#54 「ウォールハンガー」は英語で何と言う?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第54回は「ウォールハンガー」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

luntan6644 / Pixabay.com

↑洋服を掛けておく右下のハンガーは (coat) hanger。そのハンガーを掛ける「ウォールハンガー」は hanger hanger?


まず、今回取り上げる「ウォールハンガー」とは、コートやバッグを掛けておくために壁に取り付けられた上の写真のような物体のことです。

では、この「ウォールハンガー」はオンライン和英辞書や英語学習サイトでどう英語に訳されているのでしょうか? 見つかった訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

「ウォールハンガー」
インターネット上の英語訳
該当なし
訳語が見つかった辞書・サイト
該当なし
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「ウォールハンガー 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、「ウォールハンガー」の英語訳を載せた辞書・サイトは1つも見つかりませんでした。そこで、この物体を英語にする必要のある方がそのまま wall hanger と直訳してしまわないよう、このブログで取り上げることにしました。

以下では、知っておくと役立つかもしれない表現も含め、「ウォールハンガー」の英語について分かりやすく説明します。

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ハンガー vs フック vs ペグ

まず、英語のショッピングサイトでもこのタイプの商品が wall hanger として販売されている場合がありますが、冒頭の写真のウォールハンガーに見られる曲がった形の突起は英語では hanger ではなく hook と呼ぶのが普通です。日本語でも普通は「フック」と呼ぶと思いますし、この商品を「ウォールハンガー」ではなく「壁フック」という地味な名称で販売しているメーカーもあります。

一方、次の写真の曲がっていない各突起は本来 hook と呼ぶべきではないはずですが、コートなどを掛ける目的で存在する場合はこの形でもそう表現して違和感を持たれることは普通ありません。

etorres / Shutterstock.com

↑最初の写真の5つのフックとは形がだいぶ違うが、それでも "hook" と呼んでいいのだ

ただ、イギリスにはここまでの2枚の写真のウォールハンガーの各突起を peg と呼ぶ人たちもいます(弦楽器の「ペグ」と同じです)。絶対にそう呼ばないと言う人たちもいるためどちらが多数派なのかは分かりませんが、peg と呼ぶ人たちでも hook という表現に特に違和感を感じないため、やはり hook と表現するのがいいでしょう(どちらも数えられる名詞のため、突起が5つある場合は "five hooks/pegs" になります)。

何をつるしたり掛けておくものなのか

さて、次の写真の各フックはどこの壁に取り付けられているものか分かりませんが、これも「壁に取り付けられたつるすもの」という意味で「ウォールハンガー」と呼べるのではないでしょうか? つまり、「ウォールハンガー」という表現では何をつるしたり掛けておくものなのか分からないと言えるでしょう。

Peter Heeling / Skitterphoto.com

↑これも「壁に取り付けられたつるすもの」だから「ウォールハンガー」?

では、最初の2枚の写真のようなウォールハンガーは英語で何と表現するのが適切なのでしょうか? これらは主にコートを掛けるのが目的のため、「コート掛け」として coat hooks と表現するのが普通です(あの突起を hook ではなく peg と呼ぶ人たちの場合は coat pegs)。

独立型ウォールハンガー

さて、最初の2枚の写真のウォールハンガーは板に複数のフックが取り付けられた「一体型ウォールハンガー」と表現できるタイプですが、1つ1つが独立して壁に取り付けられている「独立型ウォールハンガー」と表現できるタイプもあります。これは家具だけでなく例えば次の写真のようにトイレの壁に取り付けられているものもあり、1つだけであればもちろん単数形で "a/the coat hook" と表現します。

stockphotofan1 / Shutterstock.com

↑バックパックなども掛けれそうに見えるが、主にコートを掛けるのが目的のためこれも coat hook。

このような真っすぐな棒状の突起も本来 hook と呼ぶべきではないはずですが、主にコートを掛ける目的で存在する場合はそう呼ぶのが普通です。

一体型ウォールハンガー

最初の2枚の写真のような一体型ウォールハンガーも「コート用の複数のフック」という意味で "coat hooks" と呼ぶのが普通と先ほど説明しましたが、家具として表現する場合は全体を1つの「ラック」と考えて "a coat rack" と表現することもできます(#27 「メタルラック」や「スチールラック」は英語で何と言う? でも説明したとおり、rack という単語はいろいろな形のものに使えます)。

ただ、コートや帽子をいくつも掛けておける枯れ木のような物体も coat rack と呼ばれているため、それと区別するためか一体型ウォールハンガーは wall-mounted coat rack (壁に取り付けるタイプのコートラック) という名称で販売されていることが多いです。この表現であれば他のものと間違われることはないでしょう。

doomu / Shutterstock.com

↑最初の2枚の写真のような一体型ウォールハンガーを単に "coat rack" と呼ぶと、この枯れ木のような物体 (コート掛け) と間違われるかもしれない。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか?「ウォールハンガー」がオンライン和英辞書に載るときは、そのまま "wall hanger" と訳されないことを期待したいと思います。

この家具のメーカーの方は、「壁をつるすもの」と誤解されそうな「ウォールハンガー」ではなく「コートフック」または (一体型の場合)「ウォール(マウント)コートラック」という名称でこの商品を販売するほうがいいかもしれません(一部のメーカーはすでにこれらの表現を使っています)。

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