違いも含め、「専門学校」の英語について分かりやすく説明します。

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「専門学校」とは

まず、日本の「専門学校」は次のように「専修学校」の一種であり、似たような学校のタイプに「各種学校」があります。

<専修学校>(※職業や実際の生活に必要な能力を育成したり、教養の向上を図るための学校)
A. 一般課程がある学校(入学資格規定なし)⇒(呼称なし)
B. 高等課程がある学校(中卒または同程度の人たちを対象)⇒ 高等専修学校
C. 専門課程がある学校(高卒または同程度の人たちを対象)⇒ 専門学校
※この3つには例えば医療(看護、マッサージなど)、衛生(調理、美容など)、服飾・家政(ファッションなど)、文化・教養(デザイン、音楽など)といったさまざまな専門分野があります。
<各種学校>(※文部科学省のウェブサイトに明確な定義見当たらず)
自動車教習所、予備校、日本語学校、洋裁学校、理容学校、美容学校、料理学校など

このように「専門学校」とは高卒または同程度の人たちを対象とした「専門課程のある専修学校」のことで、その他の専修学校や各種学校の場合は専門分野を教えていても「専門学校」とは名乗れないとのことです。また、専修学校と各種学校のどちらにも該当しない「無認可校」という種別の学校の中にも専門分野を教えている学校がありますが、これも「専門学校」とは名乗れないとのことです。

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↑「やっぱり専門学校で勉強されたんですか?」「いえ、各種学校です」

ただ、例えば「専門学校」の中の美容学校ではなく「各種学校」に分類されている美容学校で学んだエステティシャンが上の写真のように「各種学校です」などと答えることはまずないと思いますので、本当は「専門学校」ではなくても「専門学校です」と表現することはあると思います。

日本の「専門学校」は英語で何と言う?

さて、前回の #110 「大学」の英語は college それとも university? でも書きましたが、『Principles Guide Japan’s Educational System』という文部科学省のページでは日本の教育制度が英語で詳しく説明されています。そしてその中で先ほどの学校の種類はそれぞれ次のように表現されています。

専修学校specialized training college
高等専修学校upper secondary specialized training school
専門学校professional training college
各種学校miscellaneous school

ただ、そのページでは「中学校」が lower secondary school、「高等学校 (=高校)」が upper secondary school と表現されており、公共放送NHKの英語版ニュースなどで聞かれる junior high school (中学校) と (senior) high school (高校) という表現とギャップが生じています。

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↑「君は確かハイスクールを卒業したばかりなんだよね?」「いえ、アッパーセカンダリースクールです」

いずれにしても、行政機関の文部科学省が professional training college と表現しているのですから、これが日本の「専門学校」の正式な英語名ということでいいでしょう(一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団による専門学校留学生情報サイトでもこの表現が使われています)。今回調べた辞書・サイトで「専門学校」の英語にこの表現を載せているものは3つだけでした(『英辞郎 on the WEB』『Glosbe』『weblio』)。

アメリカとイギリスの専門学校/職業訓練校は英語で何と言う?

最後は、アメリカとイギリスの専門学校の表現についてです。まず、「専門学校」の英語として今回見つかった8つの表現はそれぞれどのような意味なのでしょうか?

「職業の」を意味する careerprofessionaltradevocational を使った6つの表現はどれも「職業(訓練)校」を意味します。一方、5の technical college/school は「専門学校」という意味です(technical という単語には技術的なイメージを持ってしまいますが、例えば technical term は「専門用語」です)。4の special school は養護学校と誤解される可能性が高いため、specialist school のほうが適切です。

これらはどれも基本的に同じ意味ですが、無難に使える一般的な表現はアメリカが vocational school または trade school でイギリスが technical college です。これらの表現を日本で使うと、先ほどのCの「専門学校」だけでなくその他の職業訓練校(AとBと各種学校の一部)にも該当してしまうので注意しましょう。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? 今回説明した日本の「専門学校」の英語名やアメリカとイギリスでの表現の違いが多くのオンライン和英辞書に載ることを期待したいと思います。

前回の #110 「大学」の英語は college それとも university? にも言えることですが、友達などに「○○校って英語で何て言うの?」と聞かれたら、まずは「どこの国の表現を知りたいの?」と聞き返すようにしましょう(自分はこの3か国についてしか答えられませんが...)