#151 「口コミ」と「レビュー」の英語の違いは何?

オンライン和英辞書や英語学習サイトの英語訳を訂正・修正・補足して解説する『Eiton English Vocablog』。
第151回は「口コミ (クチコミ)」「レビュー」の英語についてです。

注意 言葉は時代、状況、文脈などによって変化する場合があることを留意してお読みください。また、以下の内容はアメリカとイギリス以外の英語圏には該当しない場合があります。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑ネットで "word of mouth" の意味を調べる人。検索ボックスがこんなにでかい検索エンジンがあるだろうか...


まず、オンライン和英辞書や英語学習サイトで「口コミ」はどう英語に訳されているのでしょうか?

見つかった主な訳語とその訳語を載せた辞書・サイトをそれぞれアルファベット順に記載します。

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「口コミ」
インターネット上の主な英語訳
1. comment on an Internet forum or web page
2. comments written online (about a product, service, etc.)
3. grapevine
4. (online) reviews
5. word(-)of(-)mouth (communication)
訳語が見つかった辞書・サイト
bab.la(辞書)
CUERBO(辞書)
DMM英会話なんてuKnow?
英辞郎 on the WEB(辞書)

英トピ
Gaba Style
Glosbe(辞書)

実用・現代用語和英辞典(辞書)
Linguee(辞書)
みせすいんぐりっしゅ 英語のあれやこれや
Reverso Context(辞書)

Weblio(辞書)
Weblio英会話コラム
WebSaru(辞書)
※主なオンライン和英辞書とGoogle検索結果(キーワード:「口コミ 英語」「クチコミ 英語」)の1ページ目に表示されたサイトを中心に調べています(◎本日以降に該当ページの内容が更新されている可能性があります)。検索語単体の英語訳の正誤を確認するのが目的のため、検索語を含むフレーズや例文などは調べていません。

ご覧のとおり、主に5つの訳語が見つかりました。この中で圧倒的に多かったのは直訳すると「口の言葉」になる word of mouth です。この表現と comment (コメント) や review (レビュー) の違いは一体何でしょうか? また、「ブドウのつる」を意味する grapevine も含まれているのはなぜでしょうか?

以下では、「口コミを書く」や「口コミサイト/コーナー」の表現も含め、「口コミ」と「レビュー」の英語について分かりやすく説明します。

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Word Of Mouth と Grapevine の違い

まず、「口コミ」は「口頭によるコミュニケーション」を略した言葉であれば主な国語辞書の説明のように「うわさや評判を口伝えに広めること」を意味しますが、日本語版ウィキペディアやブランド用語集では口頭に限らず単に「物事の評判などに関するうわさ」や「消費者同士の情報交換」と説明されています。

メールやSNSがなかった時代はうわさなどは人に直接会うか電話で伝えるのが普通でしたが、word of mouth という英語も本当は次のように口頭で伝える「口伝え」を意味します。

The rumo(u)r has spread by word of mouth.(そのうわさは口伝えで広まった。)
※前置詞は by ではなく through が使われることもあります。また、u を入れる rumour はイギリスのスペルです。

一方、grapevine は先ほど書いたとおり「ブドウのつる」を意味する単語ですが、次のように使うと口伝えに限定されない「うわさや非公式の情報が伝わる経路」という意味になります(メッセージを伝える電信装置の多数の電線の様子がブドウのつるに似ていたことからこの意味で使われるようになったようです)。

I heard it through the grapevine.(それをうわさで聞いたよ。)
※前置詞は through ではなく on が使われることもあります。

つまり、word of mouth のほうは本当は口伝えの情報だけを意味するのですが、少なくともマーケティング業界ではSNSなどソーシャルメディアを通じて消費者間で広まっていく情報も同様に考えて word of mouth (communication) と表現するので注意が必要です(これらの電子式/オンラインの口コミを口伝えの口コミと区別する場合は electronic word of mouth (eWOM) や online word of mouth と表現されます)。

roungroat / Rawpixel.com

↑「ええと...この『ろこみ』って何だったっけ?」「それは『くちこみ』って読むのよ...」

「口コミを書く」や「口コミを投稿する」は英語で何と言う?

さて、今説明したように「口コミ」という日本語が「口頭によるコミュニケーション」を意味するのであれば、「口コミを書く」という日本語は「口頭による伝達を書く」という矛盾した意味になってしまいます。それでもインターネット上で見られる次の例のように、私たちは違和感なくこのフレーズを使ってしまいます。

「口コミを書くには、どうすればよいですか?」
「悪い口コミを書いた人も怒りがおさまるかもしれません」

一方、英語では口コミを書くことを "write a word of mouth" とは表現せず、論評 (=物事の価値や優劣について具体的な点を挙げて論ずる評価) を書くことであれば "write a review" (レビューを書く)、論評とは呼べない単なる意見を書くことであれば "write a comment" (コメントを書く) と表現するのが普通です(「書く」ではなく「投稿する」の場合は動詞に write ではなく post を使います)。

Rawpixel / Rawpixel.com

↑「あたしが代わりに word of mouth 書いてあげるよー」「それ word of mouth って言わないし...」

なお、review という言葉は一般消費者が通販サイトなどに書くレビューと専門家が専門サイトや雑誌に書くレビューのどちらにも該当するため、インターネット上のレビューだということを明確にしたい場合は online review、それが利用客またはユーザーによって書かれたものだと言いたい場合は online customer review または online user review と表現します(複数のレビュー投稿であれば複数形で reviews)。

review は今説明したとおり物事の価値や優劣について具体的な点を挙げて評価する「論評」を意味する言葉ですが、実際の消費者のレビューの中には単なるコメントやそれ以下の内容のものも多く見られます。

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↑具体的に評価するのがレビュー。「父にプレゼントしたら喜んでました」のような単なる報告は投稿しないようにしよう...

「口コミサイト」や「口コミコーナー」は英語で何と言う?

最後は、「口コミサイト」や「口コミコーナー」の英語についてです。

消費者がお店などのレビューを書くサイトは、英語では review (web)site と呼ばれています。日本では「口コミサイト」と「レビューサイト」のどちらの言葉も使われていますが、これは伝えたいことを何でも書けるサイトが「口コミサイト」でレビューだけ書くべきサイトが「レビューサイト」と区別しているのではなく、単に口コミサイトを英語では review site と呼ぶことを知った人が後から使うようになったものだと思います。

一方、「口コミ」と「レビュー」の両コーナーがあるサイトの場合はどう表現すればいいのでしょうか? 例えば価格.comの「クチコミ」コーナーは単に利用者間での質問と回答になっているため、そもそも名称が適切とは言えません。実際、同じくレビューとは別にこのコーナーを持つアメリカとイギリスのAmazonでは同コーナーを "Customer Questions & Answers" と題しています(日本では「カスタマー Q&A」)。

なお、「コーナー」は名称の一部であれば英語でも corner と表現できますが、そうでない場合は section など適切な単語を使い、「レビューコーナー」であれば review section と表現します(この「コーナー」の英語については #123 店内や会場内の「コーナー」は本当に通じない英語? で詳しく説明しています)。

以上、お役に立てる内容だったでしょうか? これで「口コミ」と「レビュー」の違いや英語での表現方法が分かりやすくなったかもしれません。

今回の内容が役に立った方は、「クチコミ」でも「カキコミ」でも何でもいいですので当サイトの存在を多くの人に広めていきましょう...