#178 『割引き/値引き』や『値下げ』の英語は discount, off, reduction などのどれ?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。第178回は「割引き/値引き」「値下げ」の英語についてです。

◆当ブログはアメリカ英語とイギリス英語が対象です。その他の英語では表現が違うことがありますのでご注意ください。

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↑最大50%割引セールのお知らせを貼る女性。さて「割引き」や「値引き」は英語で何と言う?


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「割引(き)する」(または「割り引く」) と「値引(き)する」(または「値引く」) はそれぞれどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをアルファベット順に記載します(※どちらもほぼ同じ訳語が見つかったため1つにまとめています)。

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「割引(き)する/値引(き)する」
インターネット上の主な英語訳
1. cut
2. (give a) discount
3. knock off (from)
4. mark down
5. offer discounts
6. rebate
7. reduce (the price)
8. save
9. take off
訳語を載せた辞書・サイト
bab.la(辞書)
英辞郎 on the WEB(辞書)

excite(辞書)
Glosbe(辞書)

goo(辞書)
Imagict(辞書)
実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
ネイティブイングリッシュ
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「割引きする 英語」「割引する 英語」「割り引く 英語」「値引きする 英語」「値引する 英語」「値引く 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、いろいろな訳語が見つかりました。discount store (ディスカウントストア) などに使われる discount や「○○%オフ」の off も含まれていますが、これらはどう使い分ければいいのでしょうか?

以下では、例文と注意点を中心に「割引き/値引き」や「値下げ」の英語について分かりやすく説明します。

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「割引き」「値引き」「値下げ」の違い

まず、会計用語ではなく一般用語としての「割引き」「値引き」「値下げ」には次の違いがあると言えます。

割引き・・・「5割引き」のように割合で金額をそのときだけ引くこと。
値引き・・・「500円引き」のように割合ではなく金額をそのときだけ引く場合にも使える言葉。
値下げ・・・「3日間値下げ」のように期間限定でなければ通常価格を今後その値段に引き下げること。

ただ、実際には「500円割引クーポン」のように割合ではないのに「割引き」と表現しても普通は違和感を感じないことから、「割引き」という言葉は「値引き」と全く同じ意味で使われていると言えるでしょう。

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↑「スミマセン、値下げができますか?」「日本語上手ですねー (って本当は「値引き」だけどね...)」

「割引き/値引き」は英語で何と言う?

では、「割引き/値引き」は英語で何と言うのでしょうか? discount と off が最も一般的な表現です。

Can you give me a discount (on this)? / Can you give me any discount (on this)?
((これ)値引きできますか? / (これ)何らかの値引きができますか?)

この aany ではなく some を使った例文を載せている英語学習サイトもありますが、少なくともアメリカでは discount をそのように不可算名詞 (数えられない名詞) として使うと普通は不自然に感じられます。

We will offer you a 2,000 yen discount (on the regular price of 10,000 yen).
We will offer you 2,000 yen off (the regular price of 10,000 yen).
((通常価格10,000円に対して)2,000円値引きいたします。)

この1文目の on の部分に off を使うネイティブスピーカーも多くいますが、discount という名詞に off の意味が含まれているため本当に正しいのは on のほうです。

I got a 30% discount (on my new phone).
I got 30% off (on my new phone).
((新しく買ったスマホ/携帯を)3割引きしてくれました。)

この2文目は1つ前の例の2文目と違って金額 (regular price) ではなく商品そのもの (new phone) を述べているため on を付けていますが、これも省くほうが自然と感じる人もいます(国や地域による差なのか単に個人的にそう感じるのかは不明です)。なお、ここまでの例文すべてにおいて動詞は値引きする側が主語の場合は give や少し丁寧な offer、値引きされる側が主語の場合は get や少し丁寧な receive を使います。

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↑「Excuse me, can you discount this?」(←このように discount を動詞として使うことは少ないので注意

また、次の「割引きで」の場合も discountoff の両方を使えますが、前置詞がそれぞれ違います。

I bought this blouse at a 40% discount.
I bought this blouse for 40% off.

(このブラウスは4割引きで買いました。)

その他、割引中ということを伝えたい場合は次のように表現します。

The store is selling everything at a (30%) discount.  (そのお店で全品(3)割引中です。)
There is up to a 50% discount on everything in the store.  (そのお店で全品最大5割引中です。)
(Get) Up to 70% off all purchases made before April 1!  (3/31まで全品最大70%オフ!)

なお、これらの日本語訳では「全品」と書きましたが、everything はもちろん正確には単に「すべて」、all purchases も「購入するものすべて」を意味します。また、「お店」の英語には shop や restaurant もありますが、これらの違いは #1 『お店』の shop と store の違いは何? で説明しています。

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↑「This store is selling everything for 90% off!」「そんなことよりオレは shop と呼ぶけどね」

また、今回見つかったその他の主な訳語も次のように「割引き/値引き」に使えます。

They cut/reduced the price of these shoes by 40%.  (この靴を4割引きにしてくれました。)
They marked down (the price of) this book to 500 yen.  (この本を500円にしてくれました。)
We knocked/took 1,000 yen off (the price of) the bag.  (その鞄を1,000円値引きしました。)
Save up to 70% on all purchases made before April 1!  (3/31まで全品最大70%得しよう!)

この最後の "Save up to..." は先ほどの "(Get) Up to..." の文とほぼ同じですが、get offknock off が「引く」ことを意味するのに対し、save は「払わないで得する」ことを意味するため前置詞は off ではなく on を使います。なお、同じく今回見つかった主な訳語の rebate は割引きや値引きではなく「割り戻し (=支払った金額の一部を後で戻してもらうこと)」を意味するので間違えないようにしましょう。

「値下げ」は英語で何と言う?

最後は、「3日間値下げ」のように期間限定でなければ通常価格を今後その値段に引き下げることを意味する「値下げ」の英語についてです。

上の例文で使った mark downknock off もこの意味で使えますが、1語で済む基本的な動詞の reduce (減らす)、cut (削る)、lower (低くする) のほうが使いやすいと思います。いずれにしても、これらはどれも discount と違って金額を「そのとき/その期間だけ下げる」のではなく単に「下げる」ことを意味するため、「割引き/値引き」と「値下げ」のどちらを意味するかは文脈から判断または推測することになります。

Starting on May 1, the price will be reduced to $100.
(5月1日から100ドルに値下げします。)
From 1st May (onwards), the price will be reduced to £100.
(5月1日から100ポンドに値下げします。)

このように特定の時期から何かをする場合、アメリカでは1文目のように starting (例えば「来週から」であれば "starting next week")、イギリスでは2文目のように from ~ (onwards) が使われる点や月日の順番が違う点に注意が必要です(ただしアメリカでも終わりの期日を同時に述べる場合は from ~ through ~ のように from を使用可)。なお、どちらの国でも迷わずこの場合の「~から」に使える表現に as of があります。

これらの単語やフレーズではなく on を使って "On May 1,.../On 1st May,..." と表現すると、その日だけ値下げなのかそれ以降もその値段に下がったままになるのか分からなくなります。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「割引き/値引き」や「値下げ」を英語で表現する方法が分かりやすくなったかもしれません。

今回の内容を読んで「割引き」の正しい意味が分かったからといって、「○○円割引クーポン」をもらった際に「これは割引きではなく値引きです」と些細なクレームをつけないようにしましょう...

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